タブレットへの逆恨み 後編
校舎裏に着くと、脇田さんはどうしてもタティーと二人きりになりたいとしつこく言うので、私は茂みに隠れて二人を見守る事にした。
校舎裏は木や茂みが多く、池がある。昔は鯉を飼っていたらしいが今は溜め池になっていて、水だけが溜まっている。
見守っていると、どこからかこちらに向かって足音が聞こえる。足音と共に現れたのは、ぽっちゃりした体型の男子だった。しかしその男子はタティーに向かって勢いよく突進しようとしていた。
「喰らえ!」
「タティー様、危ない!」
男子はタティーを庇った脇田さんにぶつかり、脇田さんは男子のタックルと喰らって倒れてしまった。
私は茂みから出てタティーと男子の前に出た。
「ちょっと、あなた!いきなり女の子を突き飛ばすなんて危ないじゃない!」
「なんだ、お前は!」
「私はタティーの親戚の刑異明花だけど、そう言うあなたは何?」
「俺は土場 市雄。俺はそのタティーのせいでミチルが!」
「み、ミチル?」
「俺の彼女だ。彼女が昨日のリレーでそのタティーに負けて悔しくて、一日中泣いていたんだ。だから校舎裏に呼び出して、二度と学校に来れなくしようとしたんだよ!俺のタックルを喰らえ!」
「あっ、ちょっと!?」
市雄と言ったその男子はタティーにタックルをしたけど、タティーの力が強いので、弾き飛ばされてしまった。タティーはびくともしなかった。
「お、俺のタックルが効かないだと!こうなったら!」
すると男子はポケットからナイフを取り出した。
「ま、待ってよ!いくら何でも刃物はやりすぎだよ!」
「うるせぇ!じゃあテメェから死ねぇー!」
男子は刃物を持って、私に向かってきた。私は腰を抜かしてしまった。すると私の目の前にタティーが立って、男子の持っているナイフを掴んで、タティーは男子を振り解いた。
「明花様を傷つける人は許しません」
タティはナイフの刃を親指でパキッと折って、地面に落とした。
「くそっ......!」
「タティー様、かっこいい!」
「明花様、大丈夫ですか」
タティーは私に手を差し伸べ、私はタティーの手を掴んで起き上がった。
「助かったよ、タティー」
「ちくしょう、こんな事やったなんて知られたら退学になっちまう!」
「安心して、この事は誰にも言わないよ。」
「な、何!?いいのかよ!?」
「その代わり、罰は受けてもらうけどね」
私はタティーの背中のタブレットのホーム画面を操作して、金ダライを上から出現させるように操作した。
「ザマァないわね、デブ汗っかき!タティー様に刃向かうから無様な事になるのよ!」
金ダライが上から落ちると、男子と脇田さんの頭に激突した。
「ブルゥ!」
「キャン!」
二人はふらついた足取りで、そのまま溜め池に落ちていった。
「......帰ろう、タティー」
もう面倒臭くなってしまった私はタティーと家に帰る事にした。
その出来事以降、脇田さんはタティーには近づかなくなってしまった。聞いた話によると、どうやら体育祭までの数日の記憶がすっぽ抜けてしまって、タティーの事はクラスメートの一人の関係に戻ったようだ。
なんか悪い事したような......いや、そうでもないかな......。
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