2、最強執事は異世界に着いて速攻でお邪魔しました
勇馬は時空の穴をまたぐ。
そして目の前に広がっていたのは…
「…雲」
下に雲、上に青い空と赤い日。さらに言えば…
「…トカゲ」
龍である。ファンタジー代表たるドラゴンである。憧れこそするけれど会いたくはないあの災害である。
そしてその龍は和人を見つけて速攻で突撃。その姿はまさしく「餌だー!!」である。
飛行機すらも超える速度で滑空し、今にも呑み込もうとする龍。
この飲まれんとする相手が一般人、または余程の軍人でない限りは恐れを無して何もできないだろう。
だが今回ばかりは南無阿弥陀仏としか言えないだろう。
「…死ね」
もちろん龍の方が。
ーーズッガァアアアン!!!
ーーピギャアア!!!
叩きつけられた和人の右拳は鱗を易々と貫き、衝撃を内臓へと伝え、反対側を打ち破った。もうパンチがパンチじゃない。轟音と合わせてそう思う。
そして龍は可愛らしい断末魔をあげながら落ちていく。ちなみにその龍は巨大で東京ドームで例えると3個分ぐらい(作者もよくわからん)。
「なんだ? 今のトカゲ。…一旦戻るか」
と、もう一度ナイフを取り出して…空間切断!
あっという間に次元の割れ目(女神直行の穴)の出来上がりでーす。良い子のみんなは真似しないでね。というかできないことを信じたい。
とにかく和人は異世界に突入して早々にまた神様のところに戻るのであった。
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「と、言うわけであの意味わからん世界について説明しろ」
「説明するです! 説明するですからーー勝手に行って勝手に戻って来た挙句、戻って秒もかからずにアイアンクローするのはやめてくださいです!」
どうやら和人さんは交渉するのがお下手であるご様子。とにかく脅すという方法しか頭にないようだ。…これが純粋な8歳児がすることだろうか。日本の教育恐るべし。
そして投げ捨てられるように解放された女神様。小さく一言、「もうお嫁にいけないです」と言っている。たしかに顔はこれ以上言えないくらい醜くて、顔の中心に皮が集まっている。
「で、和人さん…まさか異世界ってご存知ではないです?」
「…いせかい?」
「…知らないです。では説明するです。よく耳をかっぽじって聴きやがれです」
「…立場」
「よく聴いて下さいです!」
哀れな、女神。この男の目の前では多少偉そうにすることすら許されないのか…です。
「まず先ほど辿り着いた世界は地球とはまた別次元の世界です。そこはわかられているです?」
「ああ魔神潰したり、でかい人とかを根元から消すために行ったことあるからな」
レパートリーがおかしい!です!! せめて臨死体験で地獄行ったぐらいにしてくれ!です!
女神様はツッコミをお腹の中で押さえ込んだ。今やればまたアイアンなクローがくる!!
「…はい、その通りです。そして和人様も先ほど見たように今回の世界では地球よりも強力な生物がごまんといるです」
「もしかしてさっきのトカゲのこと言ってる? アレは雑魚だったぞ」
雑魚じゃねーよ!です!! ついでに言えばそれ龍だろ!?…です!!
もう喉から出かけるそのツッコミを顔を青くし口を押さえながら堪える。プルプル堪える。
「……あれはドラゴンと言って上位種です。ですが確かにあれよりも強いのはいるです。例えばミル○ラースとかサタンとかルシフェルとか」
「ん? ミルフィーユ? 強いのか、そいつ? あとサタンとルシフェルは前ふざけてたからワンパンしたけど…あいつら強かったのか?」
もう限界だった。手で押さえつけていた口から咆哮が起きる!
「そんなのテメェだけだよ!!です!」
ちなみにサタンは魔神に次ぐ悪の最強格、ルシフェルは創造神の加護を持つ大英雄である。どちらも人間が、しかもワンパンで勝てるような相手では到底ない。
そして女神様は気がつく。やべぇ、やっちまったです、と。
見るとそこには琥珀に輝く瞳が。顔はいつも通り真顔なのだがどうにも雰囲気がやばい。
「…立場」
ボソッと呟かれた一言、それが最後の合図だった。
空間転移で逃げようとする女神!
それを空間をパンチで捻じ曲げて阻止する少年!
そしてあっさり捕縛される美女!
その上で錐揉みながら踵落としが炸裂する!
その後の光景を見たものはいない。
ただし和人はその後「やっべ、結局あの世界について聞くの忘れてた」と後悔したのだった。
やっと次回から主人公が異世界突入じゃー。




