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第3話

「お酒はちょうど切らしてるよ」

「……お酒も、逃げるのね」

「……」


 隊長が店でお酒について尋ねると、ないとキッパリ言われてしまった。

 この店は彼女たちのような賞金ハンター相手にも商売している数少ないお店であり、近くに他の店はない。

 つまりここで買えなければしばらくお酒にはありつけないということ。


 そんな現実を目の前にして、ベラは顔面蒼白になってプルプル震えている。


「そ、そのぉ、お酒が無いなんてことあまり聞かないんだけど何かあったのかしら?」

「少し前に近くのギャングが買い占めていったんだ。

 大きな仕事の予定が入ったとかで、まだ仕事が始まってすらいないのに乾杯するんだって。馬鹿だよね」


「そ、そうだったのね、分かったわ。とりあえず燃料と日用品だけ買っていってもいいかしら」

「毎度あり。また近くに寄ったらうちを使ってくれ。次は酒も置いておくよ」

「ほんと、頼んだわよ」


 そんなこんなで二人は目的のものを得られずに帰路についた。ベラは肩を落としてフラフラ歩いている。


「…変な期待させちゃって悪かったわね、ベラ」

「……」


 ベラも隊長に気を遣って下を向きながらも首を横に振る。

 その様子を見て、ベラの機嫌を直すためになんとか良い感じのことを言えないか隊長は頭を回す。


「あ、そうだ! ね、ねぇ、ベラ。今回の任務は黒字だったじゃない? 

 次の任務でも黒字にできればもっと良いお酒が買えるかもしれないわよ?」

「……!」


 ベラはようやく顔を上げて首を縦に振る。どうやら隊長の作戦は通用したようだ。


(しかし次も買えなかったらまずいわよね……。

 今度は先に売ってるかどうか調べておかないと)


―――


 決意を固めた隊長とベラがコテナ号に戻るとそこには少し珍しい光景が広がっていた。


「ノア、あなたって報告書書けたの?」


 なんと、ノアが自分で報告書を書き進めていたのだ!


「私のこと舐めてる?」

「ええ」


「そんなにはっきり言う!? いつもベラに任せっきりだからと思って私なりに頑張ったんだよ!?」

「……!」

「悪かったわ。あなたも成長したのよね」


「そういうことだよ、隊長! 報告書、ちゃんと隊長の端末に送っておいたからね!」

「ありがとう、助かるわ」


 こういう()()の時には隊長がお酒を買ってきてくれるからという不純な動機ではあるが、任務の報告書を自分で書くという偉業がノアによって成し遂げられた。

 しかし、その報酬は残念ながら存在しない。


「で、隊長! 黒字のお祝いに何かないの?」

「……えっとねぇ」


 ノアの手の動きは完全にお酒を求めている。しかし無いものは無いのでどう伝えようものか、隊長は悩んでいる。


「……お酒は、ないの」

「え!?」


「どうやら私達が行く前に買い占められちゃってたみたいなのよ。だからお酒は次回に持ち越しよ」

「じゃあ何のために頑張って報告書書いたの、私!」


 今にも泣き出しそうなノアを見てベラが頭を撫でている。

 ベラに言ったように、次は良いお酒を買うことを隊長が伝えるとなんとか納得したようだ。


―――


 そして彼女たちの話は打って変わって次の任務の話になる。

 次も黒字にするために、次こそいいお酒を飲むために、高い報酬の任務を受けたいと彼女たちは考えている。


「最近この辺に賞金ハンターが増えたから、この近辺の依頼じゃそんなに稼げなさそうなのよね〜。ほとんどの奴らが非合法だけど」

「じゃあどうするの?」


「思い切って別の地域まで行くのもありね。

 軍の目が厳しいところに行けば、ここみたいに非合法の賞金ハンターが溢れてるみたいなことはない、と思うわ」

「……」

「じゃあ、どこに行くの?」


「それは、一緒に決めましょ?」


 彼女たちは操縦室のメインモニターを見つめ、期待に胸を膨らませる。

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