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人類最強達の話し合い

 再会の約束を残した二人の去っていった方向を眺めながら、マルクは小さく息を吐き出した。

 色々と得るものも多かった今回のことではあるが、疲れたというのも本音ではある。

 まあ、そのほとんどが気疲れではあるのだが。


「……勝手に気を使って勝手に疲れてたら世話ない、か」

「あん? 何か言ったか?」

「いや、ただの独り言だよ。それより――」


 言いつつ、周辺へと視線を巡らせる。

 当たり前のことだが、既にゾンビの姿はない。

 それ自体はいいことではあるのだが……少しやり過ぎではないかという気がしないでもなかった。

 何せゾンビどころか、何もかもがなくなっているのだから。


「でも逆にやりすぎた方が言い訳のしようはある、かな?」

「敵が強すぎたから仕方なかった、って言うってこと?」

「いや、そこは当初の予定通りでいく。僕達は確かに、ここを出来るだけ元のままに留めておくように努力した。だけど、どうやらその後凄まじい力を持った何者かが現場を荒らしてしまったようだ、と、そんなとこかな? あのクレーターはちょうどいい証明になってくれそうだしね」


 クレーターとは勿論、レオンが吹き飛ばされた際に出来たアレのことだ。

 少なくともアレを見て、ここでは何も起こらなかったと考える者はいないだろう。


「つか、んな面倒なことする必要あんのか? アレ見りゃ敵が強すぎたでも納得すんじゃねえの?」

「まあ、納得はしてくれるだろうね。ただ……こっちの方が、納得させやすい。というよりは、向こうも矛を収めやすい、と言うべきかな?」

「あん? 嘘だってバレるってことか?」

「それはどっちだろうと同じことだよ。さすがにそんな戯言を信じてくれるほど、あの人達は甘くないし」

「確かにそれもそうねえ……でもこっちに何か言ってくる、ということはないのかしら?」

「お小言ぐらいはあるだろうけど、その程度だと思うよ? 僕達だけって制限付きだろうけど、とりあえずの移動も可能になるはずだ。今回のは駄目で元々って感じのことだろうし、それで僕達をわざわざ敵に回すほど馬鹿でもないだろうしね」


 だからそれに関しては、特に考える必要はなかった。

 問題があるとするならば、別の方だ。


「別……あいつら、か」

「うん、そうだね」


 厳密に言うならば、彼らにまつわる諸問題とでも言うべきものか。

 ここで関係を作り、自分達があの街に行くことがほぼ確定している以上、それをどうするかはきちんと考えておかねばならないだろう。


「え、なに、そんな厄介そうな何かがあるの? いい子達みたいだったけど?」

「彼らがどうとかはこの際あまり関係ないかな。いやまあまったくの無関係ってわけでもないんだけど……彼らがこの場所に派遣されてきた。その事実だけで、厄介なのは確定だよ」

「この場所……? 何か問題でもあんのか?」

「忘れたのかい? ここが本来は、どんな場所であったのかを」


 腐ってもここは、かつて開拓の最前線とする予定だった場所だ。

 そこに普通の冒険者が送り込まれてくるはずがない。


 しかも彼らはどうやら、自分達の家を手に入れるための一環として、ここに送り込まれてきたらしい。

 そして都合のいいことに、今ここには更地と化した広大な土地が存在している。

 まあクレーターなどが存在してもいるが、その程度すぐに直すことは可能だろう。

 さらにはここは、魔物が近寄れなくなる結界付きときている。

 ここから導き出せる結論は一つであり……だが同時にそれは、普通に考えれば有り得ないことだ。


「有り得ないって言っても……今回有り得たんでしょう?」

「そうだね。ところで、レオンに聞きたいことがあるんだけど……今回の敵はどうだった?」

「あん? どうだった、っつわれてもな……半分以上カズキの野郎に奪われちまったから、物足りないってのが正直なとこか。最後のとも碌に戦えなかったしな。ま、あの街にあんなやつが居るってことが知れたんだから、結果的にはそこそこ満足してるがな」

