五つの鍵
トレニアを出て私達は別世界へやって来た。
でもそこは牢屋の前だった。
そして私達は何故か牢屋を監視する守兵の格好をしていた。
『(何故??)』
私は思わずとっさに周りの兵士を気絶させた・・・というかさせてしまった
『あは、やってしまった(苦笑)』
「柚姫?」
『次の世界へ来たみたいよ。お母様。』
「えぇ。でも何でこんな所に?」
『さぁ?でもこの中にいるんじゃないかな?私達を呼んだ人が。』
「夢ではここにいたの?」
『うん。時間的にもう少ししたら牢に入れられる筈よ。怪しまれないように変身しとこっか。』
「そうね。お願い。」
『了解☆』
私達は若い男の風体になって守兵が元いた場所についた。
(↑他の気絶させた守兵は?)
『眠らせた状態で壁側に立たせておこう♪』
・・・とまぁ作者との会話はおいといて話を戻そう。(←おーい)
そんなこんなしてる間に少しざわついてきたので私は牢屋の入口へ行った。
『少しざわついていたので少し気になり入口まで来たのですがどうかしましたか?』
「新入りか。俺は守兵総監だ。持ち場から離れさせてすまない。こいつを空いてる牢屋に放り込んでおけ」
『こちらこそ持ち場を離れてしまってすみませんでした。かしこまりました。』
「では、頼む。」
そういって総監は出ていったので私は牢屋に頼まれた罪人を放り込んだ。
『あいつが総監だそうだ。』
「気をつけないとな。」
「あの!」
私とお母様が話していると先程の罪人が話しかけてきた。
『何だ?』
「私は何も罪を犯してません。」
『・・・信じると思うか?』
私は罪人に私達を呼んだ張本人だとわかっていながら疑り深い目で言った。
「お願いです!助けて下さい!」
『・・・お前が本当に何もやってないという証拠はあるのか?』
「それは・・・」
『全く証拠が無いのに助けてやれると思うか?』
「そうですね、ごめんなさい」
『助けて欲しければ全て話しな。嘘ついてるのがわかったら殺す!』
「ビクッ。わかりました」
『!!・・・少し待ってろ。』
私は入り口の方に少し気配があったのでそちらに向かった。
その気配は幼子だった。
私は眉間に皺を寄せて幼子に問い掛けた。
『おい・・・そこで何をしている』
するとその幼子は大きな眼をくりくりさせて言った
「ここ・・・女の子・・・いる?」
『・・・あぁいるがどうした?』
「その人 ・・・何も・・・してない」
『何故そう言いきれる?』
「見てた・・・」
『何を?』
「私・・・その人・・・何も・・・してない・・・見てた」
私はその幼子が嘘をついてないのがわかったので信じることにした。
『お前、名は?』
「私は紫。」
『紫か。いい名前だ。ついてこい。』
『・・・というわけだ。』
柚姫は罪人と母のいる場所に戻り、先程の事を話した。
「成る程。」
『待たせたな。次だ。お前の名前は?』
「私は萌黄と申します。」
『では萌黄、これからいくつか質問する。正直に答えろ。』
「はい」
『年はいくつだ?』
「17歳です。」
『紫はお前の何だ。』
「知りません」
『では紫。萌黄はお前の何だ?』
「その人・・・萌黄は・・・私の夢に出てきた人。」
『それだけか?』
「萌黄は・・・目の前で・・・つかまった。」
『そうか。では、萌黄。つかまった時何をしていた?』
「母のお墓の前で舞を舞っていました。」
『舞?』
「はい。昨日は母の命日で母が好きだった舞を舞ってたんです。」
『そうか・・・少し待ってろ』
「?はい。」
『・・・その舞に何の意味があるのか調べてくる』
「気をつけてな」
『ああ。』
萌黄はそう言って入り口の方へ行った。
『守兵総監。ここにおられましたか。』
「さっきの新入りか。どうした」
『1つ先程の罪人についてお聞きしたい事がありまして』
「何かあったのか?」
『いえ、ただ気になることがありまして。あの罪人は何の罪があって捕らえられたのですか?』
「あいつか・・・あいつは禁忌の舞を舞っていたのだ。」
『禁忌の舞とは?』
「禁忌の舞を舞うということは天皇の政治に反対するということなのだ」
『なるほど。それで捕えたのですね。』
「ああ。三日後に処刑されるだろう」
『わかりました。失礼します。』
守兵総監と別れた後急ぎ萌黄達の所へ戻った。
『萌黄。何故捕らえられたかわかったぞ。』
「え?」
『お前の母が好きだったという舞はこの国では萌黄の舞といって天皇の政治に反対するとの意味があるらしい。』
「そんな!!」
『後、三日後に処刑だそうだ・・・』
「嘘だろ・・・」
『萌黄、お前この国の者か?』
「いえ。用があってこの国に一週間前に来たのです。」
『嘘偽り無いか?』
「はい」
『用とは何だ』
「私は5つの鍵を探して旅をしてるんです」
「鍵?」
「はい。母が死ぬ前に私に言ったのです。
【これから会う貴方の事を知っている2人の女性親子と紫という幼子と旅をしなさい】と。
又、【旅をして5つの鍵を探しなさい。萌黄にはわかるはずだから】とも言いました。」
「ということは・・・」
