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第一章 ~仮身工場~ 2

 代わり映えしない道を駆け抜け、血に濡れた光景を横目で流しながら俺は異界の門をくぐり、脚を止める。


粉砕された扉は付近に転がり、戦車の大砲を束にして打ち込んだかのように散乱している。

しかし、火薬の臭いは無し……そして扉にもすすけた跡も熱もない。

つまり、コレは単純な打撃で粉砕されたということだ。

「世界に喧嘩を売るだけの力量はあるということか」

そんなことを呟き一瞬ゼペットという男について思案しようとするが、走ってその考えを捨てる。

戦わない敵のことを考えるのは時間の無駄だ。

「…………」

暗い世界は進めど進めど代わりはしない。

あるのは血の匂いと絶対的な悪の塊。

だが、俺の眼はそんなものの中でも変わらず目的地を映し出している。

距離は残り五キロ。 そこで、俺は入り口に散乱していた扉に似た文様が描かれた

扉に行く手を阻まれる。

「……悪魔と人か」

描かれているのはどこかの神話の一ページを切り抜いたかのような絵画。

俺はそんな絵にくだらないと嘆息を漏らし、ゆっくりとその扉をこじ開ける。


                   ギイ……。

という大きな音が響き渡り、闇を映し出す。

「……」

開いたドアから流れ出る血液と苦しむ少女達の声……。

なるほど、このトンネルに充満していたのはこの臭いか……。

まったく反吐が出る。

「イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ!!」

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

耳を劈くように響く声は誰に向けるわけでもなく呪いを撒き散らし、

人は誰かを愛するよりも誰かを呪うほうが得意だと言った人間の言葉を思い出す。

「……」

まるで悪魔へ捧げる生贄の祭壇のようだ。

いや、違うな。 生贄のほうがまだおろかながらも人々の心に安息をもたらす。

ここにいる人間は、ただ遊ばれているだけだ。

どうやれば苦しむか、どうすれば人は死ぬのか……どれだけの痛みに人は耐えられるのか? そんな興味や自分の欲求を満たすためだけに……ここにいる人間は痛めつけられている。何度も見てきて、それがその類のものであることにすぐに気付いた。

