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ちょっと遅めの入学祝い

 中学校に入学して一週間。入学して初めての休日の朝に蓮華さんと待ち合わせ。前日に急に私に会いたいと電話が掛かって来た。だけど、何の用事なのかは何も知らされていない。待ち合わせと言っても蓮華さんが直接、私の家に来るので、私はただ自分の部屋で待っているだけでいい。


「というか、タティーも一緒に行くの?」


「当然です。明花様の面倒を見るのが私の役目なので」


「過保護だな〜。まぁ、蓮華さんはタティーの事知ってるから大丈夫か」


 今日のタティーの服装はパンツスタイルだ。意外とおしゃれさんなのかな?まぁ、あのピチピチしているボディースーツで外に出られても困るけど。と思っていると、部屋のドアからノックの音が聞こえた。


「おはよう。明花ちゃん。タティーさんもおはようございます。」


「「おはようございます。蓮華さん。」」


 蓮華さんが部屋に入って、蓮華さんに私への用事を聞いた。


「蓮華さん。今日は私に何の用事ですか?」


「明花ちゃんの入学祝いをまだしていなかったな〜と思って。それで私、明花ちゃんに服を買ってあげようと思って。」


「えっ!?そんないいですよ!?蓮華さんが私の入学祝いなんて!?」


「あっ、それだけじゃなくて賢くんにも言われたんです。『明花はあまり服も買わないし、ダサいから、入学祝いとして買ってやってくれ』って。」


「だ、ダサいって......」


「でもそうね、今も縞々の服ですものね。私が買ってあげないと。」


「えぇ〜そんなに悪いですか?」


「今までよくそれで外に出られましたね。」


「タティーもそう思ってたんだ......でも私、服の事はあんまりよく分からないから......」


 蓮華さんも今日の服装は、白のフワフワ感ありそうな服とスカートとおしゃれな感じだった。そう言われると私の服装ってなんか浮いてる様な気がする......

 蓮華さんとタティーに遠回しにダサいと言われた私は、蓮華さんに服を買ってもらう事にして、外に出て服屋に向かった。

 服屋に向かう途中の道でも、タティーや蓮華さんに見惚れている人々が多かった。そして服装がダサいと思われる私を見た人々は、憐れんだ様な目で私を見ていた。周りの目を気にした事なかったけど、今までもこんな目見られてたのかな......。

 家から歩いて一時間。私たちは湯蓮町の服屋「YUREN CLOTHES」に着いた。着くまでの視線は痛かったな......。

 洋風の白い家みたいで何ともおしゃれそうな感じ。中に入ると、色々なジャンルに服があってまさに服屋って感じなお店だ。

 蓮華さんと色々と見て回ったが、やっぱりよく分からないので、蓮華さんに任せる事にした。


「じゃあ私も選んできます。」


「タティーも?」


「主人を良くするのも、私の役目かと思いまして。」


「そうなんだ、じゃあお願いするよ。」


「お任せください」


 機械、いや付き人かな?付き人よりダサい主人ってすごく情けないと思って来た。でも本当に服装なんて気にしたことがなかったから、もうタティーにも任せるしかなかった。

 二人が選んでくれた結果、私の服装は、上はタティーが選んでくれた水色のブラウス。下は蓮華さんが選んでくれた黒色のスカートになった。


「ありがとうございます、蓮華さん!これで私も、憐れんだ目で見られずに済みそうです!」


「良かった。じゃあ私、お会計してくるね。」


「タティーもありがとうね。」


「お役に立てて良かったです。これも付けて下さい。」


 タティーはネックレスを私にくれた。ネックレスには家のロゴが描かれていた。タティーの出現機能で出した物だった。アクセサリーも出せるなんてすごいけど、なんか家を宣伝しているような気分だ。

 服の代金は蓮華さんが払ってくれた。申し訳ないと思ったけど、入学祝いだからと本人が聞かないので素直に任せる事にしたけど、万ぐらいあったような気がしたけど大丈夫かな?

