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後悔邂逅

視点の切り替え激しいです。全ての文はカシオフィルターを通しているのは変わらないです。柿川の視点作ろうかなと思いましたが、女心と秋の空とは良く言ったもので、女の子はミステリーだからこそ美しいし可愛いと思うのです。

 柿川は興奮に震えていた。何故か?それは勿論、我々があの不良がたむろする館へ入っていったからだ。勝利の未来が見え出した柿川は我々が完全に館へ入りきるのを見てから、庭の伸びきった背の高い草木達に身を隠した。最早、この館に出入りがあることが状況証拠になる。これだけでもカードは充実するが、柿川はもう一歩もう一手を望んだ。

 柿川は十分程度じっとしていたが、突然の笑い声に反応する。見ればヤンチャをしている高校生が着そうな、如何にもな格好の同年代辺りの男子生徒三人、ギィと鉄製の門を開けていた。どうやら館の来訪者のようである。柿川は縮こまるが、三人は談笑に夢中で柿川に気づく素振りも見せない。三人は常連なのか館に慣れた手つきで立て付けの悪い扉を開く。柿川はそんなに時間を開けずに来た如何にもな三人を、我々一行の同胞だと判断した。しかし、特に出来ることなどない。柿川はやはり、もう暫くじっとすることに決めた。






 柿川が庭の茂みにいるなど、つゆ知らず召喚の手筈を我々は整えていた。万年筆は現状使い物にならないので、俺が管理することとなった。

 魔方陣は俺が持ってきていたマジックペンで極細と細を使いこなし十分程度時間をかけ床に描いた。シルル曰く、血や先程の万年筆のような魔力的な物で描いた方が便宜が良いらしいが、贅沢は言ってられない。

 後は詠唱を残すだけとなった。

 人骨をキリタニに魔方陣上に置かせ、俺は詠唱を始める。

 「俺、鹿追樫雄は無念にも散った者達の遺志を再び繋ぎ、ここに第二の器を与えん!出でよスケルトン!」

言い終えると同時に誰かが部屋の扉を開ける音がした。視線を移すと、ヤンチャをしている男子高校生がしていそうな、如何にもな格好の三人組を目にするが、それも召喚の光の白さに溶ける。

あまりに突然のことに口を開けるしかなかった。俺も如何にもな三人も。召喚は無事成功した。さっきまで無造作に積まれていた骨が、もう一度、正規の繋がり方をしら、こちらを向いて立っていた。それも三体。人体模型にしては骨があまりに生々しい。予めスケルトンと、わかっていたが思わず一歩後ずさりしてしまう。予めの俺でもそうなのだから、如何にもな三人組は及び腰で逃げ出すかと思ったが、動作を停止している。

 妙な沈黙は如何にも三人組の一人が破ることとなった。

 「うわぁ…」

 あまり大きな声ではなかった、叫ぶ訳でもなく本当に無意識に零れ出たかのような声。だが、それは静寂を満たすには十分だった。

 するとスケルトン三体が同時にカッと声の男の方を見る。ヤンチャ三人組は及び腰で逃げ出す。正直なところ俺も物凄く怖くて涙目になったことは墓場まで持っていくことにする。

 「大丈夫か?これ?」

 俺は誰に、とでもいうことでなく尋ねた。

 「案外、心霊スポットとして人気が出るかもな。」

 「実際死んでますよ?キリタニさん。」

 そう言うしかなかった。





 館内が急に騒がしくなったと思ったら先程の三人組が勢い良く、出てきた。外にいた柿川はびくっと身を強張らせた。三人が這う這うの体で逃げていく様を柿川は見届けると、開け放たれた扉から館の中を覗き込む。異常はない。そこで柿川は勇気を振り絞って、館内へ一歩入る。そぉっと音がでないように重厚な扉を閉めると二階に我々の声がするのを聞く。柿川はもう、待つのが面倒になり始めていたし、ヤンチャ三人組が逃げ出すような事を我々がしているのは確定だったので、突撃の決心をすると、二階へ続く階段に足をかけた。




 「で、どうするんだ?お化け屋敷を経営する気はないんだけど」

 動く白骨死体と何ら変わらないスケルトンと、買い物も死体処理もできるクウヤを側目にしつつ言う。すっかり忘れてはいたが、ここは人の出入りがある。

 「ていうか、これじゃあ召喚つーより生み出してね?」

 「ふん、良いところに気がついたな桐谷よ。これでは召喚というより、生喚だ。貴様の考えはあながち間違いでもない。召喚には二種類あると思ってもらって良い。『生む』か『呼ぶ』か、と分けるとするか。生む方は呼びたいその『魔』に必要な贄を用意し、その贄を元に、『魔』の性質を与え、その『魔』たらしめ、具現するのだ。それで次は」

 「いや、待て待て、代名詞が多い。」

 「なら、これまでのものに置き換えてみれば良いだろう。喚く前に考えよ樫雄。」

 グールを例にしてみる。まず「呼びたいその『魔』」これはグールを指すだろう。次に「贄」とあるがこれは屍だ。ではその次の「贄を元に、『魔』の性質を与え、その『魔』たらしめ、具現」という部分だが、贄つまり屍を器にもして、その器にグール足らしめる要素を注入しているのだと思う。

 「だけど、そのグールの要素はどこから来てるんだよ。」

 「それは魔界からだ。と言いたいところだが、この出所は誰にも分からん。我は見当がついているがな。フハハハ。」

 「なら、教えろよ。」

 「あくまで我の見当だ。不確かなことは口にはせん。さて『呼ぶ』方に…」

シルルは言葉をいきなり詰まらせる。フワフワと室内を漂い意気揚々と説明していたのに、動きを止め動かない。

どうした?という仕種を俺がとるとシルルは時間を取り戻す。

 「あぁ。いや、少し魔の揺らぎを感じてな。」

 「怖いな。なんかいるのか、まだ。」

 恐怖を紛らわすために本当に人体模型になりかけていたスケルトンを扉の前に配置する。このまま、じっとさせていると彼らはスケルトンとしてのアイデンティティを失う。因みに意思疏通は彼らには声帯がないので、こちらの一方的な指示だけが可能となっている。

 「気を取り直して―――」

 ガチャリ、明瞭に聞こえた。この部屋の扉を開く音が。俺のちょうど背に扉がある。前にはシルル、キリタニがいる。二人の表情から察するに、とてもマズイものが扉を開いたらしい。特にキリタニはうわぁと顔に出てる。

 何がきても驚かない腹積もりで、後ろを振り返る。

 向こうと目が合った。

 同時にスケルトンがカタカタと骨同士をぶつけながら、侵入者へ向かう。

 「ギャアアアアアアア‼」

 「ギャアアアアアアア‼」

 いきなり叫ばれたのでこちらも叫び返してしまう。

 叫びながら、侵入者は扉を思いっきり閉めると出口へ向け走り出す。

 赤系統の3Dカラー、揺れる度に表情を変える耳かけボブその髪型は見覚えというか、それ以上のモノがあった。何でここにいるんだ柿川。

 気づけばいつの間にか俺は耳かけボブの後を追っかけていた。なんて書き方をすると変態的だろうか?

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