#3 パーティメンバー
手っ取り早く昼食とトイレを済ませる。
ヘッドセットを装着しスカイアドベンチャーを起動する。
俺の一日はほぼゲーム配信に費やしていると言っても過言。
『まだ配信してて草』
『いつ寝てるんだ?』
俺の配信でよく見かける視聴者のコメントである。
そう言われるくらいには俺の配信時間はいつも長かった。
長時間の配信はチャンネル登録者が増えやすい。
毎日配信してれば、視聴者も離れにくくなるしね。
* * *
始まりの街【スカイシティー】
スカイアドベンチャーにインすると、まずはこの街に現れる。
アイテムを販売している【ショップ】
モンスターの素材から装備を作り出す【加工屋】
色んな場所にワープすることができる【転移装置】
冒険に必要な施設はだいたいこの街にそろっている。
街のNPCに話しかければ【クエスト】も発生したりする。
序盤では結構お世話になる街である。
転移装置があるのは噴水広場。
ここにはフィールドやダンジョンに向かう人たちが多く集まる。
移動に関してはこの転送装置を利用するのが一番便利なのだ。
ここを待ち合わせの場所に指定するプレイヤーたちは多いようだ。
俺の目的は今日もSBSだ。
最初の頃はクエストやダンジョン攻略といった冒険を楽しんでいた。
しかし、アプデ後からはもうすっかりSBSにハマってしまったのである。
戦う相手はモンスターではなくリアルのプレイヤー。
モンスターを攻略するのとはまた違う面白さがそこにはあった。
SBSが行われている会場へ行くのにも一度転移する必要がある。
俺は噴水広場に到着した。
そこには見慣れたフレンドたちがベンチに腰かけていた。
「悪い。待たせたな」
申し訳程度の挨拶。
大体いつも、待ち合わせでは俺が最後になることが多い。
「おはニート! カケル、今日もランク上げよろしくなのです!」
プレイヤーネーム【ピィちゃん】
レベル:440
種族:ヒューマン
翼:機械翼
おいその挨拶はやめろ。
俺はニートじゃねえ……。
このゲームで一番最初にフレンドになったのがピィちゃんだ。
冒険のほとんどは彼女とパーティを組んで攻略をしていた。
ピィちゃんいわくメイド服=戦闘服。
いつでもメイド服を装備している。
髪型は黒髪のセミロングを左右で結って、おさげにしている。
見た目にもかなり気を使っているのがわかる。
オシャレな眼鏡とメイド服がとても良く似合っている。
まったく。
どうやったらそんなに可愛くキャラメイクできるんですかね?
「ウフフ、ピィちゃんは今日も可愛いわね。そろそろマスターランクいけそうなの?」
プレイヤーネーム【毒姫】
レベル:230
種族:ビースト(サソリ)
翼:生物翼
ピィちゃんと仲良さそうに話しているのは毒姫さん。
とにかく毒属性が大好き。
装備は肌の露出がギリギリの真紅のドレス。
エロいよ!
髪型は紫色のロングヘアーをサイドだけ束ねたハーフアップ。
腰からはサソリの象徴とも言える毒々しい尾が生えていた。
毒姫さんとも何度かパーティを組んだことがある。
毒状態に苦しんでいるモンスターたちを眺めて、不気味な笑みを浮かべてのは中々にヤバかったでした。
「僕は昨日ついにランクがスーパーに上がったよ! 全く自分の才能が恐ろしいな! HAHAHA!」
プレイヤーネーム【ジェットマン】
レベル:90
種族:ギア
翼:機械翼
存在がポジティブ!
彼は最近知り合ったフレンドの一人。
クエストで苦戦していたところを助けてあげたのだ。
最近はよく一緒に遊ぶようになった。
身体に色んな仕掛けがありそうな戦闘用スーツを装備している。
見た目だけならとても強そう。
今日はこの4人でSBSに行く予定だ。
フルパーティでSBSに挑めるのは非常に助かる。
即席のメンバーが集まる【ランダムマッチ】も一応はある。
しかし、ランダムだとどうしても連携が取りにくい場面もあるのだ。
「それじゃ行こうか。今日は試したい作戦が何個かあるんだよね」
俺たちは【SBS闘技場】へと向かった。