最後の手紙
『英雄の外出』の続編。合田英雄は大学に入ってから、かつての名だたる文人たちを真似て、手紙を書くことに熱中するようになった。ただ、手紙のやり取りする相手を見いだせなかった英雄は、架空の相手を設定して書いていた。英雄は留年を繰り返し、すでに大学生活も七年目を迎えていた。その頃になると、そのような宛ての無い手紙を書くことに不毛さを覚えるようになっていた。そして、その年の夏、英雄は入っていたサークルの夏合宿に参加した。英雄はその合宿の飲み会の席である失態を犯すのだが、それは英雄にとって自らのお粗末な青春の集大成とも言える決定的な失敗体験だった。その後、実家に帰省した英雄は、合宿での惨めな体験を、宛ての無い手紙に愚痴っぽく綴ることで自らの青春を総括しようとする。