表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

空飛ぶメロンパン

作者: 18

メロンパンが空を飛んでる。

「何故だ。」

私は思わず呟いてしまった。


メロンパンはプカプカと海に浮かぶブイの様に空を泳ぎ、私の目の前までやってきた。

大きさも見た目も普通のメロンパンだ。しかし、少し違ったところは、そのメロンパンには小さな窓があった。


私は小指で小さく、トントントン、とノックした。数秒後、ガチャ、と窓が開いた。

「メロンパンはいかがですか?」

ひょっこり顔を出したのは、ふわふわのパン生地の様な毛並みをしていて、猫の様な可愛い耳を生やした見たこともない、白い生き物だった。

「あなたメロンパンを売っているの?」

私は朝食を買いに行くのが面倒だな、と思い、ベランダで一服しているところだったので、丁度お腹が空いていた。別段メロンパンが大好き、という訳でもないのだが売っているのなら買ってみようかな、という感じだ。

「メロンパンを売っています。」

白い生物はヒマワリの様な笑顔で答えた。

「じゃあ、一つ頂こうかしら。」

と言いつつ私は、このふわふわの生き物から買うメロンパンは衛生上大丈夫なのだろうか、と考えていた。

「はい。今回は無料であげます。手を出してください。」

そう言って白い生き物はビー玉くらいのベージュ色した塊を私の手の平に乗せた。

「あら。メロンパンじゃないの?」

私は予想外の出来事に、マヌケな声を隠しきれなかった。

「これはメロンパンのタネです。植えるとメロンパンがなります。それでは。」

そう言うと、白い生き物は、ペコリ、とお辞儀をして窓を閉めた。

そして、メロンパンは、プカプカと優雅に空を泳ぎ、雲の中に消えていった。


私は植木鉢にタネを植えたところで、いつ芽が出るのか聞いておけば良かったな、と思った。

そろそろ本格的にお腹が空いてきたので、朝食を買いに出かけようと思う。

今日はメロンパンにしようかな、と考えながら、私はふわふわした白い雲を、ぼーっと眺めていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