命を無駄にする反吐が出る行為。

本当に彼女達は可哀そうという奴なのだろう。

人形として生まれて、人でないものとして動物扱いをされて殺される。

普通の人間ならば憤りを覚えて拘束具を懇切丁寧に取り払って彼女達を助け出すだろう。

だが、俺に同情は許されない。

何故なら、今から彼女達を殺すのは、紛れも無い自分なのだから。

「へぇ……君、彼女達を助けないんだ……」

不意に、頭上から声が響く。

見上げると、蝙蝠のように天上に張り付いている男がこちらを見下ろしている。

「……助けてたらお前に殺されていただろ?」

「ははぁ、気がついてたのか」

感心感心などとふざけたことを言いながら男はその場で頷き、俺はそれに引き金を引く。

「おおっと!?危ないな!?いきなり何をする!」

相手は余裕綽々の表情のまま、白々しい慌て声をだす。

「お前が誰かは興味はない……が、一応聞いておいてやる。ここを作った犯人を

いう気はあるか?」

「分かりきっていることを言うもんじゃあないよ。答えは勿論ノーだ」

「目標補足」

ならもう何も問題は無い。

唯『悪』は殺すだけ。

この状況ならばもう言うことも無ければ問答も必要ない。

俺は敵の頭蓋に照準を合わせて再度引き金を引く。

銃弾は左右合わせて六発。

「はっははぁ!」

コンクリートに風穴を開けて銃弾ははずれ、

意気揚々と言った感じに天上からそれは飛び降りる。

「死ねええ!」

手にした鎌から伸びる斬撃は、反射的に狙い打った二発の銃弾を両断しながら

まっすぐと俺の首へ伸び。

それを俺は後ろに引いて回避する。


風切音と共に流れる鋭い音が頭上で響き、次いで響く金属音に俺はすかさず銃を相手の眉間へと放つ。


火薬の炸裂する音と、甲高い音が一つ響き、相手の初撃は終了する。

「鎖鎌か」

「そうだぁ、お前のほうは変な銃使ってんなぁ」

暗闇に鈍く光る鎌と、その柄尻から伸びる五メートルはあるだろう鎖……

つまり、この男は鎌ではなく鎖を主にした戦いを得意とする人間。

「行っておくが!そんなハンドガンなんて玩具通じないぜ?俺の鎖鎌は、銃弾でさえも完璧に防ぎきる!」

自信たっぷりの顔で相手はそうつぶやき、俺はそれに構わず照準を合わせる。


「試してみるか?」

「ほざけえええ!」

投げられた鎌は鎖が擦れあう独特の金属音をかき鳴らしながら俺を追撃し、それを

左のハンドガンで打ち落とす。

「そらそらそらあ!」

次手は背後から伸びる鎖の尾……錘となっている分銅が襲い掛かる。

だが。


「こんなものか?」

それを上空に飛んでかわし、敵へと鉛弾を掃射する 弾丸は七発。

狙いは正確に彼の心臓と肺と肝臓を狙い走る。

常人ならばよけられるはずも無いその攻撃……

「玩具なんか当たんねーよ!」

しかしその男は、いとも簡単にその銃弾の嵐を避けて、その隙に鎌を手元へと引き寄せる。

「……」

それを見計らい、カートリッジを捨て去ってリロードをする。


これで振り出し。しかし、若干奴の手に鎖鎌が戻る方が早かった。


「それそれそれぇ!」

それを好機と、奴は転じて攻めに回った。

着地地点に放たれた鎖鎌。それを銃弾で弾き、敵の眉間へと銃弾を打ち込み避けられる。

このやり取りは暫く続く。

コンクリートに銃弾をめり込ませながら、実験動物となっている少女達のベッドの隙間を縫いながら、銃弾と刃物の衝突が続く。

この部屋の中では、うまく動くことが出来ない。


「フン」

結局はこの少女達を殺す結果になるというのに、彼女達に被害が出ないように戦っている。

そんな自分の甘さに呆れて鼻を鳴らす。

それでも、この程度の敵を排除するなら問題はないか……。


「逃げてばっかりじゃ勝てないぜ!」

放たれた鎌が伸び、それを打ち落として銃弾を掃射する。

「見切ったぜ!」

それをかわし、男は疾走をする。

先とは打って変わった近接戦闘。

銃を持つこちらには、全くもっての無謀に近い直線の疾走だが。

弾切れを狙った攻撃ならば最良の疾走。

「お前のハンドガンの装弾数は左右九発! もらったぁ!」

男は飛び上がり天上を蹴り、落下するように俺へと走る。

少女のベッドがある空間では高速の移動は足場が悪くて不可能。

しかし空を走ればリロードをするよりも速く俺の首を刈り取れる。


そう、リロードで敵は俺の残弾数を見切った。


だから。

「上に打ち込めば……こいつらにあたることは無い」

              俺はその虚をつく。


               「First act……」

術式の展開と同時に放たれる銃弾は高速。

音も無く、それは敵を貫き。

                 「……!?」

地上の月の光を差し込ませて始めてその轟音をかき鳴らす。


まさに一瞬。


