3.魔法
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「ところで、ヤネカワ殿のいた世界では魔法は存在しないと聞いたが真か?」
守護者についての説明が終わり、そろそろ帰れると思った頃にこの質問が来た。
なんで私の元居た世界で魔法が存在しないを知っているのか不思議だけど、実際にそうなので、知っている限りの敬語を使い肯定の意を示しておく。
「はい、左様でございます。」
「そうであるか。
勝手に召喚した上に誠に申し訳ないが、ヤネカワ殿がいた世界に戻れるかどうかも不明である。
これも今後調査するが、これからこの国で生きていくうえで魔法は使えないと不便である。
そのため、ヤネカワ殿には魔法について詳しく学んでいただきたいのだが、よろしいだろうか。」
やっぱり、そうよね。
過去に普通でない経験をしてきた私には、もう何が普通の世界なのか判断できなくなっている所がある。
召喚されたときは驚いたけど、それ以外は少し動揺するくらいで取り乱したりはしない。
それで、‟やっぱり”と思ってしまった。
多分、向こう側としては、こっちの世界のマナーについても学んでほしいと思っているけど、さすがに言いにくいのだろうか、言ってこない。
仕方がない、こっちから言い出そう。
無礼だろうから心の中で、仕方がないと思ってしまったことを謝罪しておく。
まぁ結構興味あるし、何なら、他にも自然科学とかこの国の歴史とか地理についても学びたい。
勝手に召喚されて少し怒っていたところもあるので、わがままだろうけど言い出してみる。
「そうさせていただけるとありがたいです。
もしよろしければ、こちらの国のマナーや歴史、地理、自然科学などを学びたいのですがよろしいでしょうか。」
国王陛下の顔が驚きと安堵の表情へと変わる。
「了解した。
しかし、準備などのために数日待っていただきたい。
準部が終わり次第、ヤネカワ殿に伝える。
それまでは、自由に過ごしていただきたい。
何か要望があれば、侍女に伝えるが良い。」
国王陛下の言葉に感謝の意を示し、退出の許可が出たので部屋を後にした。
説明から3日後、王都から少し離れた場所に移動し魔法などの講義(?)を受けられる知らせが来た。
王都周辺の施設などは、知らせを受けるまでの暇な時間に侍女長のナタリーさんに教えてもらった。
ちなみに高貴な身分の人しか苗字がなく、平民は名前だけしかないそうだ。
また名乗る際は、苗字があったとしても自身より上の身分の人へは初回以外は名前だけで名乗らないといけないらしい。
そんなわけでナタリーさんはもちろん私も初回以外はお互いを名前で呼び合っている。
まぁ、私のほうはどんな身分かもわからないし、もし仮に守護者じゃなかったら(女な時点で守護者なわけないけど)身分はたぶん、平民となる。
侍女さんたちには反対されたけど、侍女さんたちには名前で呼んでもらうように説得した。
そもそも、ほぼ階級がない日本生まれの私が様とか殿を付けられるのは、だいぶ抵抗があったんだよね。
あぁ、それと、時の数え方や四季などが日本と同じように分かれていることも分かった。
時差はあれど、ほとんど日本と同じで助かった。
だって、程よい温度の環境でしか働いてない私にとって急に1年中熱いとか言われたら困るし、体調も崩す可能性もあるし、いざというとき本領を発揮できないかもしれないしね。
そんなこんなで、次の日、この国の基礎知識となる「魔法」について学ぶため、研究所や騎士団の隊舎などの施設がある、王都から30分ほど離れた場所へ馬車でやってきた。
講義を受けるのは、「魔法学研究所」がある研究棟だ。
研究棟は1つだが、棟内は「魔法学研究所」と「自然科学研究所」に分かれている。
マナーの講義以外は、小会議室のような場所でやるらしい。
授業は基本1人で受けるので、ナタリーさんたちは王宮でお留守番。
ここまでは、第1騎士団の誰かが案内してくれた。
この世界には第1~第3騎士団が存在し、第1騎士団は王族の警護を主に、第2騎士団は貴族の警護や魔物の討伐など、第3騎士団は事件などが起こったときに対応するらしい。第3騎士団は、日本で言う警察のようなものだ。
部屋に入り、しばらく待っていると私と同年齢くらいで背が高く、濃紺色の髪を持つほぼ無表情の男性が入ってきた。
「今後、あなたに魔法を教える、魔法学研究所所長兼魔法師団師団長のマリヌス・ミラーだ。よろしく。」
なんか、ものすごいぶっきらぼうな言い方ね。
まぁ、そんなことはどうでもいい。
この人、初対面のはずなのにどっかであったことがある気がする。
誰だっけ。
私にとって、大切な人。
忘れてはいけない人。
思い出したくても思い出せない。
なんで…。
そんなことを考えながら、思わず見つめてしまっていたのかミラー様の頬がだんだん赤くなっている。
見かけによらず、なんかかわいい。
「申し訳ございません。考え事をしておりました。
私は、セナと申します。」
そこまで思って、自分が名乗ってないことに気づき慌てて名乗る。
苗字を言わなかったのは、平民だからだ。
いや、平民と思い込みたいからだ。
「…だな。」
「何か言いました?」
私の名前を聞いて、ミラー様が何かを言うが聞き取れなく、聞き直す。
「いや。こっちの話だ。
それより、俺は敬語とやらが苦手だ。
この調子でいくが、気分を害するだろうか。
ヤネカワ様。」
「…っな⁉」
私の苗字を知っていることに驚き、変な声を出してもらえる。
まぁ、そりゃあ知ってるか。
「申し訳ございません。取り乱しました。
敬語を使わなくても私は、大丈夫です。
ただ、貴方様のような高貴な身分であるお方に平民である私が苗字で呼んでもらうわけにはいきません。
名前で呼んでいただけるとありがたいです。」
「分かったそうさせてもらう。
セナ、改めてよろしく。」
「よろしくお願いします。ミラー様。」
「俺のことも名前で呼んでもらっても構わないが…」
「いえ、ミラー様のほうが身分が上なので、ミラー様と呼ばせていただきます。」
「そうか…。
じゃあ、さっそく魔法について教える。」
ん?