「なるほど。ところで、なら彼らが居なかったら……いや、彼らが僕たちと同等程度だったら、どうしてた?」

「それなら俺の方が多く殺せてただろうから……ああ、その場合は、あいつがあそこまで面白いやつじゃなくなんのか……なら、満足度的にはむしろ小さくなるか?」

「本当に?」

「あん? 一体何を――」

「忘れたかい? 君も僕も、一度は撤回の判断を下していた、ということを」


 その言葉に、レオンは口を噤んだ。

 冷静に考えてみて、それが正しいということを理解したからだろう。

 確かにマルク達はレベル五の冒険者だ。

 しかし未だ成ったばかりということもあり、正直他のレベル五の冒険者と比べるとまだまだ未熟だという自覚がある。

 勿論それでも相応の実力を備えているという自信もあるが……否、だからこそ、アレは本来撤退すべき状況だったと判断しているのだ。


「それは仮に今回の依頼を僕達単独で受領し、ベストメンバーで挑んだとしても同様だろう。二パーティーで来てたら、とりあえず様子見ってところかな?」

「……まあ、そうね。普通なら、最後の状況とかも決死の覚悟で逃走する必要がある場面だものね」

「さすがにあそこまでのことが起こるとは予想してなかったけどね……もっともだからこそ、普通は余裕を持って退くんだけど。あと厳密に言うならば、僕は彼らが普通の冒険者だったなら、最初にあのゾンビの集団を見た時点で、撤退の提案ぐらいはしてたかな?」

「あん? てことは、なんだ? あいつらがただもんじゃないってことに、オマエはアレを見るよりも先に気付いてた、ってことか?」

「んー、まあ、そういうことになるかな。その瞬間に確信したのはまた別のことにはなるんだけど……まあ、それは置いておくとして。ねえマリー、彼女と最もよく喋ってたのは君だよね? それで聞きたいんだけど、話してる最中に何と言うか……違和感、みたいなのはなかったい?」

「え、ユキのことよね? 特にそういったことはなかったと思うけれど……?」

「何だよ、何かおかしそうなところでもあったのか?」

「おかしそうっていうか、まあほぼ確証なんだけどね」


 そう言ってから、マルクはそれを告げた。


「口の動きと、そこから発される言葉が合ってなかったんだよ」


 その事実を、だ。


「……は?」

「え、っと……つまり、どういうことなの?」


 だが二人はその意味をよく理解できなかったらしく、揃って首を傾げている。

 もっともそのことは、予め予測できていたことだ。

 これは二人を馬鹿にしたわけではなく、純然たる事実である。

 マルクが頭脳担当なのは、三人が出会って以来、変わらぬ事実の一つだ。

 だからこそ、マルクは苦笑を浮かべながらも、いつものようにその説明し、二人はそれを当たり前のこととして受け入れるのである。


「普通は発される言葉と口の動きが一緒だっていうのは、改めて言うまでもないことだよね?」

「まあ、それはな」

「そうね。それで、それがどうしたの?」

「それが異なるってことは、そもそも喋ってる言葉が本当は聞こえているそれと異なるってことだ。なのに本当のそっちが聞こえないっていうのは、そこを橋渡ししてる何かがある、ってことだよね? そんな便利な何かの存在のことを僕達はよく知っているし、使っているわけだけど」

「あん? それって……もしかして、翻訳ってことか?」

「え? 翻訳って……確か超高等スキルでしょう? ランク五ですら使うことが出来る人は居ないんじゃないか、っていう」

「いや、翻訳は無意識下で常に発動し続けて口まで同期させるから、違うだろうね。ただ、メインの効果としては似たようなパーティースキルがあったから、多分そっちの方だろう。むしろ使ってる可能性があるとしたら、彼の方だろうね」

「口の動きまで同期すんだろ? なら何でそう言えんだ?」

「簡単だよ、彼は明らかに複数のスキルを同時に発動してたけど、パーマネントを使っている様子はなかった。まあ他の方法でスムーズに行なってた可能性もあるけど、翻訳を使ってたから、って方がしっくりくるかな」

「ああ、そういえば、確かに特に光ってはなかったな」

「相変わらず、よくそんなことに気付くわねえ……」


 感心と呆れが混ざったようにマリーが呟くが、マルクとしては苦笑を浮かべるだけだ。

 頭脳役を任されているという自負と責任からのことではあるが、同時にただの好奇心故でもあるからだった。


「ま、元から今回のことは疑ってたってことも大きいけどね。事が事なのに、こっちの指定は四人以下、ときたもんだ。考えられるのは、これを機として僕達を始末しようとしているか……或いは、それで問題がない相手が来るか、のどっちかだろう、とね」

「始末って……私達ギルドに逆らうようなことしてないわよね?」

「僕達にそのつもりがなくとも、結果的にそうなってた、って可能性は否定出来ないしね。今回のことだって、色々と考えさせられたし」

「なんだそりゃ? 何か分かったのかよ?」


 その言葉には応えずに、マルクはただ肩を竦めた。


 ――そもそも、何故開拓部隊は壊滅したのか。

 十分な備えと、相応の戦力があったはずなのに、ゾンビによって壊滅する?

