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注目されると良い事もある

 転校生としてタティーが湯蓮中学校に入って来た。そしてタティーは初日から一気に注目の的になった。

 登校もタティーと一緒にする事になったけど、タティーの大人びた見た目とスタイルの良さに、学校ですれちがう人はみんな見惚れていた。私はこの現状にモヤモヤした気持ちになった。


「みなさんこちらを見ていますね。」


「こんな海外の女優さんみたいな人が一年生に居たら、注目もされるよ」


 教室に着くと、男子や女子達がタティーの席に集まってくる。その様子を眺めながら自分の席に座る。


「あなたの親戚の子。転校してすぐに人気者になったわね。」


 隣の席の日華ちゃんが私に話しかけてくる。


「あの子って海外に居たのよね?日本語も上手いし、それに歴史の授業の質問にもちゃんと答えられるなんて、日本の事も詳しいのね。」


 そういえば海外から来ていた事になってるんだっけ。今後はあんまり余計な設定を追加しなきゃいいんだけど......

 ホームルームが始まると部活の話が出てくる。中学校になったら部活をしなきゃいけないのは分かっているけど、タティーがいるんだったら部活に入る事はないかな......

 しかし、ホームルームが終わると女子達はタティーに一緒の部活に入ろうと誘ってくる。しかしタティーは私の名前を出して断っていて、それを聞いた女子達は一斉に私のところにやって来た。


「刑異さん!タティーさんはあなたと一緒の部活に入るって言ってるんだけど!」

「あんたが入らないとタティーさんが入らないから、仕方なく入れてあげる!」

「ちょっとタティーさんは私と一緒のところに入るの!」

「アタシよ!」


 完全に私はお荷物みたいな扱いをされて向っ腹が立った。けどタティーと私だったら、私は添え物にもなっちゃうのはしょうがないよね……。


「私もタティーも家の手伝いがあるから部活には入れないんだ。ごめんね。」


 そう言うと、みんな残念そうな顔をしながら自分の席に戻って行った。

 昼休みになると、タティーと話をする為に三階の空き教室にやって来た。ここなら誰にも覗かれる心配はない......と思う。


「良かったんですか、部活に入らなくて。」


「まぁ、私自身もそんなに部活やる気じゃないし、それにタティーは部活なんかしたら充電がもたないでしょ?一応人間って事になってるんだから、怪しまれないようにしないと。」


「そうですね」


「充電切れたらタブレットに戻る所も、他の人に見られないようにしないと」


「そこは明花様にお任せします」


「まぁ、出来るだけ頑張ってみるよ。さて私はトイレに行っておしっこでもしてこようかな。タティーもトイレ行く?」


「私はおしっこ出来ないので大丈夫です」


「あぁ、そうだったね。じゃあ先に教室戻ってて」


「分かりました」


 昨日、タティーにおしっこは出来るの?って聞いたらそもそも()()()が付いてないと言っていた。付いていないのか確かめるために、ズボンを脱がせたら本当に付いていなかった。人間と変わらない体で、()()()が地続きみたいになっているのを見てると、何だか私の()()()がムズムズしてきて変な感じだった。

 昼休みが終わって、五時間目は体育の授業。内容は五十メートルハードル。

 タティーにとっては初めての体育。。やはりスタイルがいいのとボディラインがくっきり目立っているため、クラスの全員と体育担当で担任の小熊先生がタティーに見惚れていた。やっぱりこうやって注目される事を喜ぶべきなのか、悔しがるべきなのか......。


「タティー、勉強は出来るけど、運動の方は大丈夫なの?」


「分かりませんけど、やってみます」


 タティーの番が来て、タティーの走りを見るとハードルを全て飛び越えて走っていた。タイムは十秒とはやかった。とりあえず運動もできる方ではあるようだ。ちなみに私は十二秒で、しかもハードルを一つ倒してしまった。

 すると小熊先生がタティーに近づいてきた。


「タティー、もうちょっと足の上げ方を見直そうか。」


 そう言って小熊先生はタティーの足をはじめ、色々な所を触っていた。指導という体でスタイルの良いタティーを触りまくろうと言った魂胆がある事は目に見えていた。タティーもそれが良くない事だと言うのは分かってないから、意のままに触られていた。主人としては流石に黙っていられないと思っていたその時だった。


「ちょっと先生!タティーさんにセクハラするのはやめてください!」


「せ、セクハラじゃない!これはれっきとした指導だ!」


「そんな事言って、タティーさんの足やお尻をいやらしく触ってましたよね!」


「俺たちのタティーちゃんに何すんだよゴリ男!」


「ちゃんと先生と呼ばんか!」


 クラスのみんながタティーの事を庇ってくれたのだ。みんなから言い寄られたゴリ男、じゃなくて小熊先生はタティーから離れた。


「大丈夫?タティーさん?」


「私は特に何もされていませんが?」


「ああやって身体をベタベタ触られるのは、良くない事だからね?」


「ほら、男子もあまり近づかない!」


「えぇ!ズリいぞ!女子だけ!」


「刑異さんも親戚なら、ちゃんと助けてあげなきゃダメよ?」


 男子だけじゃなくて、私も注意されてしまった。みんなに慕われると、守ってくれるんだなぁと言う事が分かった。もし、またタティーの身に危険な事があったら、主人の私が一番に助けようと決心した。

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