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8/12

夜の自己観察

 その夜。

 俺は自室のベッドで天井を見上げていた。


 今日一日を振り返る。


 着替えを手伝わされた。

 髪を梳きながら手を握られた。

 一緒にお風呂に入った。

 背中を洗い合った。

 額にキスされた。


(俺、大丈夫なのか……?)


 メイド生活初日で、これだ。

 明日以降、俺の理性は持つのだろうか。


◇ ◇ ◇


 ふと、自分の身体に意識が向いた。


 俺は今、ネグリジェを着ている。

 胸元が大きく開いた、薄い生地のやつだ。


 鏡を見る。

 そこには、美少女が映っていた。


 銀色がかった茶髪。

 大きな瞳。

 小さな鼻。薄い唇。

 そして——華奢な身体。


 俺は、自分の身体を見下ろした。


 ネグリジェの下に、ふくらみがある。

 胸だ。

 思ったより小さい。控えめなサイズだ。


 そっと、手を当ててみる。


 ——柔らかい。ふにゃりと形が変わる。


 形を確かめるように、両手で持ち上げてみる。


 ——軽い。あまり重くない。


 お嬢様と比べると、明らかに小さい。

 痩せ型の身体だから、仕方ないのかもしれない。


 試しに、揉んでみる。


「んっ……」


 変な声が出た。

 でも、止まらない。


 もう少し強く揉む。


「あっ……!」


 甘い感覚が広がる。

 これが、女性の感じ方なのか。


 指先で、つん、と先端に触れる。


「っ……!」


 思わず声が漏れた。

 電流のような感覚が背筋を走る。


 先端が、硬くなっていた。

 ネグリジェの薄い生地越しに、その形がはっきり分かる。


 ——気持ちいい。


 いや、まずい。


 俺は何をやっているんだ。


 でも、好奇心には勝てなかった。


 もう少しだけ。


 ネグリジェを肩から下ろす。

 胸が、露わになった。


 鏡の中の自分が、半裸でこちらを見ている。


 小さくて、でも形の良い胸。

 薄桃色のトップが、ちょこんと膨らんでいる。


 控えめなサイズだけど、これはこれで可愛いのかもしれない。


 俺は——自分の胸に見惚れてしまった。


「綺麗……」


 思わず呟いた。


 いや、何を言ってるんだ。

 これは俺の胸だぞ。


 でも、綺麗なものは綺麗だ。


 先端を、指でつまんでみる。


「ひっ……!」


 甘い痺れが全身に広がった。


 腰に力が入らなくなる。

 膝がガクガクする。


 ——これ、やばい。


 でも、止められなかった。


 両手で、左右の先端を同時に刺激してみる。


「んあっ……!」


 変な声が出た。

 足の力が抜けて、ベッドに座り込んでしまった。


 息が荒い。

 全身が熱い。

 下腹部に、変な疼きを感じる。


 ——だめだ、これ以上は本当にまずい。


 俺は深呼吸をして、なんとか自分を落ち着かせようとした。


 でも、好奇心は収まらない。


 視線を下げる。

 細いウエスト。

 なめらかな曲線を描いて広がる腰。


 ネグリジェの裾をめくる。

 白い太ももが現れた。


 手で触れてみる。


 すべすべだ。

 自分の肌とは思えないほど、滑らかで柔らかい。


 太ももの内側に手を当てる。


「っ……!」


 敏感だ。

 触れるだけで、変な感覚が走る。


 手が、自然と上へ動いた。

 太ももの内側を、ゆっくりと上がっていく——


 下着の端に、指が触れた。


「——だめだ!」


 俺は自分の手を止めた。


 これ以上は、本当にダメだ。


 何をやっているんだ、俺は。

 これは俺の身体じゃない。

 いや、今は俺の身体だけど、元々は——


 でも、下腹部の疼きは収まらない。


 気になる。

 この身体がどうなっているのか、確認したい。


 ——いや、だめだ。


 そこを触ったら、もう戻れない気がする。


 俺はベッドに倒れ込んだ。

 心臓がばくばくしている。

 全身が火照っている。


 ——俺、興奮してる?


 この身体で?


 女として?


 頭がおかしくなりそうだ。


◇ ◇ ◇


 ——夢を見た。


 暗い部屋。

 見知らぬ男が、俺の上に覆いかぶさっている。


 顔は見えない。

 でも、髭の剃り残しが顎にあるのが分かる。

 汗臭い。


 男の手が、俺の肩を押さえつける。


「っ——!」


 動けない。

 逃げられない。


 男の手が、俺の服を剥ぎ取っていく。


「や、やめ——」


 声が出ない。


 男の手が、俺の胸に触れた。


「っ——!!」


 違う。

 これは、お嬢様の手とは全く違う。


 荒々しくて、乱暴で、痛い。


 男の手が、さらに下へ移動していく。


 太ももに触れる。

 脚を開かせようとする。


「やめてっ——!」


 ——その瞬間、目が覚めた。


◇ ◇ ◇


 俺はベッドの上で、荒い息をついていた。


 全身が汗でびっしょりだ。

 心臓がばくばくしている。


 ——夢だ。

 夢でよかった。


 でも、リアルすぎた。


 俺は天井を見上げながら、考えた。


 あの夢の続きが——もし現実になったら。


 男に押さえつけられて。

 服を剥がされて。

 俺の身体を——


 想像しただけで、寒気がした。


 処女を奪われる。

 この身体を、男に蹂躙される。

 そして——妊娠させられる。


 俺の腹の中に、知らない男の子どもが宿る。


「っ——」


 吐き気がした。


 ありえない。

 絶対に、ありえない。


 俺は男だ。

 中身は、三十二歳のおっさんなんだ。


 なのに——この身体は女で。

 妊娠する機能を持っていて。


 ——怖い。


 この身体が、怖い。


 俺は膝を抱えて、うずくまった。


 前世では、女性と付き合うことすらできなかった。

 童貞のまま死んだ。


 なのに、この世界では——


 女として生きて。

 いつか、男に抱かれて。

 処女を失って。

 妊娠して。

 子どもを産んで——


「——冗談じゃない」


 俺は呟いた。


 絶対に、絶対に嫌だ。


 童貞より先に処女を失うなんて。

 男に妊娠させられるなんて。


 想像するだけで、全身に鳥肌が立つ。


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