5.お披露目
召喚されてから5カ月、とうとうこの日が来てしまった…。
講義は色々とあったが、何とか終わらせた。
全ての講義が終わってこの国の歴史やマナーについてわかった。
しかし、と言うべきか、だからって言うべきか、とうとう『守護者召喚の儀』によって召喚された私のお披露目会が開かれてしまうことが決まった…。
全ての講義が終わって自室に帰ったところ、ナタリーさんから一通の手紙をもらった。
その手紙は宰相様からで、内容は要約すると『次の週末にお披露目会をするから準備を』って内容だった。
あと、ステータスの件については隠し通すのは難しいだろうからすべてを公表したいっていう要望もあり、私自身うそをつくのが苦手だから、ナタリーさんに承知したという内容の手紙を送ってもらった。
もちろん、初期にした契約も無効になるそうだ。
手紙を読んですぐに、私は守護者じゃないからお披露目会はしなくてもいいのでは?とナタリーさんに抗議をした。
しかし、ナタリーさん曰く、守護者はステータス上に表示されるものではなく災いから守ってくれるからそう呼ばれている名称のようなものらしい。
でも、私は女だから違うと言おうとすると先を読んだかのように、
『男も女も関係ありません!
セナ様は【聖女】であるのです!
聖女様は守護者と同じように尊ばれる存在なのです!
さぁ、目立つのが嫌という理由で参加されないのは私どもも許しません!
お披露目会に向けて準備いたしますよ!』
と言われてしまった。
できる侍女長さんは、5カ月の間に私の性格を知りつくしたらしい。
私が言おうとしていることを先読みして、説得されてしまった。
そして当日。
今日の私の役目は陛下の隣に目を伏せて———淑女たるものチラチラよそ見するのは良くないらしい———立ち、就職先も含めた自己紹介をして自身のステータスを提示するだけ。
魔獣については、聖獣は大きすぎて室内に連れてこれないから、後で丘の上に移動して見たい人だけ見るっていうことになった。
午後には、国のお偉いさんや貴族の方々とのお食事会がある。
だから緊張する必要はない。
そう自分に言い聞かせた。
陛下が本題に入る前の雑談的なものをしているときも心のなかで唱え続けていた。
でも、見ている人はこの国で偉い人たちばかりで、しかも、全員の目が私を見ている。
緊張しないはずがない。
ふと、前にも同じような場面で緊張していたことを思い出した。
見ている人たちよりも高いところに立ち、自己紹介する。
着任式だ。
でも、あのときは、なんか私を落ち着かせる何かがあった。
何だっけ…?
「紹介する。
今回、召喚の儀で召喚されたセナ・ヤネカワだ。」
そんな事を考えているうちに自己紹介をする場面になり、話すためにと視線を上げる。
上げてる途中、マリヌス様とマリヌス様にそっくりな女の人とそれぞれ目が合う。
目が合ったと気づいた2人は、私を元気づけるように微笑んでくれた。
笑顔は魔法。
どこかで、そう聞いたことがある。
2人のおかげで緊張していた心がほどけていき、順調に話し出すことができた。
「ただいまご紹介を受けました、セナ・ヤネカワです。
来月から研究所、及び王宮学園の教導師として働かさていただきます。
以後よろしくお願いいたします。」
そして———
「『オープンステータス』」
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屋根川 聖菜 Lv.60 【聖女】
HP : 2798 / 4178
MP : 6869 / 6900
魔獣:聖獣
戦闘スキル:
全属性 Lv.88
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ステータスを出したまま、目の前に置いてある透明の玉———真実の水晶に右手を置く。
置いたのを確認し、宰相様が口を開く。
「セナ・ヤネカワ、
そなたは異界より招かれ、この王国に新たな縁を得た。
本日より、この国の庇護を受けると同時に、この国を支える一人の民として歩むこととなる。
そなたは、いかなる時もこの王国の民であることを忘れず、国を敬い、王を尊び、ここに生きる人々を慈しみ、そして己が名と誇りを損なわぬよう努めることを誓うか」
「はい、誓います」
誓うとともに、真実の水晶の輝きが増す。
真実の水晶とは、それに触れているものが本当のことを言っているか、嘘を言っているのかどうかを確認できるもので、本当のことを言っているのなら輝きが増し、嘘を言っているのなら、白く濁るそうだ。
水晶が輝いたのを確認した宰相様は、陛下を見て頷く。
陛下も小さく頷く。
「今ここで、セナ・ヤネカワがこの国の民になったことを認める!」
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セナ・ヤネカワ Lv.60 【聖女】
HP : 2798 / 4178
MP : 6869 / 6900
魔獣:聖獣
戦闘スキル:
全属性 Lv.88
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陛下がそう言うと、ステータスの名前の表示がこの国の人と同じようになる。
ファルスティック王国の民であることを認められた証だ。
ステータスが変わったのを見届けると、私を見ていた人たちが一斉に胸に右こぶしをあてて、軽く頭を下げた。
陛下はそれを見届けると、頷き、立ち去る。
陛下が歩き始めたのを気配で感じ、私は、その場で深くお辞儀をして陛下に続いた。




