ロン(Ron)
天を司る真理と現実の神ロン
創世神の中で大きな三つの卵の一つから生まれた男神がロンである。その名前は古代ラグナ語で『真理』という意味がある。
彼は天属性を司り、真理と現実の神格を持つ。ロンを象徴するのは鞘に納められた刀であり、空色をスピリチュアルカラーとしている。また10月を統治していて、荒天を治める神でもある。
龍の姿を持つ神と伝えられている。龍とは、竜属九種の一種であり、頭は駱駝、角は鹿、目は鬼、耳は牛、項は蛇、腹は蜃、鱗は鯉、爪は鷹、掌は虎という生物で、翼がなくとも天を自在に飛ぶ。
その姿は『和装を着込み、彼の衣服が伏儀国の衣装となった。背は高く、数歩足を踏み出せば天にも届く。腰に長刀を佩き、夜空にも似た漆黒の髪が流れ、空色の瞳が全てを見通す。普段は穏やかな気を纏っているが、気迫を抜けば全てが切り刻まれる』と称される。
三龍神の一人であり、その中で最も思慮深いと言われる。
かつて竜族九種が世界を支配しようとした時、竜族全てを滅ぼそうとするトゥバンに対して、センテル大陸の東方を切り離して『島流し』にするように進言した。それによって竜族は滅亡から逃れることが出来た。また支配に対して消極的であり、空を飛べる種族(そのほとんどが龍であった)に対して、センテル大陸の東方に火山列島を生み出してそこに移住させた。その国が現在の東方『伏儀国』である。
ロンは世界で二番目に子供を作った神としても知られる。彼はアルファルドと共に三匹の龍と半龍とリンドヴルムを授かった。その内の一体である半龍神(龍とリンドヴルムのハーフ)であるブリーデとトゥバンの間に生まれた九体が竜族九種の祖先となる。このため、ロンはあらゆる竜の父とも呼ばれる。
これに加え、ロンはトゥバンと共に最初の戦争を起こした存在としても知られる。ロンとトゥバンはアルファルドを取り合って戦争を起こしたのだ。(実際はロンの子供を孕んでしまい二人の仲が悪くなるのではないかと心配して身を隠したアルファルドに対して、お互いに相手が何かしたのではないかと疑い、話し合いをしても知らぬ存ぜぬで焦れて喧嘩に発展した)この戦争で寒冷期に入っていたはずの世界が、八割が海に沈み、海中と地上にいた生命の大半が死滅した。
なお、この戦争はロキエルの介入で誤解が解けて収まったが、しばらく二人の仲が悪いのではないかと他の創世神は戦々恐々としていた。その予想はいい意味で裏切られ、二人は次に顔を合わせた時に酒の飲み比べをしていた。
ロンは武術の神としても知られ、創世神で唯一、戦闘の型を生み出し、戦況とともに柔軟に対応することが出来た。伏儀国で様々な武術・流派が発生し洗練されてきた。創世神でも彼とまともに戦えるのはトゥバンだけであり、数ある戦いでは無敗であった。(引き分けはある)