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忘却出来ぬ故の脱獄 後編

「これで運びましょう」


「本当に何でも出せるのね......タティーさん。」


「た、タティー、もう今日は働いて充電が減っているんだから、あんまり機能はつかわないでよ......」


「少しでも片付けやすくなればいいと思ったので」


 そんなの心配しなくていいのに......タティーは本当に私の事を心配し過ぎなんだから。

 せっかく出した台車も使わせてもらい、小道具の片付けを終えた私達は教室に戻ろうとした。

 その時、タティーが倒れてしまった。充電がもうすぐ切れそうになってしまったのだ。グラウンドで倒れたタティーを見て、教室の窓から見ていたクラスのみんなが心配していた。


「タティーさん、大丈夫!」

「刑異さん何してるのよ!」

「明花!早く保健室に連れて行け!」

「賀藤さん!タティーさんを保健室に!」


 みんなタティーの事を心配している反面、私の扱いがなんか悪い気がする。


「と、とりあえずタティーを保健室に......」


「明花、誰かこっちに走って来るんだけど......」


 日華ちゃんに言われて前を見ると、小太りのハゲたおじさんがこちらに向かって来た。そのおじさんは倒れているタティーを背負い始めた。


「やっと見つけたよ!僕の女神様!」


「何、このおっさん!?」


「あー!この間のスカートめくりおじさん!何で!?捕まったんじゃないの!?」


「この子のパンツが目に焼き付けられちゃって、刑務所から脱出して来たのよ!さぁ僕と一緒に行こう!」


「な、何言ってるんですか!タティーは私の大事な家族何ですよ!離してください!」


「えぇーい!ちんちくりんのチビに用はない!」


「ち、ちんちくりん.......」


 おじさんにそう言われた私は、膝をついて落ち込んでしまった。


「ちょっと、おっさん。そんな汚い手でタティーさんを触らないでよ。」


「なんだと!いいからどけ!」


「わぁ!」


 おじさんは日華ちゃんを突き飛ばして、学校から逃げよう校門へと走って行った。すると校門前に小熊先生が待機していておじさんの所に向かって行った。


「お前!俺の生徒に何してる!」


「うぎゃん!?」


 先生はおじさんの顔面にパンチを喰らわせて、おじさんは気を失ってその場で倒れてしまった。


「明花、今日はもうこのままタティーを連れて帰りなさい。かばんとかは後で家に持っていくから。」


「わ、分かりました!ありがとうございます!小熊先生!」


 私はタティーに肩を貸して、体操着のまま学校から出て行った。学校から離れた所でタブレットの姿に戻して下校した。しばらくすると小熊先生は家に私とタティーのカバンや制服を持って来てくれた。後から日華ちゃんに聞いたけど、おじさんは再び逮捕されて刑務所に戻って行ったみたい。

 小熊先生の事はあまりよくは思ってなかったけど、ちゃんと助けてくれた事で私は先生の事を見直していた。

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