表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/97

封印指定剣技と新たな相棒

 封印指定剣技。


 それは上級スキルのさらに上、特級スキルと呼ばれるスキルだ。

 特定の条件でのみ修得できる超強力な一撃必殺のスキル。


 エリーと、ある上級ダンジョンを探索していたとき、たまたま手に入れたアイテムが特級スキルの修得アイテムだった。

 最初は気付かなかったんだが、荷物持ちだった俺がそれを手にしたことで覚えてしまったんだ。


 しかしあまりに強力なため、普段は使用できないように封印されていた。

 対象だけじゃなくて周囲まで巻き込んで破壊しかねないし、なにより使用した本人に激しい負荷がかかる。

 未熟な者が使用すれば反動で命を落としかねない。


 一度試しに使ってみたんだが、スキルの発動中に意識を失ってしまった。

 そして起きたのは三日後だった。

 おかげで目を覚ました直後からエリーに使えないだの何だの散々いびられた。


 けど、あれってよく考えたら、起きるまでずっと側にいてくれたってことなんだよな……。


 まあそれはともかく、危険なので封印されている。

 それが特級スキルだ。


 しかしそのぶん威力は圧倒的だ。


 発動に失敗したにもかかわらず、地上で放たれたその一撃はダンジョンの10階層まで届いていたという。


 しかも今は魔剣グラムがある。

 ダンジョンマスターといえどもタダではすまないだろう。


 だが。


「決め手にかけるな……」


 これでも倒せるかどうか。

 それだけのプレッシャーを相手から感じていた。


 そのとき、ダンジョンマスターが言っていたことを思い出す。

 奴はレーヴァテインに「目を覚ませ」といっていた。

 俺のスキルが封印されているように、魔剣にも隠された力が封じられているのではないだろうか。


「パンドラ。どうだ」


 話しかけると魔剣が震え、すぐに答えが返ってくる。


「我にもわからナイ。コノ剣は人間が持っていたモノを真似しているだけだカラナ」


「それもそうか」


 あくまでもこの魔剣は、パンドラが擬態しているだけだからな。

 しかし、だが、とパンドラが続けた。


「新たな力を解放するならデキルかもしれナイ」


「それはどういう意味だ」


「ご主人とあの女が特別な絆で結ばれているように、我とご主人も強い絆で結ばれれば、新しい力を解放できるようになるハズだ」


「そう言われてもな……」


 エリーとの「特別な絆」は、なんというか、夜にベッドの上で育んだものだ。パンドラと同じことをするわけにはいかない。


「自由をクレ。今はご主人の命令がないと姿を変えられないガ、我の意志で自由に姿を変え、自由に行動できるようにしてホシイ」


「自由に? それだけでいいのか?」


「奴隷を自由にすることハ、それだけ信頼してイルということダ。いきなり自由にしていいのか不安もあるだろうケド、今は目の前の敵をどうにかしないと我もご主人も死ぬのだから……」


「わかった。いいぞ」


「多少のリスクは覚悟で……っていいのカヨ!」


「もちろんだ。何か問題があるのか?」


「イヤ普通はご主人の方が気にするダロ……裏切られるカモしれないトカ……」


「裏切るつもりがあるのか?」


「もちろんないガ……」


「だろうな。それくらいは俺にもわかってるよ」


 短い間ではあるが、何度か一緒に戦った仲だ。

 それくらいは信頼しているさ。

 だけど、なぜだかパンドラから絶句するような気配があった。


「人間を騙して襲うモンスターだぞ、普通は怖がるダロ……なのに簡単に信頼してるナンテ……ずっと気にしてた我がバカみたいではないカ……」


「よくわからんがそれでいいな」


<奴隷化>による奴隷の契約変更は念じるだけでできる。

 今までは俺の命令に絶対服従だったが、パンドラに自由に姿を変える権利を与え、自由に行動もできるようにする。


 とたんに、手の中の魔剣が踊るように跳ねる。


「ま、イイカ。これで自由になったんダ。相応の働きはしないトナ!」


 手の中の魔剣が形を変える。

 より大きく、より禍々しく変わっていくと同時に、力が溢れてくるのも感じた。

 これが本当の魔剣グラムの力──。


 いや、違うか。

 生まれ変わった剣を手に俺は立ち上がる。


「いくぞ、魔剣パンドラ」


「……ヒヒッ、いいなソレ」


 手にした剣から笑う声が聞こえる。

 同時に、掴んだ手のひらを通じで莫大な力が流れ込んでくるのを感じた。

 これが新たな絆による力、という奴なんだろうか。


 そして確信した。

 今の俺に切れない物はない。


「封印指定剣技・解放」


『封印解除・完了。使用申請・完了。肉体構成改造・完了。特級封印スキル・発動準備──完了』


 脳内に言葉が流れていく。

 力の解放は一瞬。その一瞬のために、肉体すらも改造する恐るべきスキル。

 前はここで倒れてしまった。

 だけど今は、心強い相棒がいる。


 力強く握りしめると、応えるように力強いエネルギーが流れ込んでくる。

 全身にみなぎる力が俺の魂を燃やし尽くす。


 この一撃を放てれば死んでもいい。

 その覚悟と共に発動する必死の一撃。

 封印指定の禁じられた技。

 ()()


「──秘剣《刹那一閃》」


 一筋の光が世界を分断する。


 それは時空を超越した一撃。

 因果を超え、過去に向けて放たれる一閃は、避けることも防ぐことも不可能な必殺の一撃だ。


 閃光と共にダンジョンマスターの体が真っ二つになる。

 神剣レーヴァテインの刀身が、音もなく根元から切り落とされた。


「神剣すらも……。その力、やはりお前は……」


 その言葉を残して、ダンジョンマスターの体が再び地に落ちた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