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第五章 禁酒成功


「一人になりたいから出てけって、言ってたわね」

扉を出て、ミコトは困ったように俺にそう問いかけてくる。

「俺にもそう聞こえたよ……いつもなら隣で長山がゲームしてても仕事をしてるからな」

どうやら何があったのかを聞こうと言う算段だったらしいが、俺の反応から何も知らないということを悟ったのか、すぐに口をつぐんで顎に人差し指を当てて考えるそぶりを見せる。

「……当主さんと喧嘩でもした?」

「身に覚えはないんだがな……」

そういえば桜の様子がおかしくなったのは、あの倉庫から戻ってからだ……。

あそこで俺、桜に避けられるようなことをしただろうか?

「……ん~」

考えれば考えるほど思い当たる節がない。

「まぁ……思い当たる節がないならいいわ。きっと仕事が忙しいのよ、当主さんは」

苦笑を漏らしてミコトは廊下を歩きだす。


「さて、守護者さんの部屋がだめだとすると……何かいい部屋を探さないとね?」

「本気で言ってたのか?」

「ふふふ、さあどうかしらね」

まったく訳がわからないやつだ……。

「まぁ、どの部屋でも勝手に使って良いとのお達しだからね。勝手に家捜しさせてもらっていいのかしら?」

「ああ、どうやらそうみたいだな」

「そう……じゃあ私はこの辺で勝手にやらせてもらうから、守護者さんはそろそろ休みなさい」

「?」

「疲れている顔をしているわ……私は大丈夫だから、休んで……ね?」

ミコトの表情はいつものふざけた様子ではなく、真剣な面持ちで俺の顔を覗き込んでくる。

「そんなに疲れている様に見えるか?」

「ええ、とても……自分では気づいてなくても疲労は確実に蓄積されているわ……もう寝なさい?これは命令よ……当主さんも一人にして欲しいみたいだし……丁度いい機会じゃない」

「……しかし、見張りが」

「大丈夫……未来が見える私が言ってるのよ?」

ミコトはにっこりと満面の笑みでそう笑い、俺はそれに苦笑して肩をすくめる。

「それなら、お言葉に甘えて休ませてもらおうかね?」

「ええ、そうしなさい」

ミコトはそういうと、一人ふらりふらりと冬月の城を回り始める。

その姿はやはり以前と変わりなくしっかりとした足取りである。

どうやら本当にもう心配はないようだ。


そんなことを考えながら、俺は桜の様子を気にしながらも、ミコトに言われたように部屋へと戻り、仮眠を取ることにするのであった。

                     ■


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