ルナエル(Lunael)
聖を司る慈愛の神ルナエル
創世神の中で最初に生まれた女神がルナエルである。その名前は古代ラグナ語で『優しい神』という意味がある。
彼女は聖属性を司り、慈愛・優しさ・生命の神格を持つ。ルナエルを象徴するのはヴェールであり、透明をスピリチュアルカラーとしている。また1月を統治していて、一年の始まりを告げる神でもあった。
織り手の姿を持つ神と伝えられている。織り手とは、機織りをする乙女であり、同時に運命を織り成す神のことを差す。言わば、彼女は神の女神なのである。
その姿は『命を湛える亜麻色の髪を滑らし、瞳は母であるウィタエルの翼のように冴え冴えとした碧玉であり、その姿を見た全ての命が息を飲み時を一瞬凍らせる。肌は滑らかに白く、天より落ちた雪でさえも汚れているように見える。華奢で繊細な手足を持ち、その手は魔法を奏で、その喉の震えは全てが歌となって聞く者に安らぎを与える。凡そ、全ての女性の魅力を集めたような存在であり、少女のように純粋で、乙女のように可憐で、母のように愛に溢れ、老婆のように優しい』と称される。
全ての命を愛しており、ロキエルを始めとする他の創世神が統治のために世界の中心に建てられた神国『アルヘイム』に唯一留まった。
しかし、彼女もロキエル同様に旅好きであり、幼年期はもちろんのこと、ロキエルが統治を止めた後も度々彼と共に世界を旅して、愛する命と触れ合った。そのため、ルナエルもしくは彼女を起源とすると見られる乙女の伝承は、世界各地に存在する。
彼女は世界を愛することが役割であると言われる。そのため、伝承で自らが中心となることは少なく、専ら相談役や騒動のまとめ役を演じることが多い。その一方で、ほとんど名前も知られていないようなマイナーな神中心となる伝承でも、その名前が上がり、時に大きな手助けをしている。
また、世界で初めて魔法を奏でたのは彼女である。その時の魔法は、ロキエルに愛を伝えるものであった。このことから分かるように、ルナエルはロキエルを最も愛しており、彼との間に子供を作っている。ロキエル以外に、ルナエルの子供を授かった者はいない。
神暦の最後には、アルヘイムに侵略してきたロキエルに胸を刺され、彼女の断末魔が虹色の光となったと言われる。この虹に包まれた時、全ての命が争いを嘆く彼女の声を聞き、争いの手を止めたという。