ねえみんな大好きだよ
レビュー執筆日:2021/4/12
●様々な方向に振り切れた楽曲を峯田和伸という一人のミュージシャンの強い感情で包み込んだアルバム。寡作になるのも納得の出来。
【収録曲】
1.DO YOU LIKE ME
2.SKOOL PILL
3.大人全滅
4.アーメン・ザーメン・メリーチェイン
5.骨
6.エンジェルベイビー
7.恋は永遠 Feat. YUKI
8.いちごの唄 long long cake mix
9.生きたい
10.GOD SAVE THE わーるど
11.アレックス
前作から実に約6年半ぶりなる銀杏BOYZのアルバム(といっても、前作は約9年ぶりのリリースだったようなのでそこまで意外な感じはしませんでしたが)。前作のリリース直前にボーカル・峯田和伸以外のメンバーの脱退が発表されたため、今作はソロになってから実質的に初のアルバムとなるわけですが、「様々な方向に振り切れた楽曲を聴かせる」というスタイルは今作でも相変わらず。あからさまに勢い任せのパンクナンバーである『DO YOU LIKE ME』のような曲がある一方で、YUKIをゲストボーカルに迎えて軽快に進める『恋は永遠』のような曲もあったり、スペーシーな打ち込みのサウンドが印象的な『GOD SAVE THE わーるど』のような曲がある一方で、フォーキーでしんみりとした『アレックス』のような曲もあったりと、非常に分かりやすい個性を持った楽曲群が惜しげも無く詰め込まれています。
もちろん、一つの作品としての「一貫性」も健在です。どの曲からも峯田和伸の感情が喜怒哀楽様々な形を持って溢れ出ており、それが強い個性としてアルバム全体を覆っているように感じられます。「もうきみのこと すきなんかじゃないよ 愛しているだけ」(アーメン・ザーメン・メリーチェイン)や「骨までしゃぶらせて」(骨)等といった歌詞は過剰なまでの愛情を表しているようですし、12分以上かけて自身の思いを爆発させる『生きたい』は色々と圧倒されるばかりで、まさに彼の真骨頂と言えるでしょう。
月並みな表現になりますが、さながら峯田和伸という一人のミュージシャンの約6年半という長い期間の集大成のように感じられる本作。寡作になるのも色々と納得できるアルバムでした。
評価:★★★★★