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11/12

#11 配信者の意地

 両手持ちの銃には、フルオートやバースト射撃ができるものが多い。

 このゲームでは、ほとんどのプレイヤーが両手持ちの銃を採用している。

 その火力や連射力のおかげでキルが取りやすいという理由もあり、初心者から上級者まで幅広い層に人気があるのだ。


 だが、俺はあえて方手持ちのハンドガン【ストライク・マグナム】を装備している。


 ハンドガンは射撃中でも機動力が失われにくい。

 そしてもう一つ、他の利点がある。

 正直これが採用してる理由としては最も大きい。

 なんと、他の【片手用武器】を同時に装備できるのだ。

 ナイフや短剣、他にも二丁目のハンドガンを装備したりもできる。

 ちなみにピィちゃんが愛用している【シューティングスター・ラピッド】は【双銃】と呼ばれるカテゴリーに入っているため、両手持ち専用武器である。


 基本的に武器を片手で装備するとなると、軽量級の武器が選ばれる。

 重量のある大剣などを装備するためには、両手持ちでなければならない。


 そこで俺が選択した武器がこれだ。


【ソニック・ブレード】

 武器種:実体剣

 重量:軽量級

 武器アビリティ:見切り・防御成功率UP・カウンター成功率UP


 鍔無しの直刀。

 刀身が細く、速さを重視した高速戦闘を得意とする。


 銃以外の武器には、チャージショットの代わりに【武器アビリティ】というものが存在する。

 武器アビリティは武器ごとに自由に付与することができ、同じ武器でも全く性能が違ったりすることもある。


 ソニック・ブレードとストライク・マグナムの同時装備。

 俺は狙撃以外では、この二つの武器を装備して戦うことが多い。

 そして銃撃と剣術を両立させるために、俺はソニック・ブレードを逆手持ちで使用している。

 傍から見たらかなり変則的なスタイルだと思うかもしれないが、自分なりに研究した結果、この戦闘スタイルに行きついたので心配はいらない。

 

 * * *


 俺は敵と遭遇してしまったジェットマンと合流するために急いで移動していた。

 味方の位置情報は、マップを確認すればいつでも分かるようになっている。

 ジェットマンの方もこちらに向かってくれているようだが、かなり苦戦しているらしく移動ルートがめちゃくちゃになっていた。

 おそらく敵の銃撃から逃れながら動いているせいなのだろう。

 それでも俺はジェットマンの移動ルートを予測しながら、なんとか先回りしなければならない。

 でないと合流に失敗して、俺までその後ろを追いかける形になってしまうからだ。


 そしてすぐに異変が起きた。

 マップに表示されているジェットマンの位置情報がものすごい早さで動き出したのだ。

 

(間違いない……EXウェポンを使ったんだ……)


 ジェットマンがピンチだ。

 すぐに助けなければならない。


 リング持ちのデスは勝敗に直結する。

 このゲームにおいて、リングの奪い合いは必ずと言っていいほど存在するのだ。

 相手のリングを減らしつつ、こちらのリングを増やせるのだから当然である。


 幸いなことに俺の予測はそこまで外れてはいなかった。

 ジェットマンがEXウェポンを使ったのなら、もうルートを変えることはない。

 あれは最高速度で飛行できる代わりに、直線的にぶっ飛ぶことしかできない技なのだ。


 このままいけば数秒後に合流できる――


 3……2……1……


 そこで俺は凄まじいものを見てしまった……。


(うぇええええええッ!?)


 超スピードでこちらに向かって来るジェットマンと、さらにその後ろから迫りくる巨大竜巻の姿であった。


 ユニゾン・アーツか……。

 あれほどの威力の大技はそれくらいしか考えられなかった。


 あれを何とかしないとジェットマンがやられてしまう。

 俺は手元にソニック・ブレードを出現させ、すぐにアーツ発動の構えを取った――


 * * *


 通常、バトルアーツは発動難易度ごとに段階が分かれている。

 ほとんどのバトルアーツは【ファースト・アーツ】と呼ばれるもので、誰でも比較的簡単に発動することができる。

 そして、その一つ上に【セカンド・アーツ】というものが存在する。


 アーツはスキルや特殊なモーションを組み合わせることによって発動できる。

 例えるなら、格闘ゲームで必殺技を出すためには、難しいコマンド入力が必要なのと同じように。


 そしてこのセカンド・アーツなのだが、発動難易度が馬鹿みたいに高い。

 発動に必要な動作の基準が、ファースト・アーツの数倍は難しくなっている。

  

 それならばと多くのプレイヤーはセカンド・アーツの習得を諦め、一つでも多くファースト・アーツを習得する方を選んだのであった。

 

 俺も時間の無駄だし、それも選択肢の一つかと考えた。


 だが、俺はチャンネル登録者数100万人の配信者だ。

 生活していくためにも、こういうところからちゃんとネタを拾い、リスナーが楽しんでくれるような配信をしたいと考えていた。

 こういうハードモードに挑むってのもゲーマーらしいじゃん!


 ……てことで。


 【スカイアドベンチャー】高難易度のセカンド・アーツを習得するまで終われません!!


 地獄の耐久配信を覚悟した瞬間であった……。

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