現地モブをなめんなよ(笑)。のプロローグ。
自販機のあたたか〜い飲料のような目で見てくださいお願いします土下座
最近、何やら別の世界からゆ、ゆう、勇者?なるものがやってくることが流行りらしい。やれどこそこの王子との婚約を破棄されただの、俺様の婚約者を奪われただのとか仰るお貴族様、しかも超超超美男美女のエリート達が祖国追放されるのが話のオチらしい。ふーんそんなんで物事解決しちゃうほど単純なのかなぁ。
さらにさらに。辺境の美男子美少女たちをかき集めて、なんか無理やり色々して、勇者パーティ?なるものをつくって、魔王?みたいな?まぁ害獣みたいなやつじゃないかと思ってるんだけど、そんなやつを倒して結婚してズッコンバッコンすることが横行してるんだとか。な、なんだそのハーレム性活はっ!うらやま…け、けしからん!
まぁ生粋の農民である俺(15ちゃい)にはこれっぽっちも関係…
「おい。そこの農民。お前だ。この俺様に鍬の使い方を教えさせてやろう。感謝したまえ。」
関係な…
「あなた様、本日の朝の水やりが終わりましたわ!褒めてくださいまし♡」
関係ない…
「ハル様。本日の昼食は何に致しましょうか。採れたてのお野菜、お隣様から頂いた卵と搾りたての牛乳もございますね。…」
関係ないこと…
「おーいハル坊や、聖女様と剣姫様からあっちっちなラブレターがこんなにも届いてるぜぃ!こんちくしょう!このモテ男!消えろリア充!弾けろシナプス!パニッシュメント・ディス・ワー…」
関係ないことは無いな、ハッハッハー!!!
とりあえず最後の輩を早急にかかと落としに沈めながら俺は叫ぶ。
「全然笑えねーよ!一体全体何なんだぁぁぁ?!」
ここはド田舎。もはやどこの国に属しているかすらわからん超山の中の超田舎で超辺鄙な名もなき村である。人口は僅か100人ほど。自給自足な生活を送れるのも生活魔法とかいう超絶素晴らしい道具があるからこそだ。俺も含めて村に住む殆どの者が皆畑を耕し野山で狩りを行いヒャッハーな毎日を送っているのだ。残りのレディーな方々は俺たちが採ってきたり捕ってきたり獲ってきたりしたものを美味しいものに加工したり、道具を作ったり新しい魔法をつくったりホントにぶきっちょな我々一同頭が上がりませぬ土下座。まぁ正直各々が好きなことして得た成果をみんなで分け合うような、村全体がひとつの家族のような生活をしているんですね、俺ら。だから、赤ん坊の時に森で捨てられたらしい俺も両親への愛に飢えることなくのびのびと育ったんだと、あ、これおばば談ね。
おっと自己紹介をご所望かい?俺はハル。苗字?なんだそりゃ。食えるのか?食えない?じゃあいらねっ。この村の数少ない若者のうちの1人だ。俺の上下5歳以内のまぁいわゆる幼なじみとかいう同年代は俺込みで3人。男子に限っては俺1人だ。ていうかこの村の8割がオッサンおばさん以上「ハル、今あたくし達をおばさん呼ばわりして」ぶるり。オッサン+大きなお姉さま方以上なのだ。大丈夫か?この村。どこぞの限界集落もびっくりだぜ。でも、正直誰も死にそうな予感がない、というか、まだ俺が物心ついた頃なら誰もお亡くなりになっていないぞ!長寿のバケモノか!
だいぶ話が横にいったな。青函トンネルもびっくりするんじゃないか?まあそれはともかく。この村の超貴重な子供である俺たちは一切甘やかされることなくかつ惜しみのない愛を与えられながらのびのびと育ったわけだ。いろいろ習ったぜ?掃除洗濯料理狩猟建築裁縫錬金醸造呪術農耕板金漁業掘削…あ、頭がぁ…
ま、まぁともかく。成人として認められる12歳の聖儀によって無事農民の称号を得た俺は、なんかすげぇ称号を手にしてしまった幼なじみを懇願によって笑顔で王都の学校?に送り出し。のんびりヒャッハーな生活を手に入れ
られなかったのである。
俺の完璧な人生計画が狂い始めたのが変態爺ダンス祭りからちょうど2年、美人な幼なじみからの経過報告が錬金辞典7冊分の厚さになったころのことである…