 勿論、有り得ないとは言い切れない。

 だが、普通に考えれば、その前に撤退なり立て直しなりするはずだ。

 だというのに、生き残りすら存在しないという有様である。

 精鋭が集まっていたはずなのに、そんなことが起こることの方が有り得ない話だ。

 しかも何故これほどのゾンビが存在し、どうしてそれが未だここに残っていたのか。


 開拓というのは、誰からも望まれていると思われがちだが、そうとは限らない。

 開拓に成功するということは、その国の領地が増える、ということでもあるからだ。

 勿論その分魔物の生息圏が狭まり、また遠くなる、ということでもあるのだが、どこかで損をする者が出てくるのも事実である。


 他にも懸念材料は幾らでもあるし、疑惑を上げていったらキリがない。

 考えれば考えるほど憂鬱になってくるが……だからこそ、それをレオン達に話すわけにはいかなかった。

 もし話す時が来るとすれば、それに自分達から巻き込まれに行くと決意した時だろう。

 まあ自分だけならばむしろ積極的に巻き込まれに行くところだが、さすがに自分の都合だけで皆を危険な目に合わせるわけにはいかない。


 そう言った意味では、あの二人は既に巻き込まれていると言える。

 それを理解しているのだろうかと、ふと思ったが、すぐにマルクはその思考を止めた。

 考えたところで、意味はないからだ。

 どっちにしろ、彼ならば問題にもしないに違いない。

 自分の知っている彼らという存在は、そういう人達であった。


「ま、そっちに関しては確証が得られたわけじゃないしね。確証が得られて、さらにはそこに巻き込まれてもいいと思えたら、また話すこともあるかもね」

「んなことあんのかよ?」

「虎穴に入らずんば虎子を得ず、とか言うしね」

「……あん?」

「何それ、どういう意味?」

「ん? あー、そっか……まあ、何か大きな成功を手にしようと思えば、危険なことにも挑戦しなければならない、とかいう意味、かな?」

「へえ……相変わらず色々なことを知っているのね」

「伊達に長く生きてるわけじゃないしね」

「無駄に好奇心もありやがるしな」


 それにはただ笑みを浮かべて、二百年を生きるエルフの青年は応えた。


「ま、とりあえずそれはいいとして……それで、どうだった?」


 その言葉は、目の前の二人に向けられたものではなかった。

 そもそも前ではなく、後方、何もない虚空に向けられたものであり――


「そうにゃねぇ……とりあえず、尾行するのは無理っぽいにゃ。というか、ここから動こうとするだけで物凄い反応が返ってきたし……むしろやりたくないにゃ」


 しかし、反応はあった。

 直後、後方にある木々の一部が揺れ、何かが真下へと落ちる。

 だがそれは音もなく着地し、その姿を現す。

 頭上に存在している耳に、臀部から生えている尻尾、その両手には肉球が付いており……亜人――獣人種の少女に間違いなかった。


 とはいえ三人に驚いている様子はない。

 当たり前だ。

 そもそもここには四人で来ており、最初から最後までずっと居たのだから、むしろ居て当然なのである。

 もっともそのことを、あの二人には伝えてはいなかったが――


「ま、だろうね。彼も彼女も、間違いなく気付いてただろうし」

「え、そうなの?」

「彼女はミアの潜んでいる場所に一度も視線を向けなかったからね。あれは気付いてたけど見逃す、という意味だと思うよ?」

「そうだと思うにゃ。マリーと話してる時、戦闘の時、その他の時……ずっと意識が外れることはなかったにゃ」


 意識をしているからこそ、そちらを見ることはない。

 意識しすぎて敢えて気付かない振りをする場合にも同様の状態になることはあるが……マルクも獣人種の少女――ミアも、そうだとは思っていなかった。


 何より――


「それで、彼の方はどうだった?」

「生きた心地がしなかったにゃ。すぐにでも帰って寝たかったにゃ。でもそんな素振りを見せたら何をされるか分からなかったから、何も出来なかったにゃ。もう二度とこんな真似はしたくないにゃ」

「ありゃ、そこまで? 確かにかなり意識されてるんだろうなぁ、とは思ってたけど」


 その時のことを思いだしたのか、ミアの顔が青ざめブルブルと震えだす。

 演技には見えないので、本当にそんな感じだったのだろう。

 マルクはそう判断したものの、そこで終わらせるわけにもいかない。

 むしろ本題は、こちらの方なのだ。


「それで、彼の印象はどうだった? まあ、正直もう聞く必要はないんだけど、皆との共通した見解は必要だろうしね。とりあえず普通じゃないってことは、誰も異存ないだろうけど」

「そこに異論はないけれど……実際のところ、そこまで言うようなことかしら? 確かに戦闘は凄かったし、レオンが霞んで見えちゃうぐらいだったけど……逆に言えば、それだけじゃないの?」

