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#5.以外と気の合う

遅くなってすみません!!!!!

 いつもの教室とは打って変わって、俺がこの世で一番嫌いな物…照りつくような強い日差しが容赦なく襲い掛かって来る。


…うぅ、無理。引きこもりには辛いんだよこの日差し…!!

何で、折角の夏休みにこんな…。毎年、夏休みは一人でダラダラ、家でのんびり過ごすって決めてるのに…!


「…あれ、お前が参加してんの珍しいな。どういう風の吹き回しだ?」


 もはや、俺等の中では彼のトレードマークになりつつある、いつものジャージを脱ぎ、、シャツ一枚というかなりラフな格好をした柳先生が俺にそう声を掛けてきた。

…この灼熱の中じゃあのジャージはかなりの地獄だろうからね…。


…というか、先生こそなんで…?確か、二年生の担当じゃなかったっけ。柳先生って。

それに、隣に居る男の人、誰だろう。全くもって見覚えが無い…様な気がする。


「それより、先生こそなんでここに?二年生って確か登山の予定じゃなかったですっけ。それと、質問ばっかりでごめんなさい、そちらの人は…?初めて見るような気がする…」


 その言葉を聞いては、柳先生はあぁ、と声を小さく漏らした後、簡単に説明をしてくれた。


「綾瀬先生が今日、体調不良でご欠席だから、その代理。二年は丁度別日だし…。

あと、こいつは江戸谷高校…隣町の学校の教員。今年はたまたま行先被ったから、合同にしたんだ。

折角だしな。なぁ、ひま…春川先生」


「っあ、はい。…初めまして。僕は江戸谷高等学校教師の春川緋麻里と申します。…よろしくね」


「あ…と。神楽坂高校三年B組の紫暮瑠伊です…。その、こちらこそ…?」


 自己紹介しながらも右手を俺の方へ真っ直ぐ差し出す、男の人_春川先生に、そう自分も簡単に名乗りながら、その手に優しく握手をする。


因みに、綾瀬先生とは、俺のクラスの担任の先生だ。

…体調崩しちゃったのか。大丈夫だなぁ…。


「…ところで紫暮君。ここら辺で髪色の明るい生徒を見ませんでしたか?こう…、見るからにヤンキーみたいな…」


「おい、誰がヤンキーだぶっ飛ばすぞ春川」


 そのまま、流れるように春川先生のお尻に向かって容赦なく回し蹴りをする、謎の少年…。

…え、格好良い…かも?

何この漫画に登場するような、ベッタベタで絵に描いたような不良タイプの子…。

先生にも手ぇだしちゃうんだ…。


「ち、ちょっと如月君!!僕いつも言ってるでしょう、人に足を向けるんじゃありません…!!」


「はぁ…?るせぇ…。…つか、何見てんだよテメェ…。初めて見る顔だな…。他校生か…?」


 じとぉ…とこちらを見…いや、睨み付けて来るヤンキー…基い、如月君。

うわぁ…、ベッタベタの典型的な不良属性…!?

格好良いなぁやっぱ…。ちょっと怖いけど…。


「彼は今週、うちよ合同で外泊を行う学校の生徒さんです。ね、紫暮君。…はら如月君、君も自己紹介なさい」


 そう春川先生が諭すように言うと、如月君は短く舌打ちをした。

そして、改めてこちらへ視線を向ける。

うわぁ、やっぱこわ…。

アニメとか二次元なら兎も角…リアルじゃ絶対に知り合いたくないタイプだなぁ…。

てか、俺もよく考えたら自己紹介してないかも…。なんかごめんね、如月君…。


「あー…。俺ァ…、如月一也…。江戸谷高校三年。まぁ…よろしくな。紫暮」


 はー…と面倒くさそうに溜息をつきながら、如月君は俺に自己紹介をしてくれた。

何で俺が…とでも言いたげな表情だけど。


…え、でも今よろしくって…よろしくって言ってくれた…?

優しい…?実はとっても優しい一面を持っているタイプの不良君なの君…!?

えぇ…、とんでもなくギャップを感じる…。てか萌える…かも…?

…い、いやいや…!!俺は冴島推し…だから…!


そう一人、悶々と考え事をしていると、急に俺の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。聞き慣れた声だ。


「おい、瑠伊…ってなんだ。取り込み中か」


「っあ、陸斗」


 やっぱり、陸斗だった。俺の肩をぽん、と軽くたたきながら俺に声を掛けたのだった。

きっとまた、ぼっち故に何すれば良いかわからなくてそこらへんうろうろしてる、とでも思ったのだろう。

…自分で言っててむなしくなってきた…。辛い…。


いやあまぁ、事実なんだけどさぁ…、なんだけどさぁ…!!


