ガンプラ同好会
部活棟の部屋に差し込むオレンジ色の光が、机の上に置かれた2人の新たな相棒たちを照らしていた。
リュウヤのシャイタンは無骨な姿で拳を構え、ツバサのアブファールトはまだ粗削りながらも未来への期待を映している。
「なぁ、ツバサ。」
リュウヤが窓際にもたれながら、ニッと笑った。
「せっかくプロトタイプもできたしよ……俺たちだけで遊んでんの、もったいなくねぇか?」
「……え?」
ツバサは顔を上げ、瞬きをした。
「同好会だよ!ガンプラ同好会!俺たちで立ち上げようぜ!」
リュウヤは勢いよく拳を握りしめ、机をドンと叩いた。
「で、でも……そんなに簡単に作れるものなのかな。同好会って……」
ツバサの不安げな声に、リュウヤはまったく気負う様子もなく笑う。
「やってみなきゃわかんねぇだろ!なぁツバサ、俺たちがこうしてワクワクできるもんを、もっと色んな奴に知ってもらいてぇんだよ。だったら形にしねぇと!」
その目は夕陽に照らされ、力強く輝いていた。
ツバサは少し黙り込んでから、ふっと笑みを零した。
「……そうだね。僕も、誰かと一緒にガンプラを楽しむって、こんなに楽しいんだって知ったから。やってみようか。」
「よーし!決まりだな!」
——翌日。
二人は職員室の扉をノックした。中では数人の先生が事務作業をしていて、その中に担任のユリ先生の姿もある。
「失礼します……」ツバサが恐る恐る入ると、隣でリュウヤが元気よく声を張り上げた。
「ユリちゃん!!俺たちガンプラ同好会作りてぇんだけど!」
「ちょ、リュウヤ……!」
ツバサが慌てて小声で突っ込む。
ユリ先生は手を止めて、くすっと柔らかく笑った。
「もう……タチバナくん。ここは職員室なんだから、静かにしなきゃ。……それで…ガンプラ同好会?」
「そう!俺とツバサでやろうって決めたんだ!」
「……あの、その……活動場所とか、そういうのも必要なんですよね?」とツバサが恐る恐る口を挟む。
ユリ先生は少し考え込み、それから優しく微笑んだ。
「そうねぇ……部活棟にあるシュミレーターの部屋があるのは知ってる?もうほとんど使われてないし……顧問の先生が見つかるまでは、私が“仮”で見てあげるわ。」
「ほんとか!? 助かるぜユリちゃん!」
「先生と呼びなさいってば」
「わかったって、ユリちゃん!」
呆れたようにため息をつきながらも、ユリ先生はどこか楽しげだった。
——こうして「ガンプラ同好会」は、最初の一歩を踏み出した。
使われなくなったシュミレーターの部屋には、まだ古い匂いが残っていた。けれど二人にとっては夢の拠点だ。
机の上には2人の相棒が並び、夕陽に照らされたその光景は、まるでこれから始まる物語を祝福しているように見えた。