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第四章 ゴルディノヤスクの死闘


振り下ろされたナイフは高速。 油断も気の緩みもない渾身のジェルバニスの一撃は、問題なく冬月桜の首を落とすはずだった。 そう。はずだった。


不意に鳴り響いた鋭い音。空間を切り裂いたかのように不愉快な奇怪音が一度だけ鳴り響き、それと同時に一振りの刃がジェルバニスのナイフを切断し、桜を殺す機会を取り上げる。

「貴様……」

「そう思い通りに行くと思うな……ジェルバニス」

ジェルバニスと不知火深紅。互いににらみ合い、深紅は桜を左腕で抱きかかえて後方に飛び、戦いの被害が及ばない場所へと連れてきてくれる。


「はぁ……はぁ……はぁ」

「シンくん……」

彼にとってすごく遠くまで飛んだわけではないはずなのに、その

息は荒く、ナイフを切断した刃はいつの間にか消えている。

「桜。 しばらくここで待っていろ」

深紅は右腕の血を振り払い、二丁のハンドガンを懐から取り出す。

「シンくん……手が……」

その右手は痛々しく、そこにはまるで生気を感じることが出来ない。

「大丈夫だ」

そう漏らすが、明らかに彼は消耗している。 

何の異常もないはずなのに、どこからどう見ても太刀を持っていた腕は異常だ。

何か大切なものが欠けている。

「待っ!」

「すぐに戻ってくる」

深紅は止めようとする桜を無視して、敵の元へと戻る。

「……まさかこんな形で俺達を狙ってくるとはな」

「なに、偶然だ」

銃を構えてそう問う深紅にジェルバニスは不敵に唇を歪ませ、深紅はそれに舌打ちをして引き金を引く。

「セカンド アクト!」

瞬間。放たれた銃弾は銃口から発射されず、ジェルバニスの眼前へと召喚される。

「!?」

刹那。 彼は後ろに飛んでその弾を回避するが。

「逃がすか」

深紅はカートリッジに残った残弾を一斉に掃射する。

ほぼ同時に鳴り響く十一発の銃声は、微細な音のずれを含んで重なり、

軌道は銃口からではなく、ジェルバニスを球状に囲むように、十一か所からほぼ同時に放たれる。

「っくあああ!?」

しかし、ジェルバニスはそのすべてを凌ぐ。

懐から抜き出されたナイフによるギリギリの一閃。 

球状の弾道の中で、最も自分に害のないであろうスペースを見切り、ジェルバニスは放たれた自らに触れる弾丸をすべて薙ぎ払った。

「っ!この距離じゃ、内部に打ち込むのは無理か」

深紅はそう舌打ちを打ち、ホルスターからもう一丁のクローバーを抜出し、ジェルバニスを追ってファーストアクトを叩き込む。


「!?」

しかし、ジェルバニスはその銃弾をすべて叩き落とす。

「舐めるなよ!死帝。銃口とお前の手さえ見ていれば、いかに音速を超えた弾丸だとしても見切れるぞ!」

「!?」

一括し、ジェルバニスはそう叫んだあと、深紅の背後の少女を睨む。

距離にして十メートル……。彼の眼は、確実に冬月桜を補足し。


喉元へ喰らいつく。

「ここで貴様の命を散らせてもらう! 雪月花の寒桜よ!」

放たれたのは一本のナイフ。

それは深紅も想像だにしなかったナイフの投擲。 自分の体を銃弾が穿つことを覚悟で、ジェルバニス・ラスプーチンは自らのナイフを冬月桜へと投げたのだ。

「!?さ……せるか」

とっさに深紅は手を伸ばして盾になろうとするも間に合わない。

銀閃はナイフの形から融解して針のような形になり変化し、深紅の腕を交わして冬月桜の喉元へと走る。

「死ね!」

「……っくそったれ!」

「え?」

間の抜けた声。

冬月桜はその声とほぼ同時に、なす術もなく、斬撃の音と鉄の冷たい感触を喉へと受け入れる。

                   ◆

投げられたナイフは高速。 常人の反射神経ではその速度を捉えることは不可能で、私は自らの死をあっさりと理解する。

私……死ぬんだ。

そう短く思考を巡らせ、一度だけ嘆息する。

なんで自分は死ぬ瀬戸際なのに、こんなにも冷静でいられるのだろう。死ぬのが怖くないのかな? いや、それはない。だってさっきナイフを振り下ろされる瞬間、死ぬほど怖かったから。

そう、だから私が恐れない理由は一つ。

自分が死なないってわかっているからだ。

「え?」

そんなバカげた結論を出すと同時に、世界が停止する。

「なにこれ?」

止まった世界。 走馬灯ではなく、脳のエラーでもない。

その停止した時間と同時に、私の目前にあるナイフが赤く光る。

いや、違う。 ナイフが赤く光っているんじゃない。 光っているのはナイフに書き出された文字……その文字を赤い光が一本につないでいるから、ナイフ全体が赤く見えているんだ。

