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就職祝いの日帰り旅行 前編

 夏休みになってそれなりに時間が経った。私はバスに乗っている。歩美さんと環さんが就職祝いに故郷の遊園地に行くと言う事で誘われたからだ。その遊園地にはホテルがあって一泊したいとの事なので、一泊二日のちょっとした旅行をする事になった。

 私達が向かっているのは隣町の馬蓮町(ばれんちょう)。二人の育った故郷の町。後から聞いた話だと、薔薇が多く咲いているのが特徴で男の人が多いという湯蓮町とは相対する町になっている。馬蓮町はバレンタインは積極的に行うらしい。語感が似ているからかな?ちなみに馬の部分は特に関係無いみたい。まぁ、湯蓮町も湯の部分は特に関係ないけどね。


「いいんですか?私も一緒に行って?」


「明花ちゃんは私達の恩人なので、それにもっと仲良くなりたいと思ったから」


「恩人って、そんな大袈裟ですよ......。でも、何で遊園地なんですか?」


「歩美は昔から遊園地が大好きでさ〜。一緒に行くと本当に子供のようにはしゃぐんだよ」


「た、環ちゃん!」


「へぇ〜。そんな一面があるんですね」


「本当はご家族の方達もお誘いしたかったんですけど......」


「ああ、別にいいですよ。お兄ちゃんはお隣の蓮華さんとデートしてると思うので」


「ほう、お前の兄ちゃんって彼女いたんか!」


「まぁ、まだ恋人の関係にはなってないですけどね。仲は良いですけど」


「賢二君も私達みたいに幼馴染がいるなんて、親近感がありますね!」


「ママはパートだし、パパはなんかやる事があるって言って部屋から出てこないので誘わなくても大丈夫ですよ」


「所長さんは部屋に篭って何してるんだ?」


「う〜ん、また何か作ってるのかな?」


 二人は普段はTシャツとエプロンだけど、今日は二人共ワンピースを着ておしゃれしている。


「それにしても二人共おしゃれすると、やっぱり可愛いですね」


「何だ、明花?それじゃあまるでアタシ達がいつもダサいみたいな言い方じゃねぇか」


「い、いや、私は新鮮だなと思っただけで......」


「ところで明花ちゃんのその茶色のTシャツ......」


「店のロゴのTシャツじゃねぇか。どうしたんだこれ?」


「いや〜、パパがこれを着て家の事をアピールしてほしいって」


「いやいや、お前はそれでいいのか......」


「明花ちゃんも環ちゃんみたいに可愛いんだから、おしゃれしないのはもったいないよ?」


「それは言い過ぎですよ。それに一応、前に買った服も持って来てますから。」


「そういえば、今日はあのタブレットの子はいないのか?」


「いますよ。リュックの中に」


 私は背負っていたリュックを降ろして、リュックの中を二人に見せた。タティーの他にもさっき言った服や下着やママからもらった旅行の費用等が入っている。

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