「確かにな。ムカつくぐらいつええが、おもしれえやつだし……それじゃ駄目なのか?」

「僕としては問題ないんだけど……彼の戦闘能力の凄さに関しては、今更説明するまでもないだろうし。……そうだね、ミアとしては何か意見ある?」

「うーん、そうにゃねぇ……正直距離があったからよくわからなかったというのが本音にゃんだけど……あ、そうだにゃ。雰囲気的にはマルクに似てるように見えたにゃ」

「え、僕に?」


 それはマルクにとって本当に予想外の言葉であった。

 思わずマジマジとミアの顔を眺めるが、冗談を言ってそうな雰囲気はない。


「生きてた心地がしなかった、っていうのは既に言った通りにゃけど、実際にあの人がこっちを見たのは最初の一回だけだったにゃ」

「え、最初って、いつのこと?」

「彼らが現れた時だろうね。まあ、それで?」


 当たり前のように言い、当然の如く頷かれてしまったので、そんなものなのかとマリーは納得したようであるが、勿論そんなことはない。

 それはつまり、完全に身を隠しているにも関わらず、誰が何処に居るのかを瞬時に把握したということだからだ。

 しかもランク五相手にやってのけるなど、普通有り得ないことではあるが、マルクとしては疑問を覚えるようなことでもない。

 彼ならばその程度のこと、やって当たり前だからだ。


「で、それ以外はまったく意識すら向けられることはなかったんにゃけど……だからこそ、怖かったにゃ。あれはこっちを信じたとかいうわけでもなければ、余裕とかいうわけでもなく、多分心底どうでもよかったからにゃ。例え敵意を向けられたとしても、その瞬間にどうとでも出来るから。味方、というか、敵じゃにゃい相手はどうでもいいけど、敵に回った瞬間に問答無用に叩き潰す……あれはきっと、そういうタイプにゃ」

「なるほど……確かにそれが正しいのなら、うちのリーダーと似てるわねえ」

「……え? もしかして僕って皆からそういう風に見られてたの?」

「間違ってねえだろ? そもそも、こんなクランを率いている人間がまともなわけねえだろうが」

「僕としては率いてるというか、貧乏籤を引かれて続けてる、って感じなんだけどなぁ」

「同じことにゃ。どっちにしろ普通ならそんなことはできないにゃ」


 諜報特化の獣人種なミア。

 猪突猛進のウォーモンガーであるドワーフのレオン。

 支援特化のアマゾネス、マリー。

 他にも何人かクランには所属しているが、そのどれもが問題児ばかりであり――


「そしてそれらのリーダーである、研究馬鹿なエルフのマルク。むしろそのために森から外に出てきて冒険者になってるんだから、あなたがある意味で一番の異端よ」


 ぐうの音も出ない正論であったので、マルクとしてはただ肩を竦めるだけであった。

 改めて言われるまでもなく理解していることではあるが、時には理解したくないことも存在しているのである。


「まあ総括として、あの二人は普通じゃない、ってことかな」

「分かりきってたことだけどにゃ。ランク五同行の依頼に二人だけで来るとか正気じゃないにゃ」

「確かに……考えてみれば、いざとなれば私達と二人だけで渡り合えるという自信があった、ということだものね」


 冒険者は仲間でもなければ、互いを信頼することはない。

 それは依頼で同行することになろうとも、同じことだ。

 だからこそ、基本的にそういう依頼は同数を指定するし、そういうのしか受けない。

 もしも現場でいざこざがあった場合、不利になるのは人数が少ない方なのは明らかだからだ。

 最悪いなくなったところで、事故だとか魔物に殺されてしまったなどと言われてしまったら、そこまでである。


 しかしあの二人は、構うことなくやってきたし、こちらの人数を知っても引き下がることはなかった。

 それはつまり、それだけ自信があったということで……それが過信であったのかどうかは、見たままである。


「アレが開拓地のレベル五、か……」

「さすがに一部では魔境とか呼ばれてるだけのことはあるね」

「ただ気ににゃるのは、あの二人の名前をまったく聞いたことがないってことにゃ」

「……確かに、ね。あの様子なら、何処に居たって名前ぐらいは伝わっていそうなものだけれど」

「ま、ギルドの秘蔵っ子ってことなんだろうね。それを僕達に見せたってことは……さて、期待されてるのか、警告なのか」

「多分どっちもにゃ」

「……そうかもしれないわね。さっきの話じゃないけれど、わたし達も随分と突っ走ってきたもの。何処で恨みを買うようなことになっても、或いはそういう事態になってもおかしくはなかった、ということかしら」

「それならそれで面白くはあっただろうが……ま、そうだったらここに来れてたか分からねえ、か」


 まあ何にせよ、今回のことで、マルク達が色々なものを手にすることがあったのは事実だ。

 今回の結果次第では、開拓地に行くことを見送ろうかとも思っていたのだが――


「……ま、約束もしたことだしね」


 多分それが果たされるのは、そう遠くない未来になるのだろうと、そんなことを思いながら、マルクはあの二人が去っていった方向へ再度視線を向けるのであった。

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