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迷宮の謎


黒騎士との激戦を終えた五人は、しばしの休息を取っていた。


「ふぅ……強敵だったわね」


セレネが床に腰を下ろしながら、細い指で額の汗を拭う。


「まあな。だが、まだ先がある」


黒騎士を倒したことで、この階層の障壁は解かれ、次のエリアへと進むことができるようになった。


「さて、行くか」


五人は再び歩き出した。


迷宮は依然として不気味な沈黙に包まれていた。壁は黒曜石のように滑らかで、時折、青白い光が揺らめく。


「このダンジョン……やっぱり普通じゃないわね」


カナルが呟く。


「当たり前だろうな。無限に続くと言われている以上、常識は通用しない」


グレイは淡々と答えた。


彼の言う通りだった。この迷宮には終わりがなく、階層を進めば進むほど、未知の危険が待ち受けているのだ。





次の階層に入った途端、空気が一変した。


「……この感じ、嫌な予感がするわね」


セレネが周囲を見回しながら言う。


そこは広大な大聖堂のような空間だった。天井は高く、荘厳なステンドグラスがはめ込まれている。


「この場所……どう考えても、ただの通路じゃないな」


ラスティが警戒する。


すると、突如として空間が歪み、金色の鎧を纏った騎士たちが姿を現した。


「……来たな」


グレイが剣を抜く。


金色の騎士――それは、黒騎士を超える上位存在であり、過去の記録でも数少ない者しか生き残れなかったという。


「気をつけろ……こいつら、普通の敵じゃないぞ」


主人公がスキル収納を展開し、最適なスキルを選び出す。


“魔力感知”


“速度上昇”


“攻撃力増強”


「行くぞ!」


主人公の号令とともに、戦闘が始まった。



金色の騎士は圧倒的な力を持っていた。


ラスティの拳が直撃しても、鎧にヒビ一つ入らない。


セレネの魅了魔法も効果がない。


「こいつら……まるで動く鉄壁じゃないか!」


ラスティが歯を食いしばる。


「ならば、別の手を考えるしかないわね」


セレネが妖艶に微笑むと、黒炎の魔法を放った。


黒炎は対象の内部から焼き尽くす特性を持っており、物理的な防御を無効化する。


すると、金色の騎士たちの動きが鈍った。


「効いた……!」


「このまま押し切るぞ!」


主人公がスキル収納から”瞬間移動”を取り出し、敵の懐に飛び込む。


――ズバァッ!