その一撃で心臓を貫かれたそれは、無様に少女がいない空きのベッドに落ちて苦しそうにもがき、何があったのか理解が出来ないといった顔のまま少女達と怨嗟の声を合唱する。

「そ……うか、 その…銃!?」

「御明察、まだ弾が残っているのにリロードをしたのは、間合いに飛び込んで来て貰うため……本当はこの銃、クローバーは左右十二発の二丁一対のハンドガンだ。

いくら術式で速度を上げても、お前ほどの人間だとよけられるかもしれないからな」

「チクショウが……避けられるかよ、そんなの」

悔しそうにつぶやきながら、敵はもがく。

そんな惨めな姿に何も感じず、俺はその眉間に銃口を突きつける。

中身は術式の施されていない唯の鉛弾。

「正義を実行する」

左の銃弾をリロードし、俺は残った右手のハンドガンでそいつの頭を打ちぬく。


乾いた銃声は部屋の中に反響し……また、先と同じような少女達のうめき声が響く闇へと変わった。

「……行くか」

俺は死体をそのままにして、苦しみの表情を浮かべる少女達の顔一人一人を心に刻みつけながら先へと歩を進める。


 ~この顔を忘れるな、不知火深紅……お前はこれだけの罪無き人を殺すのだ~


そう自分を戒め、俺は目的地へと向かう。

助けを求めるように涙を流す少女達を見回し、瞳を閉じてその部屋の扉を開ける。

正義には犠牲が付き物だという陳腐な言葉は使わない。

ただ、正義を実行するために、一人でも多くの人間の安全を確保するため……

一人でも少ない方の人間を一秒でも早く切り捨てる。

合理的かつ冷静に……俺は命の量で正義を計る。

ここで情にほだされて彼女達を助けている間に、ゼペットが仮身を手に入れたら、言うまでも無くこの少女達よりも多くの血が流れることになる。

それだけの仮身が、ここにはあり、事態は急を要している。


だから、ここの少女を俺は殺す。

何百万人という人間を守るため、俺はここで苦しんでいる少女達

数百人を切り捨てる。

それが正義……。

そう自分に言い聞かせながら、重い扉を開けて動力室へと向かう。


扉を開けてからはスムーズなもので、薄れていく血の臭いに嫌悪感も大分緩み、

趣味の悪い壁画や血のあとも、動力室付近になるにつれて皆無になって行く。

どうやら、あの殺人鬼もそれぐらいの分別くらいは出来たらしい。

「ここが動力室か……」

先ほどまでの無駄に巨大な扉とは打って変わり、動力室とプレートの貼られたその部屋は、ドアノブを開くといとも簡単に音を立てて開いた。

「……」

どうやら本当にここにいる奴らは殺人以外に興味が無いらしい。

まぁ、そんなことを考えるのも時間の無駄か、迅速に仕事を終わらせてしまおう。


中に入ると、大きな鉄の塊が轟音を出しながら、必死に働いている。

どこぞのSF映画にでも出てきそうな巨大な機械が鎮座しているその空間は、部屋というよりも物置小屋に近く。

持参したC4でも充分巨大な誘爆を引き起こす程度の機械は揃っていた。

「ここらでいいか」

俺はC4をセットして、踵を返す。

後は地上に戻って、起爆スイッチを押せばいい。


少女達もろとも。


「……」

本当に助ける手段は無いのか? ゼペットを殺せば……あるいは少女達を救助する時間くらいは稼いでもらえるかも知れないのに?

本当に……彼女達は死ぬ必要があるのか? 

「……」

そんなことを思っていると、気付けばもう仮身工場を抜け、トンネルへと戻っていた。

いつの間にあの部屋を抜けたのかは気がつかなかったが、それ相応の覚悟を決めた後だから、中途半端な罪悪感を捨て切れたのだろう。


出口までは約五分で到着する。


そうなれば後はジューダスが待機させている脱出用ヘリに乗り、誰にも見つかることなくこの場を後にして工場を爆破する。


それがミッションの一連の流れ。

ジューダスは爆発の理由付けに色々悩んでいたようだが、テロリストが都合よく現れてくれたおかげで、その心配もなくなったから俺もさっさと次の仕事場へと迎えるだろう。

まったく俺にしては今日は、珍しく幸運が続いている。


                     と。


「っ!?」

「……」

目前に、大剣を背負った武神が現れた。


                  ■


暗闇に響く金属と銃弾の音。

その戦いは熾烈を極め、互いにトンネル内を破壊しながら命を奪わんと高速の戦いを

繰り広げる。


その戦いの内容は既に人の領域などを越え、神をも超越する剣閃と速射が

闇の中で火花を散らし、その一瞬一瞬をまるで神話の壁画のように映し出す。

剣閃は既に刃としての形状を認識することも敵わない。

鞭のように描かれる剣の軌道だけが、潰えることなく敵の急所へと走り、コンクリートの瓦礫を粉砕しながら武人の猛進を繰り広げ死神を狩り立て、死神の放つ銃弾は雷の如き直線の軌道を描きながら、視認さえ許さずに敵へと疾駆する。


