3、最強執事は七つに散らばりました
和人は再び次元に穴を開けようとする。
しかしその前に自身の背後に女神以外の巨大な気配を感じた。和人はその方向を振り返り一言、
「…だれから殺られたい?」
と、ナイフを取り出し、普段から険しい瞳を黒から琥珀に豹変させる。
今の状況を言うならば明らかに和人は絶望的だ。なぜならば彼は今、神々に取り囲まれているのだから。
「ほっほっほ! この戦力差で勝てると思っているのかのう、若造?」
「そうです! 勝てば将軍です! テメェは敗者です! 私の分、痛ぇ目見ろです!」
「あ、いつの間にお前復活してたの?」
「うるせぇです! 正義たる神の力を見るです! さあ、数の力! 見せてやる!です!」
「俺にはとても正義の台詞には聞こえない」
だが確かに数の力は恐ろしい。なぜならばここには神々が八百万と言えないぐらい取り囲んでいるのだから。
これら全てが神々! 神の大安売り! こんだけいるとか多神教すぎる日本でも聞いてない!
しかしそれに敵対する和人さんは…
「…ここまでくると神って安っぽく思える」
と、神の首を八百万ぐらい狩っていた。
「「「「「「ほぇ?」」」」」」
「残りは…ちょうど80億ぐらいか」
「「「「「「…」」」」」」
ーーこんなやべー奴だって聞いてねぇ!!!??
神々は全員そう思った。
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「はい、リピートアフターミー。「沙耶香様万歳! 調子に乗ってすみませんでした。沙耶香様万歳!」!」
「…すみません、前後の「沙耶香様万歳!」っていりますか?」
「おい、首狩られ番号1050658! …必須だ。覚えておけ!」
「イエッサー!!」
「よし! それでは全員復唱!」
「「「「「「沙耶香様万歳! 調子に乗ってすみませんでした。沙耶香様万歳!」」」」」」
神々共々頭を地面に置きながら首無しの状態で頭を下げていた。土下座の状態である。
一方の和人さんは数の暴力を完全無視。圧倒的勝利を収めた。
ちなみに事の発端であると考えられるとある女神は切り捨てられた頭を更にアイアンクローを超えるデスクロー! どうやら本体と痛覚がつながっているようで胴体がプルプルと悶えていた。
「よし、これからお前らは必ず言葉の前後に「沙耶香様万歳!」をつけろ。命令だ」
「…もし、それを破るとどうなりますか?」
「死に至る」
「沙耶香様万歳! 了解致しました! 沙耶香様万歳!」
最早神さま全員がビビリにビビリ倒している。やだあの子、ヤクザかしらん? そんな感じの空気がしなくもない。
だが神さま方にはまだ起死回生の奥の手がある! 彼らの希望の光はまだ消えてはいない。
「さて、俺はもう行くぞ。さらばだ。この恐怖を覚えておくんだな」
そして和人は時空の扉を開ける。今度はあっちに行っても足がつくような位置に時空を開けた。
しかし! まだ懲りない神々は動き出す!
「「「「「束縛展開! 悪! 即! 封!」」」」」
和人の周りに術式が展開される。
それは神さえもその身を永遠の深淵へと無条件で放り込まれる全神の協力により発動する権能、すなわち奥の手だ。
流石の和人もこの権能には反応できなかったのか、顔を驚きに染めることしかできなかった。
そして世界は光に満ちた!
神々はその結果に大歓喜! やった私たちを脅かす存在は消えた!!
そう思っていたのだった。
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「…流石に危なかったか」
和人は地上でため息を吐きながらそう言った。
実は和人、封印式が本格的に発動する前に次元の穴に逃げ込み、効果を比較していたのだ。
それにより封印された力はほぼ一部で済んだわけだ。
「まあ、災難だったと言わざるを得ないな」
むしろ災難だったのはあちらの方だったような気がするが前を向いていこう。そうしよう。
すると和人が今気がついたことが二つ。
一つ目、自分の服がない。それどころかナイフも第二の武器もない。
おそらくは封印によってどっかに行ってしまったのだろう。タキシードやナイフは気に入っていたのだが…非常に残念である。
だがなによりも次が重要だった。
「…力が…ない」
いや、一応はあるのだ。少なからずあのトカゲは倒せるぐらいの力は。
だが今はその程度しかない。
自身の神々に届きえる努力の結晶、それが封印されたのだ。
誰に? 神々に。
「…まじかよ」
まさかの異世界まで来て弱くてニューゲームになった和人であった。…いやまあ、大概の相手にはまだチートだけれども。
七つに散らばったのは来週理解…できるかもです。