『ああ。紫と俺達だ。』
「え?紫ちゃんはわかるけど何故?」
『俺達もこの国の者じゃない。』
「そうなんですか?」
「はい。」
「でも母は女性親子って・・・」
『確かにこの姿じゃわかるはずないな。すまなかった。これは仮の姿だ。』
「え?」
『声出すなよ』
シュン
柚姫と燐は若い男の姿から元の姿に戻った。
「すごーい・・・」
「えっと、これは?」
『魔術といってね、仮の姿になって貴女を待っていたの。』
「改めて自己紹介するわ。私は白百合 燐。こっちは娘の柚姫よ。」
「はぁ・・・」
『さっきは怖がらせてごめんね』
「いえ。それより待っていたっていうのは?」
『私は夢を見ることができるの。まあ今回は貴女の声が聞こえたから助けにきたんだけどね☆』
「そうでしたか」
『紫。さっきから何かいいたそうね』
「あの・・・」
『うん?』
「おねえちゃんって・・・呼んでもいい?」
『(・△・)!!』
私は紫の言葉に思わず固まってしまった。
「だめ??」
『いいよ!!』
大きな目をくりくりしていうもんだから思わずOKしてしまった。
「柚姫、どうするの?」
『そうだね、私は協力するよ。お母様と紫は?』
「柚姫が行くなら私もいくわ。」
「おねえちゃんがいくなら行く!!」
「柚姫さん、燐さん、紫ちゃん・・・ありがとうございます。」
『礼をいうのはまだ早いわ。ここからまずは出なきゃね。』
「そうね」
『守兵総監に掛け合ってくる』
シュン
私はそういって男の姿になった。
「あ、柚姫さん、これを持っていってください。私の通行手形です。」
『サンキュ。』
「???」
「ありがとうって意味ですよ。」
「なるほど。いってらっしゃい」
『行ってきます☆』
私は守兵総監の元へ急いだ。
タッタッタッタッ
タッタッタッタッ
タッタッタッタッ
バンッ
『失礼いたします。守兵総監。』
「さっきの新入りか。今度はどうした?」
『さっき総監と話した後ずっと考えてて妙な感じがしたので罪人に理由を聞いたんです。』
「罪人に?」
『はい。あの罪人に罪はありません。』
「何故そう言いきれる?」
『あの者はこの国の者ではないからです。そしてこの国での禁忌の舞はあの者の国では普通らしいのです。』
「ふむ・・・それで?」
『用があってこちらに来て母の命日だったので捕らえたあの日あの場所で母の好きな舞を舞ってたらしいです。』
「そうか・・・一度上に話さなければいかんな。明日までに何とか答えをもらえればいいが。」
『よろしくお願いいたします。では』
「あぁ。ありがとう。お前のおかげ死なせずにすんだ。」
『いえ。もったいなきお言葉。恐れ入ります。失礼いたします。』
「あぁ」
バンッ
『・・・ふぅ。間に合うかな』
一息ついた柚姫は急ぎ戻った。
バン!!
フォン
『萌黄!紫!お母様!!』
「柚姫!」
「柚姫さん!」
「おねえちゃん!」
日が落ちた頃急ぎ戻った私は元の姿になり、総監が上にかけ合ってくれることを話した。
「タイムリミットはあと二日。大丈夫かしら。」
『いざとなったら眠らせて逃げるわ。』
「そんなことして大丈夫なのですか?ばれたりしたら殺されるんじゃ・・・」
『ふふ。その時はその時だよ。そろそろ寝ようか。」
「おねえちゃん眠くなってきた・・・」
カチャッ
チッチッチッチッ
トレニアで買った懐中時計を見ると九時をまわっていた。
「でも・・・」
『総監には話してあるから大丈夫。ほら、紫も眠たそうだし、ね?
早く寝なきゃ明日起きれないよ』
「そうね。変身よろしく」
『はーい』
フォン
『おやすみ』
「「「おやすみなさい」」」
・
翌朝―
カタカタ
『ん?』
トントン
「起きろ。新入り」
『総監!?何故こんなところに?』
「昨日お前と話した後上にかけ合った」
バッ
『本当ですか?』
「ああ。」
『結果は・・・?』
「こいつは無罪だ。」
『!!・・・ありがとうございます!!』
「こいつが目を覚ましたら伝えてやれ。」
『はい!』
(良かったね。萌黄。)
私の安心と共に太陽が顔をだした――
『皆、起きて。出発するよ!』
「ん・・・おねえちゃん?」
「出発?」
「私の罪は?」
『無罪になったよ。』
「本当?でもタイムリミットは二日って」
『うん。総監が上にかけあってくれたみたいで今朝早く私に知らせてくれたの』
「さすが私の娘ね(笑)」
「それでおねえちゃんどこに行くの?」
『どこって旅にでるのよ。五つの鍵も探さなきゃいけないしね。』
「そうね、行きましょうか」
『「「はい!!』」」
「柚姫」
『うん。皆離れないで!移動するから』
「?うん」
「はい」
『転の神よ、この白百合 柚姫を主に仕えるもの達よ、異世界へと移る為に力を貸せ』
『転架・燈樹』
唱えると魔方陣が浮かびだした。
『・・・萌黄、お母様とさようならして』
「・・・はい。」
萌黄は胸の前で手を合わせ黄泉にいる母に別れの祈りをした。
「終わりました。」
「ん、じゃあ行くよ」
「はい」
フォン
私達は萌黄、紫二人新たな仲間と共に歩みだした
未来に向けて―――