「……魔導術式?」

脳が理解する。 この赤い線こそが、文字によって生み出される意味。

「見える……」

何故とかそういった陳腐な疑問は浮かばず、私は気づいてしまった。

いや、まるで体が覚えているような、ある筈のない記憶が告げる。

この線を切ってしまうと、このすべてが無意味になってしまうのだと。

誰も知らないはずの事なのに、私は自分に教わり、その赤い線に向かって、反射的にゆっくりと手刀で切る。

「……イミヲ ハクダツシマス」

それは私の知らない声。 その声は自然に、使い古した言葉のように漏れ、

赤い光をたやすく崩壊させた

「やば……」

しかし、ナイフは止まらない。

術式はあくまでナイフに仕込まれたもので、術式を切ってもそのナイフだけで十分私は死に至る。

「……ファーストアクト!!」

瞬間、目前から走る黄色い一閃が、目の前でナイフを砕き、ナイフの峰が私の首をなでた。


                    ◆

「っな!?」

驚愕の声を上げて、ジェルバニスは深紅と冬月桜を見る。突き刺さったはずのナイフだったものは、桜の目前ではじかれ、不知火深紅のクローバーからカートリッジが抜け落ちる。

「何をした!冬月桜!」

ジェルバニスは叫ぶ。

不知火深紅がナイフを狙撃することは彼の想定の範囲内だった。

その為に彼はナイフに術式をかけて放った。

しかし……その術式が一瞬にして消え去った。

不知火深紅によってではない。 かれが銃弾を放つよりも少しばかり早く、彼の術式は一瞬にしてその意味を剥奪された。

「何をしたぁ!!」

驚愕の表情を浮かべ桜へと叫ぶその男は。

「ジェルバニス!」

「!?」

次の瞬間不知火深紅の拳をその腹部へと受け入れて吹き飛び、背後の廃墟に衝突する。

「……ファースト!」

深紅はそう呟き、双方のクローバーをリロードし。

「アクト!!」

掃射する!

「がっ……」

無防備なジェルバニスに掃射される 紅き閃光。

逃げ惑う人々の隙間を縫って走る、

其はまさに血に濡れた正義の味方が放つ、断罪の光。

その同時に放たれた銃弾をすべて視認することは不可能に近く、音速を超えてジェバニスが衝突した建物を穿つ。


響く轟音は着弾後。

 思い出したかのように遅れて町中に響き渡る。

まるで雷。 銃弾は寸分狂わずジェルバニスを狙い撃ち、廃墟ごと抹消する。

速度を極めたそれはまさに破壊の塊。

一撃だけでも耐えることのできないその一撃が計二十四発をすべて叩き込み、

不知火深紅は冬月桜の元にまで戻る。

「はぁ……はぁ……はぁ」

速射の反動が体に負担をかけたのか。深紅は右腕から血を流しながら一度膝を突く。

「くそ」

すぐに立ち上がりはしたが、その息はとても荒い。

「シンくん!大丈夫!?」

桜はふらつく深紅に急いで駆け寄っていく。

「あぁ……お前こそ大丈夫……桜!その眼どうした!?」

「目?」

「真っ赤だぞ……まさか目に破片が刺さったのか!?」

「あ、それはたぶん大丈夫」

「本当か……しかし」

「うん、さっき助かったのも、半分はこれのおかげみたい」

「?……」

深紅は疑問符を浮かべ、桜も説明しにくいという困った顔をする。

「……まぁいい。お前が無事なら」

「……シンくん」

息を整え、深紅はクローバーをコートの中にしまう……。


「!?」

再び放たれる殺気が、鋭く不知火深紅を射抜き。

「……終わったと思ったか?」

瓦礫から立ち上がるジェルバニスを見る。

「……まだ立ち上がるのか。 最近は体の構造をいじくるのが流行なのか?」

冗談交じりに桜を背に隠しながら、深紅はコートの中のクローバーに手をかける。

「ふん、企業秘密だ。 なかなかにいい攻撃だったが、その程度では俺には届かんよ」

コートの襟を正すジェルバニスを見ながら、深紅は眉をひそめる。

二十四発。すべてジェルバニスの体に命中した手応えが深紅にはあった。

しかし、立ち上がるジェルバニスは外傷はない。

「やはり……限定術式か」

ジェルバニスの眉が一度動く。

「おそらく、金属に対して有効な術式、効果は破壊……違うか?」

「ノーコメントだ」

折れたナイフを拾い上げて修復し、ジェルバニスは笑みを浮かべてスーツのポケットにしまう。

「……どうした?桜を殺すんじゃなかったのか?」

「安い挑発だな。さっきのナイフが外れた時点で、現段階での殺害はあきらめている。

俺はこれでも一応政治に携わる者でね、これ以上戦えば死人が出る。貴様とて無用な死は避けたいところだろう? 次は直々に正面から攻めさせてもらうよ」

武士道精神は日本の心だろ?などと苦笑し、ジェルバニスは髪を揺らして瓦礫から深紅の前に歩み寄る。

その長身からあふれ出る自信は、先ほどの攻撃を凌いだゆえの油断だろうか?

