十六の創世神
十六の創世神についての概略です。
ラグナガルドで最も崇高で信仰を集めているのは、十六の創世神である。
彼女達は、世界を創造した神ではない。彼女達が創世神と呼ばれるのは、歴史を始めたからである。
彼女達は神暦が始まる遥か以前に(この時代を前歴と呼ぶこともある)、ウィタムとウィタエスから生まれた。ウィタムとウィタエスは、彼女達を産んですぐに消え去り、残されたのは一つの種のみだった。
彼女達は、織り手(女神)、悪魔、天使、死神、大きな三つの卵、妖精、小さく透明な卵、熊、狼、吸血鬼、黄金の卵、虎、天馬、燃えるような卵の順に生まれた。ウィタムとウィタエスは、一番目に生まれた子に子供達の名前と自分達の愛を、二番目の子に子供達の真名とそれぞれの役割を、三番目の子に子供達への祝福を、四番目の子に世界の原理を、八番目に生まれた妖精の子に世界の予言を伝えたという。
幼い彼女達は、思う存分に遊び、思う存分にケンカし、自分達に与えられた使命を懸命に全うした。
そして星を住みやすくし、命の誕生に立ち会い、命を育んだ頃には彼女達も成長しきっていた。
生命が生きるままに数を増やし、自分を誇示するのに任せていた彼女達だったが、ある時より竜属九種が世界の支配を始め、お互いに権力を争うのを目の当たりにして、竜達を滅ぼすに至った。
それから長い時を経て人間が数を増やした頃、人間から神へと至ったレクスが、栄光のアーサー、祝福のリオン、契約のリンドヴルム、不吉のレイヴンという四柱の神を連れてきた。レクスは人間の愚かさを嘆き、彼女達十六の創世神に世を納めてくれるように願った。
彼女達は協議の後にこの申し出を受け入れて、歴史を始めた。この時より神暦が始まる。
神暦37924年に、ロキエルが統治を止め、旅に出たのをきっかけに、創世神達による世界の統治は終わりを告げた。世界の統治は統一神レクスが引き継いぎ、十六の創世神はそれぞれに世界各地に散らばることになる。この時に創世神が身を降ろした地は、創世神の祝福が篤く、それ以降の時代も発展を遂げている。
そして神暦42368年にロキエルが統一神レクスに反逆し、256年に及ぶ戦争の後に神々は世界を去った。