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始まりの一歩


翌日、学校の昼休み。

窓際の机で携帯端末をいじりながらノートを広げペンを走らせていた僕に、リュウヤがにかっと笑いかけてきた。


「ツバサ!昨日のアレ、どうだった?」

「うん……。とりあえずプロトタイプを考えて、形にし始めたんだ」

「おおっ!やっぱお前もやってたか!」


リュウヤは嬉しそうに声を張り上げ、鞄から携帯端末を取り出した。画面には、赤と黒の試作ザクの設計図が映っている。


「俺もだ!まだ全然荒削りだけどな。ツバサと同じタイミングで思いついたんだ。やっぱ気が合うな、俺たち!」

「……そうだね。リュウヤらしい、攻撃的な形だ」


僕も自分の端末を開き、OMTiとのやり取りを見せる。

《関節部に負荷が集中しています。軽量化か補強が必要です》

《昨日のバトルでは、ツバサは「押し返せない」と感じていました。シールドの展開機構を追加してみるのはどうですか?》


画面に表示されるアドバイスに、リュウヤが目を丸くした。

「すげぇなこれ!AIってやつか?」

「うん……。僕の作った補でプログラムだよ、いつも助けてくれてるんだ」


「へぇー……面白ぇじゃん、ならそいつも一緒に作ってるようなもんだな!」


その日から、昼休みや放課後にかけて僕たちは机を並べ、パーツを切り、組み、試し、外し……を繰り返した。

「ここ、もっと強度が欲しいな」

「じゃあ部分のパーツを二重にしてみよう」

「だけど重くなるだろ?」

「……軽量化パーツを組み合わせれば」

そんな会話の隣で、端末の画面に《推奨:装甲の斜め配置。被弾時の衝撃を分散できます》と文字が浮かび上がる。


三日目の夜。

ようやく一応の“形”を成したガンプラを机に置いた。

リュウヤのはシンプルながらに力強さが目立ち、僕のは守りを意識した肩部のシールド機構が光る。


「やっとだな……ツバサ」

「……うん。まだ完成じゃないけど」

「なら試すしかねぇ!動かしてみようぜ!」


次の日

学校の部活棟、ほとんど使われていない一室。

埃をかぶった機材の中に、一世代前の【ガンプラアクション・バトルシミュレーター】が置かれていたのをリュウヤは見つけていた


「見ろよ!ツバサ!!」リュウヤが目を輝かせる。

駆け寄った僕らを見て、通りかかった先生が苦笑する。

「壊しても保証はしないぞ。自己責任で使え」

それでも、僕らにとっては宝物のように見えた。


——そして、放課後。

電源を入れ

古いシミュレーターの中に立つ、二体のガンプラ。

ぎこちない動きのなか武装を構える僕の試作機と、勢いだけは抜群なリュウヤの赤い機体。


「ツバサぁ!いくぜぇぇっ!!」

「うん……!負けない!」


初めての真剣勝負。

不格好で、荒削りで、でも——確かに僕たちの「第一歩」だった。

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