彼の一撃が、騎士の首元を貫いた。


「よし……あと一体!」


ラスティが雄叫びを上げながら拳を振り抜くと、最後の騎士が崩れ落ちた。



階層の異変


金色の騎士を倒した瞬間、迷宮が振動を始めた。


「……地震?」


カナルが不安そうに呟く。


だが、それはただの揺れではなかった。


床が徐々に崩れ、まるで迷宮そのものが変化していくかのようだった。


「おい……これはマズいんじゃないか?」


ラスティが身構える。


すると、どこからともなく声が響いた。


【――――――我が墓地へようこそ。旅人よ】


空は暗雲に覆われ、雷鳴が轟いていた。かつて王国の英雄と称えられた黄金騎士――その全身を覆う純金の鎧は、稲妻に照らされて鈍い輝きを放つ。


「ようこそ、我が墓標へ」


 騎士の声は低く、重々しかった。その手には巨大な黄金の大剣。身に纏うのは圧倒的な魔力。


 レイ、セレネ、ラスティ、グレイ、カナル――五人は騎士を取り囲むように構えた。


「……こいつ、本当に人間なのか?」


 グレイが低く呟く。冒険者として数々の強敵と戦ってきた彼ですら、この黄金騎士の異様な気配には警戒を隠せない。


「普通の相手じゃないことは確かね」


 セレネは涼しげな表情を保ちながらも、指先には妖艶な魔力が集まっている。


「とにかくやるしかねぇだろ!」


 ラスティが地面を蹴り、まるで狼のように低い姿勢で疾駆した。鋭い爪が黄金騎士の首を狙う。しかし——


「遅い」


 黄金騎士はほとんど動かず、ただ剣をわずかに傾けただけだった。


 次の瞬間、空気が裂けるような衝撃とともに、ラスティの爪が弾かれる。衝撃で地面が砕け、彼女の体が弾き飛ばされた。


「がっ……!? 何だ、こいつ……」


 ラスティが驚愕する。力では彼女が圧倒的なはずなのに、黄金騎士はほぼ無傷だった。


「魔力障壁……いや、違う。あの鎧そのものが、常識外れの強度を持っているのよ」


 セレネがすぐさま分析する。サキュパスの本能が警鐘を鳴らしていた。この相手に真正面から挑むのは得策ではない、と。


「なら、まともに戦うのはやめるか」


 レイが冷静に呟く。次の瞬間、彼は収納スキルを発動し、周囲の瓦礫や巨大な岩を次々と消し去る。そして——


「放出」


 レイの合図とともに、彼の背後から大量の巨大な岩が黄金騎士へと降り注ぐ。


「ふん……小細工を」


 黄金騎士が大剣を振るうと、衝撃波が放たれ、すべての岩が粉々に砕け散った。しかし——


「今だ!」


 その一瞬の隙を狙い、セレネが漆黒の魔法を放つ。


「《魅惑の深淵》」


 紫紺の光が黄金騎士を包み込み、精神を揺さぶる。サキュパスの魔力は、意志の弱い者ならば一瞬で骨抜きにする力を持つ。


「ぬ……この程度で……!」


 黄金騎士はわずかに膝をついたが、すぐに立ち上がる。しかし、狙いはそれだけではなかった。


「はぁぁぁぁっ!」


 その瞬間、ラスティが猛然と飛びかかる。彼女の腕には、レイが収納スキルから取り出した魔力強化の籠手が装着されていた。


 ——ドガァンッ!


 ラスティの拳が黄金騎士の胴を貫いた。いや、厳密には鎧の一部を破壊したのだ。


「……やるな」


 黄金騎士の声に、初めてわずかな驚きが混じる。しかし、次の瞬間、彼の剣がラスティを薙ぎ払おうとする。


「させるかよ!」


 グレイが割り込み、双剣でその斬撃を受け止める。カナルが素早く補助魔法を唱え、グレイの身体能力を強化する。


「どうだ、この一撃は……!」


 グレイが跳躍し、黄金騎士の首元を狙って剣を振り下ろす。しかし、黄金騎士もただではやられない。彼の鎧が一瞬だけ光り——


「しまっ——」


 次の瞬間、黄金騎士の鎧が爆発的な魔力を放ち、周囲を吹き飛ばす。


「ぐっ……!」


 全員が地面に転がる。しかし、レイはその一瞬の間に収納スキルを発動し、周囲の衝撃を吸収していた。


「ここまでだな……貴様らの力は認めよう。しかし、我を超えることはできぬ」


 黄金騎士が剣を振り上げる。だが、その動きに微細な乱れがあった。


(……チャンスだ!)


 レイは即座に判断し、全力で収納スキルを発動。


「《強制収納》!」


 黄金騎士の大剣が、突然虚空へと消えた。


「……なに?」


 黄金騎士の動きが止まる。その隙を逃さず、ラスティが再び拳を叩き込み、グレイが首筋を斬る。セレネが魅惑の魔力をさらに重ね掛ける。


 ついに——黄金の鎧が砕けた。


「ぐ……ふ……」


 鎧の中から現れたのは、すでに朽ち果てた骸だった。黄金騎士の魂は、鎧に縛られたまま戦い続けていたのだ。


「……これで、ようやく……眠れる……」


 その声が消えた瞬間、黄金騎士は塵となって崩れ去った。


 雷鳴が遠ざかり、静寂が戻る。


「……終わったのか?」


 ラスティが荒い息をつきながら呟く。


「ああ……勝ったんだ」


 レイが静かに頷く。彼らは死闘を制し、再び一歩、前へと進んだ。


「試練を乗り越えし者よ……次なる扉が開かれる」


その瞬間、彼らの足元に魔法陣が輝き、光が広がっていった。



次に目を開けた時、彼らは全く別の空間にいた。


そこはまるで天空の城のような場所だった。雲の上に浮かぶ石造りの道が続き、遠くには巨大な宮殿が見える。


「……すごい場所ね」


セレネが感嘆の声を上げる。


「これは……今までの階層とは別物だな」


グレイが険しい表情を浮かべる。


主人公は地面に手をつき、魔力を探る。


「……どうやら、この階層は”最下層の一部らしい」


「最下層の“一部”?」


カナルが首をかしげる。


「つまり、この迷宮に終わりがあるとすれば、ここがその手がかりになるかもしれない」


「……面白くなってきたじゃねぇか」


ラスティが不敵に笑う。


彼らの前には、巨大な扉がそびえ立っていた。


「行こう。この扉の向こうに、何があるのか確かめるために」


五人は再び歩き出した。


迷宮の真実を知るために――。

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