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光のなかに立っていてね

レビュー執筆日:2021/4/10

●人を選ぶエキセントリックな要素の中に「ポップさ」が垣間見える、他に類を見ない音楽性が炸裂さくれつしたアルバム。


【収録曲】


1.17歳

2.金輪際

3.愛してるってゆってよね

4.I DON'T WANNA DIE FOREVER

5.愛の裂けめ

6.新訳 銀河鉄道の夜

7.光

8.ボーイズ・オン・ザ・ラン

9.ぽあだむ

10.僕たちは世界を変えることができない


 今から7年ほど前、「銀杏ぎんなんBOYZが9年ぶりにアルバムを出す」ということで話題になった本作。当時の私は彼らについてほとんど知らず、「青春パンクバンド」みたいな勝手なイメージがあったのですが、このアルバムを聴いたらそういう考えは見事に打ち砕かれました。


 全体を通して聴いてみると、その音楽性の幅の広さに気付かされます。みなみおりのカバーである『17歳』では耳をつんざくようなノイズを響かせる一方で、幻想的な雰囲気の『新訳 銀河鉄道の夜』やキュートなアレンジが耳に残る『ぽあだむ』のような曲もありますし、ラップを取り入れた『愛してるってゆってよね』やユーロビートを彷彿ほうふつとさせる『I DON'T WANNA DIE FOREVER』のような打ち込みをメインとした楽曲も収録されています。


 かといって、これほどまでに幅広いジャンルの楽曲を収録しておりながらも、不思議とアルバムとして散漫な印象を受けませんでした。みね和伸かずのぶの時に粘着質で時に感情を剥き出しにするボーカルスタイルは非常に特徴的ですし、どの曲も敢えて音質が粗めに録音されているということもあって、一つの作品としての「一貫性」を強く感じられます。それゆえに人を選ぶエキセントリックなところがあるのですが、それと同時に、分かりやすいメロディを単純に楽しめる「ポップさ」が垣間見えるところもあり、そういった二つの要素が混じり合って、他に類を見ない音楽性が炸裂しているように思えました。


 収録曲の中でも特に印象に残ったのが7曲目の『光』。ピアノの演奏をバックにした静かな雰囲気から激しいバンドサウンドへと移行していく構成、「白い首を絞めていたよ」等といった強烈な歌詞、泣き叫ぶようなボーカル等といったインパクトのある要素が数多く存在し、10分以上という長い演奏時間でありながら冗長さを感じさせない楽曲になっているように感じられます。


 はっきり言って、今作は間口の広い作品ではありません。先程挙げたように、峯田和伸のボーカルはかなり癖がありますし、冒頭から大音量のノイズを流す曲も少なくなく、ある意味そういう風にして一定数のリスナーをふるいにかけているようにも思えます。しかし、そういったものを超えた先に、感情的で豊かな風景が広がっている……そんなアルバムになっているのではないでしょうか。


評価:★★★★★

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