武人の斬撃は死神の銃弾十二発同時着弾をもってしても軌道をそらすことは出来ず、

死神は一つ一つを丁寧に紙一重にかわし、合間を縫って銃弾を放つ。

戦いはインファイト、戦場は狭い場所。互いに不利な条件がそろったこの場で、

二人は達人を遥かに越える殺傷能力を持って敵を殲滅せんと起動するが、

軍配は結局死神に上がる結果となった。

                    ■

「はぁ……はぁ……はぁ……ぐっ!?」

両足を貫かれ、目前の少女は体を動かそうとしてその場に跪く。

「まさかFirstを避けられるとは思わなかったが……しかし、それも終わりだ」

「ぐ……貴様!?」

にらみつける少女に覚える感情はなく、機械のように目前の敵に照準を合わせる。

「じゃぁな」

「!」

放つ高速の銃弾は、少女を捉え銃口から放たれ。

「我の女を連れいていかれては困るのぉ、死神よ」

間に割って入った巨漢にそれは阻まれる。

「!?」

「あ!主!」

この至近距離……防弾ガラス七枚を貫通ではなく粉砕するFirst actを素手で防いだその男は、豪快かつ強大で、力の塊のような印象を俺にぶつける。

「しかし、貴様も別に殺す気は無かったように見えるがな」

握りつぶされた銃弾が手から零れ落ち、目前の巨漢は満面の笑みを俺に振りまく。

「あんたがゼペットか」

銃を収めないまま、カートリッジを入れ替えて目前の男に問う。

「いかにも」

まずったな……こいつらと戦うのはナンセンスだが、部下を傷つけられて平気でいられる人間ではないのは今のを見れば分かる。

「ふふん、正義の味方が死神とは、世の中皮肉になったもんだのぉ」

ゼペットから戦意は感じられない。どうやら興味をもたれたらしいが、有難迷惑な話だ。

「名前なんて意味を成さない。俺はいつでも最も多くの人間を救える道を選んできただけだ」

その言葉に、ゼペットは納得したように微笑み。

「……その所為で、この中にいる罪無き少女が死ぬとしてもか?」

「無論。 中の少女百人の命で、お前によって殺される何十万の命の危機を回避できるなら、俺は進んで彼女の怨嗟を飲み込もう」

アゴをさすりながらゼペットは頷き、その微笑を笑いに変える。

「がっはっは。なるほどのぉ。その齢でそれだけの覚悟。いやぁ恐れ入った。貴様のような人間を、非の打ちどころのない正義というのであろうな!決して揺らがず、心など無く唯数字のみで善悪を問わずに命を救う!貴様こそが【本当】の正義というものだ、しかしな、我とてこの中の少女達を見捨てるわけにはいかんでのぉ。だがおぬしは間違いを犯しておるぞ、我がここに来たのは主らと同じ考えだ、このプラントを破壊する……その考えは我とて同じだ。爆破を二時間、いや一時間ほど遅らせてもらえれば我らはあの場にいる少女を救出してすぐにこの場を立ち去ると誓おう。どうだ?」

こいつは……本気で行っているのか?

「世界を敵に回したテロリストの言葉を信じるとでも?」

「無理は承知……しかし、ここで我を相手にするのも賢いとは言い難いぞ?」

楽しそうに笑いながらゼペットは腕を鳴らし、構えを取る。その顔は楽しそうでありながら、殺気は十二分。

「……くだらない探りあいは嫌いだ……俺は任務を遂行する」

そうつぶやき、俺は懐の起爆スイッチを取り出し。

「主!」

「!」

それをゼペットへと投げ渡す。

「どういうつもりだ?死帝よ……」

いぶかしげな顔をして受け取った起爆装置を見るゼペット。

だが、何も可笑しなことは無い。

「言ったはずだ、俺は命の量で行動を決める。 これが一番助かる命が多いからそうしただけだ。それに、嘘つきは見れば分かる」

俺一人ではあの中の少女全てを救い出すことは不可能。

しかし、ゼペットの率いる兵団なら話は別。

あくまで任務は工場の破壊、封鎖が解かれる前に爆破してくれれば経過などはどうでもいい。ゼペットの排除は元々命令ではなく、ゼペット本人が仮身を破壊することが目的なら、今すぐに爆破する意味はない。

