スウェア(Swea)
光を司る誓約の神スウェア
創世神の中で三番目に生まれた女神がスウェアである。その名前は古代ラグナ語で『誓約』という意味がある。
彼女は光属性を司り、誓約の神格を持つ。スウェアを象徴するのは月と鎖、そしてダブルクロスであり、白をスピリチュアルカラーとしている。また2月を統治していて、春に目覚める命へと光を注ぐ神でもあった。
天使の姿を持つ神と伝えられている。その柔らかく大きな翼は命を抱き、誓約の場へと羽ばたく。
その姿は『輝く黄金の髪と瞳を持つ。その眩しいばかりの煌めきと共に、見目麗しい姿からも光が燦然と放たれ、人々は自然と頭を垂れてしまう。その存在は世界の果てまで届く程に大きい。その背には光と共に、この世のいかなる鳥よりも大きく柔らかな翼を四対もっており、その白さは雪にも見紛う』と称される。
誓約を守るスウェアは、小さな約束から、婚約・結婚、騎士の誓い、果ては開戦前の条約や終戦後の調印などもスウェアの前で行わなければならなかった。彼女の前で行われた誓約は絶対となり、破ったものはマナに還元されてしまうと言われた。彼女が世界の統治を止めてからは、彼女を象徴する月の下での約束も同様に確かなものをされるようになり、月の下での告白が広く習慣となった。また、2月の結婚は彼女の祝福を受けて、けして離れない絆を夫婦に約束すると言われた。
生真面目な性格のためか、ロキエルを始め、創世神の男性神の何柱かと仲が悪い。具体的に言うと、奇抜な発想を繰り返すロキエル、死を司るディス、粗野で暴力的なトゥバン、暑苦しいセイリオス、戦乱を好むマーティルティなどとの言い争いが記録されており、特にディスとの仲は最悪に顔を合わせる度に顔を背けるか、非難するかしていた。
それも当然のことで、スウェアは生まれてくる者に祝福を与える役目があるが、ディスは死んだ者を刈り取る役目がある。役目とは言え、自分が祝福を与えた者に死を齎す存在は、彼女にとっては歯痒い存在だったのだろう。
彼女はのロキエルやディスへの反発が爆発したのが、スウェアの大陸移動である。彼女はロキエルが統治を止めると言い出した時、契約違反だと強く非難した。さらにディスがロキエルを庇い、ルナエルもロキエルを擁護すると、ディスを死を食い物にする汚い存在だと罵り、ロキエルが生み出した天使達を連れて西方の大陸へと飛び立ってしまった。その大陸が今日のスウェア大陸である。
スウェア大陸では、スウェアを唯一の神と信仰するスウェア教が発展した。
明確な時代は明らかではないが、彼女は他の神の信仰が薄まった帝国暦以降でも、むしろ信仰が篤くなった神でもある。恐らくは婚約に強く結びついていたので、女性に人気があったことが大きいのであろう。いつの時代も、信仰の宗派を問わず、婚約に男性が右手薬指、女性が左手薬指に十字架の彫られた指輪をエンゲージリングとして着けることが風習となっている。これは重なる指輪が鎖の象徴となり、彼女の祝福によって婚約が絶対のものになると信じられているためである。
また彼女を象徴する月は、奇跡を集めて満ちていき、奇跡を降り注いで欠けていくと信じられてきた。そのため、彼女も奇跡を齎す存在と信じられており、その奇跡は約束を果たすことで与えられると信じられた。このような特別な誓いは、スウェアルと言い、特に戦時中に流行した。