 服を買った私たちが店から出ると、店の周りから悲鳴が聞こえてきた。


「そらぁー!」

「キャー!」


 そこには小太りのハゲたおじさんが、女の人にスカートめくりをしていた。おじさんはすばしっこく次々と他の女の人のスカートをめくっていった。

 そして、おじさんはこちらに向かって来て......


「うらぁー!」

「ひゃ......!」


 蓮華さんのスカートをめくった。私もスカートをめくられると思い、手でスカートを抑えた。けど、おじさんは私のことを通り過ぎて行った。


「あ、あれ?私はめくられなかった?」


「よ、良かったね。明花ちゃん。でも何で?」


「スカートめくられた女性達は、みんな高身長の方々でした。なので明花様は無事だったのでしょう。」


「この場にそんなに高身長の女の人が居たんだ」


 でも事実を知った私は段々腹が立ってきたので、そのおじさんをこらしめる事にしました。


「タティー、下をスカートに変えて」


「分かりました。」


 タティーをパンツからスカートに変えて、おじさんを誘き寄せる事にした。


「後、何か叩く物出して。そうだなぁ、バットにしよう。」


「分かりました。」


 目の前にバットが出現した。やっぱり家のロゴが入っている。タティーを服屋の付近に立たせて、私と蓮華さんは服屋の外の物陰に隠れてスカートめくりおじさんを待つ事にした。


「め、明花ちゃん......危ないよ?」


「蓮華さんはスカートめくられて嫌じゃなかったんですか?あんな人が町に居たら、外に出られなくなるでしょう?」


「そうだけど......でも叩く事はないんじゃ......」


「何言ってるんですか、叩かないとまた逃げられますよ。それになんかムカついたから、一発叩かないと気が済まないんです。」


「明花ちゃんも何か怖い......」


 するとスカートめくりのおじさんがタティーに近づいてきた。タティーの見た目に見惚れて、よだれを垂らしながら近づいていく姿に私をはさらに腹が立った。


「なんて、綺麗な子だ......きっとおぱんちゅも可愛い物にちげぇねぇ!イエッヘーイ!」


 タティーのスカートをめくって、赤色の大人っぽい下着が目に入った。タティーはスカートを抑えもせずに、ノーリアクションだったので、おじさんは立ち止まっていた。その隙に私はおじさんの後ろに回り込んで、持っているバットを上から振り上げて頭を思いっきり叩いた。


「えーい!」


「ぐはぁ!」


 おじさんはその場で倒れて気を失った。様子を見ていた服屋の人達が店から出て来て、おじさんを紐で縛り上げて、蓮華さんは警察に通報した。しばらくしておまわりさんが来て、パトカーに乗せられて連れて行かれた。


「大丈夫、明花ちゃん?」


「はい、あのおじさんがタティーの事をスケベな目で見てたので、つい頭から叩いちゃいました。」


「これで解決ですね。明花様。」


「ごめんね、タティー。おとりの役なんかさせちゃって。」


「明花様の指示を聞くのも、私の役目なので。」


 するとタティーは急にその場に倒れた。


「ど、どうしたのタティー!?」


「物を出すぎたり、服装を変えたりしたので、充電が余計に消費されたので、もう無くなりそうです。」


「えぇ!?そうだったの!?じゃあもう帰ろう!蓮華さん、私たちもう帰りますね!」


「私もタティーさんの肩を貸すの手伝います!」


 私は蓮華さんとタティーの肩を担いで一緒に家に帰る事にした。

 タティーを担ぐのは、元は機械だから重くてつらかったけど、途中から完全に充電が無くなって、タティーはタブレットの姿に戻ったので手に持って無事に帰る事が出来た。

 翌日、私はタティーからもらったネックレスが無くなっていたので部屋中を隅々まで探していた。


「タティー。タティーからもらったネックレス知らない?」


「あぁ、言い忘れてましたが、私の機能から出した物は一日経つと消えます。」


「そうなの!?そういえば昨日使ったバットもない!」


 また驚かされてしまった私は、後ろによろけながら部屋の椅子に座った。

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