「…って、何で如月と…。お前接点あったか…?」


「逆に何であると思ったの…?」


 じと…とやや睨みつつもそう陸斗に言い返してみる。

俺と如月君みたいなTHE・不良に接点あったらさ、多分それカツアゲとかだよ…!!

いや、如月君て多分基本優しい系不良(?)だと思うから、カツアゲとかはきっとしないんだろうけど…。


「…まぁ良いや。仲良いならお前、今日は如月と一緒に行動したら良いんじゃねぇか?俺は美沙と回るし」


「えぇ…ッ…」


 な、何で…。俺が初対面の人とまともに会話できないの知ってるでしょ、陸斗…!!

…でも、陸斗と美沙の折角のさ、で、デート…邪魔するわけにもいかないし…!!

俺に…選択肢は無い…の…?


「…行ってらっしゃい…。陸斗」


「…?おー…」


…まぁ、多分選択肢があったとしても、俺に断る勇気なんか、無かった。


























…という訳で、今日…何なら今朝出会ったばかりの如月君と俺は、今日一日一緒に行動をすることになってしまった。

因みに今は、俺が猛烈な日差しからの攻撃によりダウンしてしまった為、カフェで仲良く…仲良く、ではないか。


如月君、黙って携帯弄り始めちゃったし。

…あー、もういいや。気ぃ遣う…てか反応いちいち気にするの疲れるし…俺もゲームしよ…。

俺はポケットに突っ込んでいた携帯電話を取り出した。

…お、今この子のイベ中だったんだ。回ろうかな、どうしよ。


「…あ、それ…。確か、HOL…か…?」


「えっ!?!?」


 如月君のその言葉に、驚いて思わず大きな声を出してしまった。

…だってさ、まさか如月君の口から、HOL…ドマイナーでゲームかアニメ…つまりありとあらゆる二次元コンテンツが好きな人位しかしらないような、割とコアなゲームの名前が出て来るとは全くもって思っていなかったから。

だって、なんとなくだけど、そういうゲーム…キャラゲとか、しなさそうなイメージあるのに。

…あ、俺はちょっと…うん…。理由あってやってる…けど…。


「うぉっ・・・。何だよ急に・・・」


 俺が急に大きな声をだしたからか、どこか驚いたような、不思議そうな表情で、こちらをじーっと見ていた。

…あぁ、なんかごめんね。


「ご、ごめん如月君・・・。まさか如月君の口からこんな、マイナーなゲームの名前が出てくると思ってなくて・・・」


「…んな人気ねぇんか。このゲーム…」

すいすいと携帯を操作し、そのアプリを如月君は開いてみせた。

…ほ、本当にやってるんだ。…なんか、意外…かも…?


「俺の…ダチがやってて、勧められたからやってるってだけだ。…そいつとの話題にも、なるし…」


 ダチって…お友達?如月君の?…ゲーマーでもいるのかな…。

だとしたらちょっと納得…かも…?

不良って、仲間の事を何よりも一番に思ってて、滅茶苦茶仲良しなイメージ…あるし。

(彼の偏見も含まれております)


「成程…。…その割には、結構やり込んでない…?」


 俺はこのゲーム、普通に好きだから、暇とやる気さえあればやってるかも…って感じだけど、そんな俺とランクやキャラ好感度、レベル等々あまり変わらないように感じる。

…凄。実は俺と同じくらい、このゲームやってて、好きだったりするのかな…。

それとも、俺よりずっと前からやってる…とか…?


「あー…。始めたんは、そいつがきっかけだ…けど、なんつーか…。好きな、感じのが居たもんで…」


(…好きなやつに似てんだよな…コイツ…)


 こいつな、と携帯を操作しながら、その、所謂“推しキャラ”なるものを如月君は、俺に教えてくれた。

…あぁ、妖ノ世界の主役君かぁ。確かに、格好良いもんね。

独眼だし、一生懸命、努力家な一面もあるし…。人気キャラじゃん。ちゃんと。


「如月君て意外と面食いだったりするの?割と人気あるキャラだよね」


「あぁ?そういうテメェもだろ。ルオなんて一番人気キャラじゃねぇかよ」


「…まぁ、否定はしないけどさ…」


 結果、楽しく一緒にゲームをして一日を過ごしました。…海?まだ行ってない!


「…あいつ、ん事か…?」


 まさか、俺らの事をじー…っと睨む様な、視線を向けられていることには、全くもって気付いていなかったのだった。

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