身近に潜む最恐の恐怖
「もうこんな時間か今日も疲れたな」
僕はいつものように塾の帰りに独り言を言っていた。今年は受験生で来年からは高校生。 県立の高校を志望しているので毎日、学校が終わるとすぐに塾に通っている。塾が終わる時間はいつも22時になるかならないかくらいだった。
今は冬なので、22時にもなるとものすごく真っ暗だった。「本当この道、真っ暗だよな まぁでもいつも何にもないし、早く家に帰って寝よー」そんなこと考えながら歩いてる時だった。
後ろで誰かが「ちらっ ちらっ」と言っているのが聞こえた。 立ち止まって振り返ってみると電柱と看板があるだけで誰もいなかった。 「なんだ気のせいか 脅かすなよ」そんなことを思いながら歩き出すとまた、後ろから「ちらっ ちらっ」という声が聞こえた。 「やっぱり誰かいる」そう思った僕は素早く後ろを振り返って見た。 しかし、誰もいなかった。
「おかしいな ちらっちらっって声が聞こえたんだけどな よし、1回目のちらっって声が聞こえたら振り返ってみよう」そう僕は考えた。 また、歩き出していると「ちらっ」と言う声が聞こえた。 僕は「今だ」と思い、後ろを振り返った。 するとちょっと離れたところにある電柱からあの真っ白な顔に赤い口紅をした某ファーストフード店のドナ◯ドが「ちらっ ちらっ」と言いながら満面の笑みを浮かべて電柱から顔を出したり、引っ込めたりしていた。
僕は恐怖のあまり「ぎゃー」と叫んで全速力で逃げた。 そんな僕をアイツは特徴的なあの赤いブーツを履いて満面の笑みで走って追いかけきた。 僕は無我夢中で前だけを見て走った。 「絶対に止まるな止まるな」と頭の中で言い聞かせながらただひたすら全速力で走った。
アイツとの距離があったので何とか逃げ切ることが出来、気がつくと家に着いていた。
「かーさん 助けて アイツが追いかけてきたんだ」 「あらあらどうしたの お帰り アイツって誰よ」「某ファーストフード店のドナ◯ドだよ」「あれはキャラクターだからいる訳ないでしょ 受験勉強で疲れてるんじゃない 今日は早く寝なさい」と言って母さんは僕の話を信じてくれなかった。
恐怖のあまり、僕は風呂にも入れず、そのまま部屋で寝ることにした。 「早く寝て今日あったことは忘れよう」そう思った僕は塾から帰って来る前に、母さんが敷いてくれた布団にすぐに入った。 いつもだったらすぐに眠れるのに今日は何故か全然眠れなかった。眠れなくなってから2時間くらいが経っていた。 もう日付けが変わっていた。
「おかしいな とりあえず目を閉じてればそのうち眠れるはず」そんなことを考えてる時だった。
耳元で「眠れないの❔ 子守唄歌ってあげようか?」という声が聞こえた。
それは「ちらっ ちらっ」と言ってたアイツの声だった。 僕は声も出せず、泣くを通り越してそのまま気絶した。
「うわっ はぁはぁはぁ」なんだ夢か
時計を見ると深夜3時
どうやら昨日は塾が休みで家で勉強して気がつくと机の上で顔を伏せてそのまま眠ってしまっていたらしい。
現実っぽい夢を見ることは良くあるがここまで現実的な夢を見たのは初めてだった。
「それにしてもなんだよ あの夢、怖すぎだろ まぁでも考えてみれば突然あんなのが電柱から出てくるわけないよな ははははは」 僕は机の椅子から立ち上がって電気をつけた。
「夢の中では確かこんな風に素早く振り返ったらアイツがいたよ....な 」アイツがいた。 僕の部屋の隅でアイツは正座をして満面の笑みを浮かべてこっちを見ていた。
「ぎゃあーーーーーー」
夢じゃなかった。




