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春三日月のデッサンに、そよめく未来葉

作者: 逢乃 雫

真白に広がる


雲はまるで書きかけの



手紙のような


余白を空に残しながら



春疾風(はるはやて)


吹き抜ける軌跡は



淡い輪郭の


春を描きゆくデッサン



地上に咲いた


星のかけらのような



クレマチスは


時という


旅人を見つめながら



鮮やかな翠の


風にそよめく明日葉(あしたば)



一葉ひと葉に


明日へと向かう


心を紡いでいくように




春という湊の


デッサンを描くように



南の夜空に浮かぶ


らしんばん座の星々



ふりかえる空に


輝くポラリスとともに



星のコンパスは


季節の(みなと)


導いていくように




春三日月の


デッサンを描くように



満ちゆく春を


描きゆく景色の中で



道行く旅人の


瞳が見つめるその先を



未来はまだ


誰の足跡もない道



自分という空を


描くのも、自分と信じて




春という湊へ


風は旅人のように



季節の波間を


かき分けて



西の彼方に


煌めく夜半の明星



背を照らす


アークトゥルスは


春の燈し火のように




言の葉は


こころの景色を


デッサンするように


 

一葉ひと葉が


未来葉となって



空はいつも青いわけでは


ないけれど



こころに描く


夢というデッサンに



色をつけるのは


きっと、自分自身だから




そして言の葉は


旅人のように



こころという港から


こころという港へと



星のコンパスを


その手に握りしめて




広がる(そら)


まるで書きかけの



手紙のような


余白を残しながら



クレマチスの花が


彩る旅路に



言の葉の


一葉ひと葉は



春を描くデッサンに


そよめく、未来葉のように



















春先の南の夜空に浮かぶ、らしんばん(羅針盤)座は、航海で用いる方位磁針コンパスの形です。対面の北の空には、北極星のポラリスがあります。


3月の西の夜空には、「夜半よわ明星みょうじょう」とも呼ばれる木星が輝き、東の空には、春の星で最も明るいアークトゥルスが上り始めます。春疾風はるはやては春先に吹く強い風です。


クレマチスは、3月頃から星形の花が咲き、花言葉は「旅人の喜び」です。今が旬の明日葉あしたばは、明日にまた葉を伸ばすことから、「未来への希望」という花言葉があります。


季節の星や花をモチーフに詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
広がる宙はまるで描きかけの手紙のように·····ううん、素敵です。 とても宙と(空と)風と花(木)を描くのが上手いしお好きなんだろうなと思いつつ、いつも読ませていただいています。詩が広大過ぎて感想送る…
余白の美しさ。 描かれる景色からも、お言葉からも、それを感じることができました。 あるべくしてある空白は心のゆとりにも繋がるようですね。 動かぬ星の対極に、羅針盤を描く。 昔の人がどれだけ空を見て進…
春になると心地良くなり旅行もする人も増えますが、この詩ではもっと大きくて大事な旅を示しているのだろうなと思いました。 それは人によって違うことだと思いますが、旅を始めた人達が新たな道を歩んで夢を追う姿…
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