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異世界でお仕事を始めるようです。

誤字脱字など注意。見つけ次第直します。

少年が異世界に来てから三日目。

「おはよ~……ぐぅ……。」

2階から降りてきたは良いが眠気を抑えきれずに立ったまま寝ようとするアガサの姿があった。

「こらこら。そこで寝るでない! 邪魔じゃ!!

ローアルンが新聞を片手に持って言ってきた。

「おっと……すまんすまん。いやー元があれだからな。仕方ないと思うんだよ。うん。」

「仕方ないの意味が良く分からないんだけど……。」

やや困惑した表情でルナンが言った。

「とりま目覚ましでも……。」

目を覚ます為にアガサは洗面所に向かう。

洗面所と風呂は外にある。

アガサはだるそうに玄関を開き外にでる。

「今日も快晴のようで何よりです……っと。」

快晴の空を見てそう呟いた。

そのまま洗面所に向かった。

「ぷはぁっ!!」

水で顔を洗い眠気が完全に消える。

アガサはふと気づいた。

(異世界なのにPCとか機械的な物以外あんま変わってなくないか……?)

そんなことを思いつつ家に戻った。




アガサ達は朝食を終え、テーブルに集まっていた。

椅子に座ると同時にアガサは言った。

「さて議長!! 今回の議題は何でしょう!」

ルナンは溜め息混じりに言った。

「はぁ……ねえ、アガサ君。今日はどうするつもりだったの?」

「どうって……近くの魔物退治を少ししたら寝て過ごしますよ?」

アガサは当然の如くニートへの道へと転がり始めていた。

ローアルンは呆れつつ言った。

「お前さん……それじゃ向こうに居たときと変わらんじゃろう……。」

「うっ……!」

アガサは胸に何かが刺さった時のようなうめき声を上げた。

「そういうわけで!」

バンッ! とルナンがテーブルを叩き言った。 

「アガサ君には私と一緒に仕事をしてもらいます!!」


「仕事…………?」

アガサは疑問を持ち質問する。

「仕事って言ったって何をするんだよ。」

「魔物退治じゃ。昨日やったじゃろ?」

ローアルンが答えた。

アガサは引きつった顔で言った。

「今の俺じゃあスライムとタイマン張ってギリギリなんだけどもうちょい鍛えてからでも……。」

「実力は魔物退治に行ってるうちに鍛えられるじゃろ。……というかお前さんが仕事しなかったら食費とかはどうする! 自分の分ぐらいは自分で働くんじゃ!!」

働けニートとストレートに言われアガサはやや落ち込みつつ答えた。

「分かった分かった。タダで食っちゃ寝なんて出来る訳無いよな。……まあ大体最初から分かってたけど……。」

そしてルナンは話しを締めくくるように言った。

「まあそういうことで。アガサ君、片付けが終わったら私と街に行くから準備しといてね。もちろ魔物退治のね?」

ルナンに念を押すように言われアガサは答えた。

「よし分かった。じゃあ今日はルナンが俺の先輩だな。」

ルナンは先輩という言葉に目を輝かせながら

「先輩に任せなさい!! じゃあすぐに終わらせてくるね!」

そう言うと嬉しそうに朝食の片付けに戻った。

アガサはだるそうに立ち上がり出掛ける準備をしに戻った。

その二人を眺めていたローアルンは

(……この先大丈夫かのう……。)

そんなことを思った。






「さあ初めての二人での出発ね!」


ルナンは嬉しそうに言った。

そしてアガサが流すように言った。

「それは良いんだけど。まさか街まで歩き?」

「え? そんなことする訳ないじゃない。普通は転移魔法とか浮遊魔法とか使って移動するハズ何だけど……。」

「え!? そうなの!? ここ来るとき歩きだったんだけど!?」

アガサは驚きつつ言った。

そしてルナンは困惑した表情で聞いた。

「まさかアガサ君ってそういう体験したことない?」

「…………。」

「だとするとアガサ君は相当田舎に住んでいたのかな……ま……まあ別にそういう人も珍しくはないから!! 」

ルナンは落ち込むアガサを必死にフォローした。


(帰ってきたら転移魔法を教えてもらおう……。)