殺気ではなく、唯の威圧のみで深紅の肌をちりちりと焦がしていく。

「ロシアのトップが親日か。 滑稽な話だ」

「自覚はしてるよ。 しかしこれでもクオーターだ。日本の心は四分の一は刻まれている」

互いに走る緊張は、触れただけでも音を立てて切れてしまいそうな弦の如く。

桜はその重苦しい空気に深紅のコートの袖を握る。

……一触即発。

「……しかし」

だが、その空気を緩めたのはジェルバニスの方だった。

「?」

「お前も大変だな。見ず知らずの女を命がけで守らないといけないとは」

「……正義を実行するのが俺の役目だ。第三次世界大戦を引き起こせるだけの資金を、むざむざ核兵器(仮身)開発を推し進めている軍部に渡すわけにはいかない」

「……その金をすべて児童福祉に充てるつもりだと言ったら?」

「信じると思うか?」

まったくだ、とジェルバニスは苦笑し、続ける。

「だが、その少女が持つ村と、俺の言う行き場のない子供たちを秤にかけたら、お前が言う正義では俺達側に来るべきじゃないのか?」

「!?」

「お前のことは調べさせてもらったよ不知火深紅……戦う目的も理由も一切分からずに、どの陣営に所属することも無く戦場に現れては兵団を壊滅をさせる伝説の傭兵……。

戦場の狂人 殺人マニア 死帝 死神……一般ではそう恐れられるお前だが、その行動理念は実に単純かつ異常……現に俺も、たった一人で紛争を終結するためだけに戦っていたとは想像していなかった……」

ジェルバニスは深紅の思想を受け入れた上で揺さぶりを駆ける……

本当に桜の敵になる必要はない……ジェルバニスにとって、不知火深紅がほんの一瞬だけ動揺してくれれば良かった。 

もし動揺を誘うことが出来たならばその隙を見逃すはずは無く、それは確実なジェルバニスの勝利を意味するからだ。

現に、不知火深紅は桜を守ることに疑問をまだぬぐえ切れていない。

しかし。

「答えはノーだ。たとえその話が本当でも、お前には救えない」

深紅はその言葉を呆れるように、否定した。

「……どういう意味だ?」

「言葉の通りだ」

一瞬の間が空く。

「……まぁいい。正義の味方かなんだか知らないが、俺にとってお前は、老人の人形遊びに付き合わされているだけにすぎん」

「……なんの話だ?」

今度はジェルバニスの発言に、深紅が首を傾げて聞き返す。

「……知らされてなかったか。まぁ当然か」

「……え?」

そういうとジェルバニスは怒気を孕んだ声で、その言葉を不知火深紅と冬月桜に、叩きつける。


「冬月桜の父親は、お前の父親を殺した」



「え」

静まり返り、深紅と桜の周りを、逃げ惑う人々の叫び声が響く。

「どういうことだ?」

深紅の疑問に、ジェルバニスは彼の少し後ろで立つ桜を睨みつける。

「冬月家の財産量は、ロシアの国家予算を優に超える。表向きではその遺産は、冬月源之助が最初から所有していたものとされているが、なぜあんな森の奥に追放された人間が、そんな大金を所持できていたか不思議に思わなかったのか?」

語るジェルバニスに今度こそ敵意はなく、不意打ちも桜を殺すつもりもない。

ただ、嘘偽りなく、淡々と事実を語っていた。

「……確かに、冬月源之助は第二次世界大戦のときにこの村に追放された人間、そんな大金を所持することは不可能か」

「……そう、冬月家をここまでの名家に押し上げたのは、そこにいる人形の父親である一心だ」

「……だが、一心がそんな大金を手に入れたという記録は残っていない」

「当たり前だ。 奴が取り組んでいたのは、決して表に出すことの許されない軍事兵器の開発だ」

しばらくの沈黙が流れるが、深紅がその言葉の意味を悟るまでにはそう時間はかからなかった。

「……仮身か」

「その通りだ。 汚染もなく壊されても土へ帰り、人のみを確実に抹消する世界で最もクリーンな兵器。 冬月一心は、ジューダスキアリーが作り上げた仮身の問題点であった、人と同じ動き、同じ強度しか持てないという欠点を補い、人ではなく機械へと質を落とすことで、量産可能で感情も痛みも感じない人形兵器。 仮身を生み出した」

