要塞都市ダゴン
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ドレイクたちに乗って空を飛んでいた俺たちは、やがて景色の向こうに隣街が見えてきたのを確認した。
「あーやっとついたわね」
エリーが疲れた声でつぶやく。
歩くのよりは楽とはいえ、飛んでるグリフォンにまたがるのも楽じゃないからな。
どこかで騎乗用の鞍なんかも作ってもらわないとな。
グリフォンやワイバーン用の鞍を作れる人なんているのかわからないけど……。
ワイバーンやグリフォンに乗って街に近づいたら騒ぎになってしまう。
離れたところで一度降りる。
そもそも、街のこんな近くにレベル100近いモンスターが3匹もいる時点で、見つかったら大問題なんだけどな。
「うまく隠れられればいいんだが……」
この辺りは浅い森のようになっている。
とはいえ、かろうじてモンスターが身を隠せるといった程度だ。
街道から離れた場所とはいえ、誰かが近くに来たら見つかってしまうだろう。
「そういうことなら私が作ってやろう」
ダンジョンマスターのシェイドが手を地面にかざす。
すると地面の下から振動が響き、やがてワイバーンでも通れそうな大きなダンジョンの入り口が現れた。
中に降りるとかなり広い空間になっている。
これならドレイクやグリフォンたちだけじゃなく、他のモンスターたちも隠れられそうだ。
「悪いけどみんなはここで待っててくれ」
「きゅいぃ……」
ドレイクの切ない鳴き声が、地下のダンジョン内に反響した。
そのせいで普段以上に悲しく聞こえてしまう。
思わず胸が痛んでしまい、その首筋を撫でてやった。
「きゅいっ、きゅいっ」
うう……。
嬉しそうに鳴くのが、逆に罪悪感を覚えてしまう。
こんな狭いところに閉じ込めてしまってごめんよ。
俺はペットとか飼ったことはないが、もしもいたとしたら、引越しなどで別れる時はこんな感じになるのだろうか。
この街に長居するつもりはないから、いずれすぐにドレイクとは再会できるだろう。
でもいつかはどこかの街に暮らさないといけない。
ずっと外で暮らすってわけにはさすがにいかないし、エリーも嫌がるだろう。
「自分の使役獣だっていって連れてけばいいじゃない。テイマー系の職業ではモンスター連れてる人も見たことあるわよ」
「あれは街中で暴れないようにしっかりと対策されたものしか許可が下りないんだよ。口を拘束具で閉じたり、爪をカバーで隠したりな」
モンスターはそれだけ強力な存在だ。
俺たち冒険者は対抗できるだけの力を持っているけど、普通の人にとってはゴブリンだって危険なモンスターになる。
完全に拘束してても、街に入れることに対しては不安な目で見られてしまう。
「使役獣の審査は厳しいし、許可されるのは一部の大人しいモンスターだけだ。スライムやツノウサギみたいな小動物系なら可能性はあるけど、ワイバーンやグリフォンはまずダメだろうな」
「やはり人間とモンスターの共存は難しいということか」
シェイドが冷静につぶやく。
だけど、どこか落ち込んでいるようにも感じられた。
シェイドはたまにこういう表情を見せる。
人間を滅ぼすのが目的と言っていた割りには、やけに人とモンスターの共存にこだわっているというか……。
多分過去に何かあったんだろうな。
それが何かを深く聞かないほうがいいのは、陰るような表情を見ればわかる。
こうなると、やっぱり人とモンスターが共に暮らせる国を、なんとしてでも作るしかないな。
共存とかの前に、そもそも国の作り方がまずわからないんだけどな。
「ご主人はマジメだナ」
手首のリングが震えながら声を発する。
「人間のことは詳しくは知らないガ、一から国を作ったヤツなんて多分ほとんどいないゾ」
「そうだな。人間の歴史とはそういうものだ」
「そうね。国を作るなんて非効率なことをする必要はないわよ。奪えばいいんだから」
パンドラの言葉に、シェイドとエリーが頷く。
どうでもいいけど、やっぱりエリーはモンスター側の人間なんじゃないだろうか。
……やっぱりどうでもよくない問題だな。
即席のダンジョンを出ると、入り口が音もなく消えて無くなった。
「入口を閉じたら中の空気がなくなったりしないのか?」
「擬態してわからなくしただけだ。実際には入り口は残っている」
それなら安心だな。
ダンジョンを出て、改めて街に向かう。
街道を歩いていくと、やがて大きな壁に囲まれた街が見えてきた。
要塞都市ダゴン。
俺たちが出てきた街が出来るまでは、ここが高レベルモンスターが巣食う危険地帯との最前線だった。
だから巨大な壁に囲まれているんだ。
当時の話だと、魔王に襲われても3日は防げると言われていたが。
「実際はどうなんだ」
「壁内にダンジョンの入り口を作れば侵入は容易だ」
「だよなあ」
もっとも、そこら中に好き勝手にダンジョンを作る存在なんて、想定できるわけないから仕方ないけど。
シェイドに攻め滅ぼされなかっただけマシだろう。
「そのつもりだった。準備が完了すれば滅ぼすつもりだったが、光の勇者のせいでそれどころではなくなった」
「ふふん。このアタシに感謝することね」
いちおう勇者としての使命も全うしてたんだなあ。
やがて巨大な門の前にやってくる。
門は開いていたが、その前には複数の警備兵が通行人のチェックをしていた。
中途半端なところで終わって申し訳ないです。
書いてた姿勢が悪かったらしく、肩が痛くてキーボードがちょっと打ちにくいのです。
続きは明日更新します!
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