なんか、悲しそうな顔しました?
話しているうちに最初の無表情な顔はどこに行ったのか、とても表情が豊かになっている。
話している間も最初に思った何とも言えない胸のもやもやは消えない。
名前で呼ばれたときも何か、忘れてはいけない誰かがいると感じた。
そんなことを思っているうちに、魔法の講義が始まった。
「この国にいるものはすべて、魔力を持っている。
人間だけでなく、動植物もだ。
魔力を持っているかどうかは『ステータス』で確認できる。
どんな人でも12歳を過ぎたら、陛下にお伝えしなくてはならない。
お伝えするためにも、セナにどんな能力があるかを調べるためにもその『ステータス』を確認したい。
確認するためにも、魔力は必要だ。
確認するために使う魔力をセナに流してみる。
何かを感じたら、言ってほしい。
手を出して。」
言われた通りに手を出す。
その手をにぎられ、少し緊張しながらも魔力に集中するため、目を閉じる。
「流すぞ。」
ミラー様がそういうと、何か波のように感じる温かいものが、腕から体へ、そして全身に流れるのを感じた。
感じたものを正直に話すと、
「さすがだな。
どんなに優秀な人でも初めてでそこまで感じられる人はいない。」
と、言われた。
なんかうれしい。
「じゃあ、その感じたものを今度は、俺に流すようにしてみろ。」
言われたとおりに、体の内にある魔力をミラー様と触れている手に移動するように念じてみる。
最初のほうは、なかなかうまくいかなかったが、何回かしているうちに、うまくできた。
「上出来だ。
次に、ステータスについて手本を見せる。
『オープンステータス』。」
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マリヌス・ミラー Lv.40 【魔導士】
HP:2360 / 2365
MP:3756 / 3760
戦闘スキル:
時属性魔法 Lv.33
闇属性魔法 Lv.30
氷属性魔法 Lv.30
水属性魔法 Lv.26
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ミラー様が唱えると、半透明の掲示板のようなものが出てきた。
うん、なんかすごい。
異世界って感じ。
「今のは、相手に自分のものを見せることができる『オープンステータス』だ。
相手に何を見せて何を見せないかなども細かな魔力操作によって変えられる。
今見せたのは、誰もが共通して書いてあるものだ。
ただ、一般の人の戦闘スキルはたいてい1つだ。
自分一人だけで見るときは『ステータス』とだけ唱える。
まぁ、とにかくセナもやってみろ。
まずは自分だけで確認して、セナが大丈夫なら、俺に見せてくれ。
記録して、陛下にお見せする。」
「分かりました。
『ステータス』。」
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屋根川 聖菜 Lv.60 【聖女】
HP:4000 / 4178
MP:6832 / 6900
戦闘スキル:
全属性 Lv.88
生活スキル:
家事スキル Lv.30
生成スキル:
製薬スキル Lv.30
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へぇ、これが私のステータスね。
もしかすると、元の世界でのスキルも影響してるのかな?
戦闘スキルは、1つだけね。
んん?1つ?
全属性って何?
しかも、何かと数字が多きくない?
これ、見せるべきよね。
一人じゃ理解できない。
あぁ、どうすればいいの?
「どうだ?確認できたか?」
「…えーっと、確認できたんですけど、全属性って何ですか?」
私事ですが、「古の記憶 ~屋根川聖菜、過去の物語~」 も連載中です!
(まだ1話だけですが…)
読んでいただけると幸いです!
中間テストの週に入ってしまいました。
レポートも結構あるので、更新が遅くなりそうです。