「……それがどうした」

「まだわからないのか?なぜ全世界の国々が、同じ形同じ種類の仮身をほぼ同時期に所有し始めたのかを!? あれは全て冬月一心によって作られ、売却されたものだからだよ!」

「な……?」

深紅の脳裏に焼きこまれたのは、砂漠の村の劫火……。

その中で独り戦う英雄の背中が、雪の世界に広がっていく。

「……お前の事を少し調べさせてもらったと言っただろう。お前の父、不知火 真一は、アメリカの兵器実験の際に死んだそうだな?」

「……」

饒舌に語るジェルバニスは、まるで深紅を憐れむような表情をする。

いや、本当に彼は深紅の運命を嘆き、心の内から彼の皮肉な現状に憤りを感じていた。

……自らの人生を狂わせた人間の娘を、命を懸けて守らなければいけないという、十五の少年にはあまりにも過酷な運命を。


「あれはうそだ」


「!」

「アメリカでの軍事実験。仮身により村一つを二時間で消失させたあの惨劇……。仮身の戦力を見誤り、その後暴走した……そんなものは後から作ったでたらめだ。本当の目的は、見せしめだ」


「見せしめ?」

「完成した仮身を、冬月一心はまずアメリカに売り込んだ。 時期はイラク戦争時、当時のアメリカは他の新型兵器を試験運用していたが、ある問題に直面をしていたからな」

「……劣化ウラン弾」

「そう。核燃料の廃棄物を押し固め作られた鉄よりも重い貫通力のある弾丸。

劣化ウラン弾。 戦車の装甲をもたやすく貫通するそれにより、アメリカ軍はイラク軍を壊滅させる予定だった……。しかし、軍部に思わぬアクシデントが起こった……それが被爆だ。劣化ウラン弾は、燃焼すると高濃度の放射性物質を発生させる………それにより、米兵が次々と被爆をして行き、劣化ウラン弾の継続使用は困難になった。そこに一心は付け入った」

「仲間の被害も、汚染も何もないクリーンな破壊兵器……か」

「そうだ。 アメリカにとっては夢のような兵器だったろう。被害も甚大だった彼らは、冬月一心の兵器投入実験に全権をゆだねる代わりに、優先的に仮身を購入できる権利を取得した」

「そんな記録はない」

「ならそこの人形に聞くといい。イラク戦争時、お前の父親はどこに言っていたとな?」

振り返ると、桜は目を見開いてカタカタと震えている。

何もいわずとも、その表情からは少なくとも冬月一心がイラク戦争に参加していたことを語っていた。

「お前の父親が、仮身を作り出した張本人がどんな結果を生み出すか予測できなかったはずはなかろう?あの惨劇は事故などではない!あらかじめ仕組まれていたんだ!!あの時……貴様の父親がいなかったら、イラクという国は世界から消えていた。冬月一心が、莫大な金を所有するのと引き換えにな……

もう一度いう。あの惨劇は仮身の実用性を……いや、核兵器に代わる大量破壊兵器になりえることを世界中に知らしめるために、冬月一心が強行した作戦だ!仮身の投入量を誤ったわけでもなんでもない!

初めから村一つ……いや、あの国丸ごと地図から消すつもりだったのだ!」




「お前の父親は、 冬月一心に殺された!!」


「……うそ」

その呟きは、桜のものだった。

それはまるで空を切るかのように乾いていて、それでいて泣きそうなほど細く町に溶け込む。

自分の父親が、今まで憧れていた人が、大切な人の幸せを奪っていたこと。

その現実が、彼女に十字架のようにのしかかる。

「嘘だよ……そんなこと……だって、だって……」

泣きそうな顔のまま、彼女は膝からく崩れ落ちる。

が。

「それがどうした?」

「!?」

深紅は顔色一つ変えずにそう一言言い放ち、クローバーの引き金を引く。

術式のかけられた弾丸は、ジェルバニスの足元を深くえぐり、摩擦熱により焦げ

アスファルトから上がる白煙と同時に、ひび割れが一気に広がる。

「……父親の仇だとしって、まだその人形を守るのか?」

ジェルバニスは驚いた様子もなく、その深紅の返答を静かに確認する。

「あぁ。冬月一心が親父を殺していようが殺していまいが、そんなことは桜には関係ない話だ。 俺が守るのは、冬月桜だ」

あくまで親のしたことを子供に償わせるような無粋なマネはしない。そう凛と深紅はジェルバニスに返す。

「……そうか」

ジェルバニスはそのセリフに一度だけ頷き、背を向ける。

「……明日の正午。中立の森で待つ」

それは暗殺者としてではなく、目前の守護者に向けた戦士としての決闘の申し込み。

その言葉に嘘偽りなどみじんもなく、深紅はその背中に、無言でうなずいた。

                 ◆


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