アガサは思った。

「こほん。……じゃあそろそろ行こうか。初めてなら少し感覚が狂うから気をつけてね。」

そう言いルナンはアガサの手を持った。

「うおっ!?」

「ん?どうかしたの?」

「何でも……無いです……。」

当然これまでニートだったアガサに女性と手をつなぐ何ていう経験は無かったのであった。

アガサが赤くなっているのをバレないように我慢してると、

「じゃあ行くよ。」

ルナンがそう言った。

聞き終わると同時に周りの景色が消え、意識が遠くなる感覚がした。

それが一瞬続いたかと思うと景色が目の前に現れた。

門が目の前に見えると同時に空中に現れたのかアガサだけ上手く着地出来ずにそのまま倒れた。

「いってぇ!!」

アガサはまだ意識が追いついていない感覚があったがそれでもふらふらと立ち上がった。

「だ……大丈夫?」

ルナンが心配げにアガサを覗き込む。

「あー大丈夫。これエレベーターに乗った時のあの感覚が凝縮された感じの辛さだね。」

「えれ……べーたー?それが何かは知らないけど何とも無いなら良かったよ。たまに気分悪くなって吐く人いるから。」

ルナンは苦笑いしながら遅すぎる忠告を言い放った。





「着いたよ。ここが今回の目的地であるギルドよ!」

アガサ達の目の前には大きくそびえ立つ石で作られた建物が立っていた。

出入り口は開放的で様々な人が行き交っていた。

「ここがいわゆるハローワークかっ……!!」

「アガサ君は時々よく分からないことを言うよね。さてじゃあ仕事を探そうか。といってもアガサ君には一つしかないと思うけど……。」

ルナンはそんな不穏なことを言いつつアガサと共に建物に入った。

建物の中は開放的で椅子とテーブル、そして受付と思われるカウンターがありほとんどは公共の場として使われているようだった。

アガサ達は受付まで行きルナンが受付にいた女性に話しかけた。

「この人の職業登録をお願いできますか。」

「かしこまりました。ではまずはこちらにサインをお願いします。」

受付の女の人はそう言ってアガサにペンと一枚の紙を差し出してきた。

「……ちょっと待って頂けますか。」

アガサはそう言いルナンをテーブルまで連れて行くと言った。

「俺、読み書き出来ねえんだけど……。」

「……え!!?」


「書けないって……常識でしょ!?いくら田舎でも普通は出来るよ!!」

ルナンは声を出し過ぎたと思ったのか周りを見た後、ため息をついた。


「じゃあ私が手続き済ませとくから街中適当に歩いて頂戴。」

「なんか……すいません。」

アガサはとぼとぼギルドの外に向かった。

「今度読み書き教えてもらうか……。」






――数分後。

アガサは元々すんでいた世界で言う商店街と思しき通りを歩るいていた。


(俺って読み書き以外にもこの世界の常識そのものを知らないんだよな……。せめてこの世界の常識ぐらいは身につけなくちゃな。)

そんなことを考えつつ歩いているといきなり肩に軽い衝撃が走った。

「うおっ!」

アガサは見知らぬ男の声を聞き、よろけながらも人とぶつかった感触だと分かった。

「す…すみません!」

声のした方に急いで謝るとぶつかったと思しき男が明るく話しかけてきた。

「すまんすまん! ちょっと急ぎの用があってよ!」

「……あれ。あんちゃんも冒険者かい? みたところ魔法使いじゃないか!」

「……え! いや自分は……」

困惑しながらアガサは答えようとして遮られた。

「そうだ! ちょっとお礼がしたいからついてきてくんねえか?」

「いやいや別にそんないいですよ。では俺はこれで……。」

アガサは断って去ろうとすると見知らぬ男が腕を掴んできた。

「大丈夫だって! お礼ぐらいさせてくれよ、ほらほら行こうぜ!」


アガサの抵抗も虚しく手を引かれていくのであった。





―――「じゃあとりあえず飯でもおごるからよ!」

アガサは見知らぬ男に数十分前までいたギルドの前まで連れてこられた。

「いやここって……というより離してくれよ。逃げたりしねえから。」

アガサがそういうと思っていたより簡単に見知らぬ男は手を離した。

「いいぜ。まあ逃げたら追っかけるけどな。」

見知らぬ男は笑いながら少し恐ろしいことを言ってきた。

すると突然アガサを呼ぶこえが聞こえた。

声のする方向に振り向くとルナンが手続きを済ませたのか走ってきた。

「いや~アガサ君、丁度良かったよ! いま探していたところだったんだ。」


「探してたってどういうことだよ。」

「まあ立ち話はなんだし、とりあえずテーブルまで……この人は?」

ルナンがやっと隣のいる見知らぬ男に気づいた。

「お、おう。連れがいたのな……お前……。悪いことしたな。飯おごったらすぐ帰るわ……。」

見知らぬ男が急に元気がなくなったと思ったらルナンが嬉しそうに言った。

「あら? アガサ君友達が出来たんだね! それにご飯おごってくれるなんて良い人ね!」

アガサはまた流されるように見知らぬ男と共々手を引かれていった。

―――「二人分か……帰ったら怒られる……。」

見知らぬ男が暗い雰囲気を漂わせつついった。

そんなことはお構いなしにアガサとルナンは食事を堪能しつつ話していた。

「まあそういうことで。アガサくんには冒険者以外できるものが無かったわけで。仕方ないけど肉体労働をやってもらうことになるね。」

「まあ読み書きできねえし仕方ねえか。帰ったら教えてくれ。」

「いいけど……それよりアガサ君食べ過ぎじゃない?」


アガサは追加で適当なものを注文すると言った。

「いやこいつがおごってくれるって言うからね。」

「気の毒に……。」

すると見知らぬ男がアガサに話しかけた。

「お前って今着てる服が魔法使い専用のものなのに冒険者ですらなかったんだな……。魔法使いだったらうちのパーティーに入って欲しかったんだけどなぁ……。」


そんなことを言うと見知らぬ男は立ち上がった。

「金は置いとくから後は勝手に食っててくれ。俺はそろそろ帰らねえといけねえからな。」

お金をおいて立ち去ろうとする見知らぬ男を見てアガサは声をかけた。

「おーい。最後に名前ぐらいは教えてくれよ。またあったらお礼するからよ。」

アガサがそう言うと見知らぬ男は振り返っていった。

「そういえばお前に名乗ってなかったな。」

「俺の名前はフレッド! 冒険者のフレッドだ。覚えといてくれ。」

フレッドはそう言うとギルドの出口へと向かった。

そして見送った後アガサはルナンに言った。

「そういえば俺の仕事の手続きは済んだのか?」

ルナンは一瞬固まると思い出したかのように叫んだ。

「…………忘れてたああああああ!!!」

不定期更新です。

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