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マッサージ地獄

「リリア、肌荒れしてない? マッサージしてあげる」


 お風呂上がり、お嬢様が突然言い出した。


「え、マッサージ……?」


「うつ伏せになって」


 有無を言わせず、俺はベッドに寝かされた。


 バスローブ一枚だ。

 背中が露出している。


「お、お嬢様、これは——」


「リラックスして。気持ちよくするから」


 お嬢様の手が、俺の背中に触れた。


「っ——!」


 冷たくて、でも気持ちいい。


「リリア、肩こってるわね。ここ、硬い」


 お嬢様の指が、肩の筋肉を揉みほぐす。


「んっ……!」


 思わず声が漏れた。


「あら、可愛い声」


「お、お嬢様……!」


 両手が、背中全体を滑るように動く。


 気持ちいい。

 でも、ドキドキする。


 お嬢様の手が、背中から脇腹へと移動した。


「っ——! そこはっ——」


「ここも凝ってるわね」


 脇腹を揉まれる。

 くすぐったいのと気持ちいいのが混ざって、変な感覚だ。


 そして——


 お嬢様の手が、さらに前へと回った。


「お、お嬢様!?」


「ここも、マッサージしてあげる」


 お嬢様の手が、俺の胸のふくらみに触れた。


「っ——!!」


「力抜いて」


「む、無理です!」


 お嬢様の手が、胸を下から支えるように持ち上げる。


「んっ……!」


「重いでしょう? 支えてあげる」


 そのまま、ゆっくりと揉み始めた。


「あっ……! お嬢様、やめ——」


「気持ちいい?」


「気持ちよくないです!」


「嘘。顔、真っ赤よ?」


 お嬢様の指が、胸のトップに触れた。


「ひっ——!」


 思わず背筋を反らしてしまった。


「あら、敏感ね」


「お、お嬢様! そこは本当にダメです!」


「ふふ、じゃあ、ここまでにしてあげる」


 お嬢様が手を離した。


 俺は——息が荒くなっていた。

 全身が熱い。

 心臓がばくばくしている。


「リリアって、本当に可愛いわね」


 お嬢様がにやにや笑う。


「反応が、たまらないわ♪」


 俺は——言葉が出なかった。


 今のは、完全にセクハラだ。

 いや、セクハラどころじゃない。


 でも、お嬢様は女で、俺も女で——


 何がなんだかわからなくなってきた。


 (女性同士って、こんなことするのか……?)


 前世で、男の妄想で見たアニメとか漫画じゃあるまいし。

 「女の子同士でお風呂で胸を揉み合う」とか、そんなの、男の妄想だと思ってた。


 現実にはありえない。

 フィクションの中だけの話だ。


 ——だと思ってたのに。


 今、俺はお嬢様にマッサージされている。

 背中を触られて、腰を揉まれて。


 これが普通なのか?

 女性同士って、こんなに距離が近いのか?


 ……わからない。

 前世では、女性と縁がなかったから。


「あ、あの、お嬢様……もう少し下に——」


 言ってから気づいた。


 俺、今、何を言った?


「あら、もっと下がいいの?」


「っ——! 違います! 言い間違えました!」


「ふふ、正直でいいわね」


 お嬢様がくすくす笑いながら、手を腰の方へ移動させた。


「ここも凝ってるわね」


 腰を揉まれる。


「んぁっ……!」


 変な声が出た。


「お嬢様、や、やめて——」


「もう少しで終わるから」


 お嬢様の手が、腰からお尻の際へと移動していく。


「ここも——」


「そこはダメです!!」


 俺は慌てて起き上がった。


「あら、残念」


 お嬢様がいたずらっぽく笑う。


「でも、気持ちよかったでしょ?」


 ……正直、気持ちよかった。


「……次は、もう少し控えめにお願いします」


「考えとくわ♪」


 その笑顔が、まったく信用できなかった。


◇ ◇ ◇


 ある日の午後。

 お嬢様が俺の髪をセットしてくれていた。


「リリアの髪、本当に綺麗ね」


 お嬢様が俺の髪を撫でる。


「ありがとうございます……」


「ねえ、リリア。こうしてると、本当に可愛いわ」


 お嬢様が、背後から俺を抱きしめた。


「っ——!」


「柔らかい……」


 お嬢様の胸が、俺の背中に押し付けられる。

 腕が、俺の腰に回される。


「お、お嬢様……?」


「リリアって、本当にいい身体してるわね」


 お嬢様の手が、俺のウエストをなぞる。


「っ……!」


「くびれが綺麗。男の人なら、ここに手を回したくなるわよね」


 お嬢様の手が、腰から上へと移動していく。


「お嬢様! どこ触って——」


「ここも、小さいけど形が可愛いし」


 お嬢様の手が、俺の胸の下に触れた。


「っ——!!」


「ふふ、敏感ね」


 お嬢様が俺の耳元で囁く。


「こんなに反応がいいなんて。将来リリアの相手になる殿方が羨ましいわ」


 ——殿方。


 つまり、男。


 俺と、男が——


 想像してしまった。


 髭を生やした男が、俺の腰に手を回してくる。

 俺の胸に触れてくる。

 俺を抱きしめてくる。


「っ——————!!」


 全身に鳥肌が立った。


 ——いやだああああああ!!


 俺は心の中で絶叫した。


「リリア? 急に固まったけど」


「い、いえ、なんでも……」


「もしかして、殿方のこと考えた?」


「考えてません!」


「嘘。顔、青くなってるわよ」


 お嬢様がくすくす笑う。


「男の人、苦手なの?」


「苦手というか……」


 俺の中身は男なんだ。

 男に抱かれるなんて、考えただけでゾッとする。


「ふうん。じゃあ、女の子の方がいいの?」


「え」


「だって、私に触られてもそこまで嫌がらないでしょ?」


「それは——」


「私が女だから、安心してるのかしら♪」


 お嬢様がいたずらっぽく笑う。


「じゃあ、もっと触ってあげる」


「いりません!」


「えー、残念♪」


 お嬢様がまた俺に抱きついてきた。


 俺は——


 男に触られるよりは、お嬢様の方がまだマシだ。


 ——いや、マシってなんだ。


 どっちも嫌だろ、普通。


 ……いや、お嬢様に触られるのは、嫌じゃない、かも。


 ——いやいやいや。


 俺は何を考えてるんだ。


 頭がおかしくなりそうだった。


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