家族からの余計な心配
パパの部屋を出た。パパからプレゼントされたタブレットのタティーが私に付いてくる。
私が部屋に戻ると、ママが声を掛けてくる。
「明花、あら、その人......」
「あ、ママ。この人は......」
「ちゃんとパパに渡されたみたいね。」
「えっ?ママ知ってるの?」
ママはタティーを見ても驚いていなかった。後に聞いたんだけど、パパがタブレットを作っていたのは、私以外は知っていたみたいで、私にはサプライズプレゼントにしたくて内緒にしてたみたい。全然気づかなかった......。
「そんなサプライズな入学祝いを貰った明花にもう一つ、サプライズな入学祝いをママからも、はい。」
ママからの入学祝いは、スマートフォンだった。見た感じはごく普通のスマートフォンです。
「やっぱり、タブレットを持ってるなら、スマホも持ってた方がいいからね。」
「これって、普通のスマホだよね?これもまさか......」
「いや、これは流石にパパが作った物じゃないわよ。それだと、電話が出来ないじゃない。」
「そ、そうだよね。流石にね。」
「それじゃあ、えっと、タティーちゃん?明花の事を頼むわね。」
「お任せ下さい、佳代さん。」
なんでタティーに頼まれているんだろう。心配しすぎてるのかな?
部屋の前まで来ると、私の向かいの部屋のドアが開いた。私のお兄ちゃんの賢二が部屋から出て来ました。
「おっ、明花。父さんから無事もらったみたいだな。」
お兄ちゃんも特に驚いていませんでした。
「それにしても、よく出来てるな〜。前に一回見たけど、本当の人間の女にしか見えないな。胸もしっかり柔らかいし......」
「ちょっと、お兄ちゃん!勝手にタティーのそんな所触らないでよ!」
お兄ちゃんは見た目はかっこいいけど、デリカシーが無くて、勝手な事をする事があります。隣に住んでいる幼馴染も手を焼いていると言ってました。タフィーは胸を触られても特に反応はありません。そこはしっかり機械らしいのかな?
「タティーって付けたのか。明花の事を頼んだぞ!」
「パパもママもタティーに私の事を頼んでたけど、何で?」
「だって、お前友達が少ないからさ......せめて心の拠り所になってくれればと思ってさ。」
「余計なお世話だよ!」
私は思わずカッとなって叫んで部屋に入った。ついドアを強く閉めて、大きい音を出してしまった。でもあんな事言われたら、怒りたくもなるよ。
「みんな友達少ないって、そりゃあ多くはないけど......本当に余計なお世話なんだから!」
「それだけ、家族の皆さんは明花様が心配なんですよ。」
「そうなのかな〜。ねぇ、タティーはその姿からタブレットに戻すにはどうしたらいいの?」
「私のうなじに文字が書いてあるので、そこを触れば姿を変えられます。」
後ろに回って、赤い髪を掻き分けてタフィーのうなじを見てみると、英語の文字が書いてあるのを見つけた。
[TABLET FORM]
文字を押すと、タティーは人の姿からタブレットに戻った。うなじ触ったら、本当に私達のような人間と同じ感じでした。確かにこれだと、お兄ちゃんの言う通り柔らかいかもしれない。
「まぁ、私も自分の意思で自由に姿を変えられますけどね。」
そう言うと、タティーは自分から人の姿に戻った。じゃあ、わざわざ私がやらなくてもいいのかな。
「タティーはパパの発明品だけど、何か出来るの?」
「そうですね、一般的なタブレットが出来る事は出来ます。この姿でも写真を撮ったり、瞬時に計算する事が出来ます。」
「ああ、確かにタブレットに出来る事だね。」
「それより、私に外に出てみたいです。」
「分かった。でも今日は色々と疲れたから、明日でいい?」
「分かりました、明花様」
明日も休日なので、明日はタティーと一緒に出かける事になりました。それにしても、大人の女の人に様づけで呼ばれるのって、なんかいいかも。
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