タブレットの兄貴 前編
夏休みが終わってまた学校が始まろうとしている。同時にトレンが学校に入ってくる日でもある。なので久々の登校もトレンと三人で制服を着て通学路を歩いている形になっている。
私の左右には190センチぐらいある筋肉ムキムキの男と170センチぐらいあるスラっとしたスタイル抜群の女の二人がちんちくりんな私を板挟みするような構図になっている。周囲の人は私達を見ても精々二人は兄妹として見るのが限界だろう。同学年だとは夢にも思わないだろう。
「学校か〜!どんな所か楽しみだな〜!」
「学校は色んな人がいて楽しい所ですよ、トレン」
「そっか〜姉さんがそう言うなら楽しい所なんだろうな〜!」
「そっか、タティーから見たらトレンは弟になるんだよね。」
「そうですね、まさか私と同じ物が作られるとは思いませんでした」
すごい姉弟が出来上がっちゃったなぁ......とこんな会話をしていると学校の正門までたどり着いていた。トレンとはここで一旦別れて、タティーと二人で教室に向かう。教室に入ると数人の生徒達が一人の所に集まっていた。
「おはよう。日華ちゃん。何かあったの?」
「おはよう。美澄がまたあなたのパパに相手にされなかったって泣いて落ち込んでいるのよ。」
「あっ.......そういえばパパがそんな事言ってたっけ......」
「ほら、とりあえず美澄の所に行けば?」
「え〜、これ絶対他の人に私が責められる感じじゃん.......」
「だからと言ってこのままじゃ困るでしょ。タティーさんと一緒に行けば周りも何も言わないんじゃない?」
「そうかな?まぁ、とりあえず行ってみるね」
タティーを引き連れて、私は美澄ちゃんの元に向かった。美澄ちゃんは机に突っ伏して啜り泣いていた。私の近くにタティーがいると周りにの生徒は私から離れていった。
「お、おはよう。美澄ちゃん。」
「......明花、悪いけど一人にしてくれない?」
「えっ?」
「失恋した時は一人になりたいものなのよ。」
「でも、結構周り集まってたけど......」
「そうなの?気づかなかったわ。とにかく一人にして、お願いだから」
「う、うん、分かったよ......」
美澄ちゃんの圧のあるお願いを聞いた私はソッとさせておく事にした。いつもみたいに時間が経ったら元通りになっているだろう。
チャイムが鳴ると小熊先生が教室に入り朝会が始まる。
「今日はこれから全校集会があるから遅れないようにな!それと.......」
今日の連絡を終えると朝会が終わってしまった。
「あれ?トレンは?」
「もしかして隣のクラスじゃないかしら?流石に同じクラスに転校を入れるとは限らないし」
「そう言われるとそうだね。」
全校集会で体育館に行くと隣の二組のクラスにトレンの姿があった。二組の生徒達から男女問わず質問攻めになっている様子だった。タティーもあんな感じだったな〜。それにしてもデカいから遠目で見ても目立つなー。登校中もあんな感じだったと思って来たらなんか恥ずかしくなってきたかも。
時間は過ぎていき昼休みになった。トレンの様子を見に行こうとタティーと日華ちゃんの三人で二組の教室に行くと、トレンの周りにはクラスの男子達が集まっていた。
「おお!明花様に姉さん!そして日華さん!」
「兄貴!何ですかこの女達は!」
「おい!お前らは兄貴の何だ!」
「お前達!この人は私の主人である刑異明花様だぞ!お前達、頭が高いぞ!」
「ちょっと、そういう事言うのやめてくれない!?」
「兄貴......こんなちんちくりんが兄貴の主人とは上手く無い冗談ですね!」
「まだ隣の赤い女の方が納得出来ますよ!」
「お前達!明花様の侮辱は私への侮辱と同じ!これ以上の侮辱は許さんぞ!そして赤い女は私の姉だ!」
「「「「す、すいませんでした!」」」」
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