父への抑えられない好意 後編
「明花、タブレットなんて持ってたんだね」
そういえばタティー事そのままだった。
「そ、そうだよ。そうだ、チーズ食べる?」
私はキャンディーチーズを美澄ちゃんに渡した。
「ありがと。明花は相変わらずチーズが好きだね。スライスチーズが好きじゃなかったっけ?」
「スライスチーズはさっき食べたから、あはは......」
「さすがのチーズ好きだね、明花」
美澄ちゃんと二人でキャンディーチーズを食べた。こうしていると昔はここで美澄ちゃんと遊んだ時はよくおやつ代わりにスライスチーズ二人で食べたのを思い出しちゃうな。
「そういえばタティーさんは?」
「えっ?あぁ、タティーなら今日は遊びに行ってるけど、どうして?」
(うまくごまかせたかな?)
「そうなんだね。タティーさんって親戚なのもあって明花と一緒にいる事が多いから、普段からずっと一緒かと思ってたから」
「そりゃあ、タティーだって一人で遊びに行く時はあるよ」
「タティーさんって優秀だよね。でもその反面、明花が羨ましがれてみんなに嫉妬されてしまう」
「そ、そうだね」
「私が甲平さんの事で落ち込んでた時も、クラスのみんなに問い詰められていたよね。その時は事情がうまく説明出来なくて、明花に矛先が向いちゃったね。あの時は本当にごめん。」
「そ、その時の事はもう大丈夫だよ。」
「明花がクラスのみんなに何をやられても、私はいつでも明花の味方だから。困った時はいつでも頼ってよ。」
「あ、ありがとう」
やっぱりクラスのみんなにも慕われてる事だけはあるなぁ。タティーと同じくらい慕われてるんじゃないかなぁ。本当に人の父親に惚れてる事以外はしっかりしてるんだけどね......。
「だから、私は明花も金魚のフンと言われても味方でいるから、元気出してね!」
「うん!.......えっ?」
私って金魚のフンって言われてたんだ......まぁ、注目の的のタティーと平凡な私が一緒に居たら、確かにそう言われてるかもしれないけど、知りたくなかったな.......。
その後も美澄ちゃんと色々と話を続けて、日が暮れて夜になった。
「甲平さん遅いね。」
「呑み歩きの時は大体、夜まで帰ってこないよ。」
「じゃあ、もうすぐ帰って来るわね。」
そう話した直後に玄関の開く音が聞こえて、たでぇーまー!という声が聞こえて来る。呑みに帰って来た時はいつもこんな感じ。裏口の玄関に行くと、酔い潰れたパパが玄関で寝そべっていた。
「こ、甲平さん!?ちょっと明花!これじゃあ想いを伝えられないじゃない。」
「そうみたいだね。残念だけど。」
「こうなったら、もう伝えるしかないわ!甲平さん!私はあなたの事が好きです!私と幸せを......」
「美澄ちゃん。パパはこうなると朝まで起きないし、その言葉も聞いてないから意味ないと思うよ。」
「じゃ、じゃあ朝まで待つわ!」
「いや、明日学校でしょ?それにバレー部だったら朝練とかあるんじゃないの?」
「さ、サボるもん!」
「いや〜パパはちゃんとして人が好きだから、サボったら嫌われちゃうんじゃないかなー?」
(まぁ、パパの女の好みは知らないけど)
「そ、そうだったんだ......じゃあ甲平さんに嫌われないようにしないと!それじゃあ私は帰ることにするわ!じゃあね、明花!」
美澄ちゃんはそのまま裏口の玄関から出て帰っていった。すると台所からママがやって来た。
「あら、美澄ちゃん帰った?」
「あっ、うん。今、帰ってったよ。」
「そうなの。一緒に夕飯でもどうかと思ったけど、帰っちゃったならしょうがないわね。」
(もう美澄ちゃんをママには会わせないほうがいいかな)
「私、パパを寝室に運ぶね」
「あら、ありがと。パパったら、呑みに帰ると毎回これなんだから、賢二にも手伝ってもらいましょ」
やっぱり私は休日は一人でゆっくりしたいかな.......。
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