表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/29

陽だまりの休日



休日の昼下がり。

賑やかな商店街のアーケードは、人々の声と屋台の香りで包まれていた。


「わぁ……すごい人だね」

ハルノが小さく声を漏らし、目を丸くする。


「ははっ、だろ?ここならなんでも揃ってるんだ!今日はナドのもんも探すんだろ?ついでに遊び尽くそうぜ!」

リュウヤが腕を振りながら歩く姿は、すでに遠足前の子供そのものだった。


「……はしゃぎすぎ。迷子にならないでよ」

ツバサが苦笑しながらも、頬を緩めていた。

__________


焼き屋の呼び込みに足が止まる。

「ほかほかですよ~!」


「……あ、美味しそう」

ハルノの声に、リュウヤが即座に反応する。

「おう!全種類買おうぜ!」


「えっ!? そ、そんなに食べられないよ」

慌てるハルノにツバサが笑い、店員に注文を告げる。


焼き立てのたい焼きを受け取り、3人が一口かじった瞬間――

「うんまぁぁぁぁ!!やっぱ出来立ては最高だな!」

リュウヤの豪快な声に、ツバサは苦笑し、ハルノはこぼれるように微笑んだ。


さらにソースの香りに誘われて串カツの屋台へ。

「おぉ、そっちも美味そうだな!」

リュウヤは財布を握って突撃、両手に串を抱えて豪快にかぶりつく。


「……ほんと食べすぎだよ、リュウヤ」

呆れるツバサ。

「リュウヤくん……楽しそう」

笑みをこぼすハルノ。

それだけで、食べ歩きの景色が少し温かく感じられた。

__________


食べ歩きの後、3人はナドのためにペットショップへ。

小さな首輪やペット用のベッドを前に、ハルノは真剣な眼差しを見せる。


「……ナドに似合うかな」

首輪を手に取り、ハルノが迷っていると――

「これとかどうだ?派手でカッコいいぞ!」

リュウヤが持ってきたのはトゲ付きのデザイン。


「……それはちょっと」

ツバサが静かに却下し、代わりに柔らかい紅色の首輪を差し出す。

「こっちなら、ナドにぴったりだと思う」


「……ほんとだ。ありがと、ツバサくん」

ハルノは照れたように頬を染め、首輪と小さなおもちゃ、そしてナドのベッド選んで大事そうに抱えた。

____________



帰り際、リュウヤがふとガンプラショップの前で立ち止まる。

「おっ!せっかくだし寄ってこうぜ!」


ショーケースには最新キットや改造パーツが並んでいる。

リュウヤは格闘戦用の武器パーツを手にして目を輝かせ、

「これ、シャイタンに付けたら面白そうだな!」


ツバサはじっとバックパック用のパーツを眺めながら、

「……でも、まだ早いか。今のアブファールトに必要なのは“基礎”だ」

と小さく呟く。


そんな2人を見て、ハルノも展示されていた美しいシルエットの機体に心を奪われる。

「……綺麗」

呟くその声は、これから始まる自分だけの制作への小さな前触れのようだった。



最後に立ち寄ったのは、賑やかなゲームセンター。

「うおぉぉ!あとちょっとで取れそうなんだよなぁ!」

リュウヤはクレーンゲームに夢中になり、アームがぬいぐるみを落とすたびに大騒ぎする。


「……ほんと、リュウヤは子供みたいだなぁ」

ツバサは呆れながらも微笑み、

「うん……でも、リュウヤくんらしいね」

ハルノもくすっと笑った。

_______


こうして賑やかで、笑いに満ちた休日の一日が過ぎていった。

3人の足取りは軽く、胸の中にはまた新しい思い出が刻まれていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