「ふむ、しかと受け取ったぞ、黒き正義の味方よ」

「あいつら、助けてやってくれ」

感謝するようにゼペットは起爆装置を握り、俺はそれにそう言い、二人の間を悠々と歩き抜けて行く

「いつか死合うて貰いたいものよ……」

それは、ほんの冗談のつもりだったのだろう。

「あんたが悪になれば、いつでもな」

だから俺も、戦うつもりも無くそんな事を口走った。

 

トンネルを抜け大穴から外へ出ると、そこには月明かりと共に三つの武装ヘリのライトが俺を照らし出し。

同時に一斉に術式強化のなされたアサルトライフルが俺に照準を定める。

【答えよ!我々とは何か!】

「……世界を調律するものなり」

【構え止め!】

隊の合言葉を言うと、隊員は一斉に武器を下ろし援護の布陣を取る。

それを片手で静止し、アサルトライフルの構え方がまだ寄っている奴の形を治してから、俺はライトに照らされた辺りを見回す。

俺の気絶させた兵士達の影はない。どうやら謝鈴が既に安全なところに非難させたらしい。

それに少し鼻を鳴らし、俺はさっさとヘリの元へと赴く。


プロペラの騒音はやけに大きく響き、良く見ると後方のビルの一室からは

スナイパーライフルが覗いている。

相も変わらず美しさをも感じられるほどの兵士の布陣形成と、狙撃の配置。

右から左まで全員が全員、どこの軍に入れても英雄になれるであろう熟練の兵士達。

それだけの兵士が、こんな若者の下について働かされているというのはなんとも不憫な話だと思いながら、

「散」

俺は武装集団に厳戒態勢の解除を命令する。



「ご苦労様でした!隊長!」

「ああ」

ヘリの音と風圧に目を細めながら敬礼で出迎えたのは、俺の部隊対大量破壊兵器専門部隊十三番隊の部下の一人。

『もっとも、常に単独任務で外国に出ていることが多いためほとんど面識はないため名前など知るわけも無いが……。』

おそらくゼペットの襲来を聞きつけて駆けつけたのだろうが、既に仕事は終わってるため、彼らには全くすることが無い。

「仕事は終わった。帰るぞ」

「はっ! 総員!帰還する、ヘリに乗り込め!もたもたするな!」

『了解!』

この男は副隊長だったらしく、部隊の隊員を一分の無駄もムラなく操っていき、それにしたがって兵士達は、アリのように統率された動きをしながら掛け声を上げて速やかにヘリへと乗り込んでいく。

「不知火隊長!」

そんな中、一人の比較的若い感じの青年が慌てて駆け寄ってくる。

「なんだ?」

「はっ、情報によるとRODの部隊と思しきヘリが続々と押し寄せていますが、応戦しますか!?」

さっきゼペットが中の少女達を運び出すために呼んだRODの部下達か……。

「放っておけ、俺の任務はこの工場の破壊だ」

「しかし!」

「ここで戦えば、仮身を取り逃したよりも酷い状況になる、東京を廃墟に変えるつもりか?」

「……!申し訳ありません、出過ぎたことを言いました!」

「……ヘリを出せ」

「はっ!」

兵士達はそう短く返事をし、力強く返事をして速やかに撤退をする。

「行きましょう」

「ああ」

ライフルを構えていたビルの中にいた兵士がヘリに回収されたのを見送り、俺はヘリに乗り込む。


きっかり一時間後、東京の地下で再度大きな爆発が起きたが、それはテロリストによる爆破テロということになり、その数時間後に政府はSATによりテロリストは鎮圧したと報道した。


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