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無限奇想集  作者: δ
5/5

4:睡魔と僧侶とそして無限と

*睡魔の研究

じつに睡魔というものはね、睡っている人の近くでしか生きられないんだ。

だから、もしも君が睡っていたとして、目が醒めたときに近くに誰も居なかったとしたら、睡魔は死んでしまう。かといって、近くに誰も居なかったらば睡らずに居られるか、というとそうではなくて、ただ睡気を感じていさえすれば、そこに睡魔は自然に発生し得る。だけど大概の睡魔は、人から人へ、夜の街から夜の街へと依り代を移動して、地球をぐるぐると周回しているものなんだ。

もう一つ、睡魔というのは、睡気を堪えている人間が大の好物で、そういう人間に出会ったときというのは、ちょうどひやりとした布団に火照った足を差し入れるような体験に似ている。だからね、修学旅行で徹夜を試みるなんて真似は、睡魔にしてみれば願ってもないような好機なんだ。それで、彼らの仲間の誰かが手掛かりを掴んだら、あとは一斉に睡魔が雪崩込んで来るというわけなのさ。


*サラウンド

5.1chサラウンド読経システム。六人の僧侶がそれぞれ微妙に声色を変えて読経する。

臨場感アップで有り難さも倍増。何より、六人の僧侶に取り囲まれるという神秘体験。


*皿うどん

5.1ch皿うどん。盛られた皿うどんと、小皿が五枚。そして読経を終えた六人の僧侶は皿うどんを賭けて壮絶な椅子取りゲームを始めるのだ。


*トウキョウ

トウキョウトガリネズミは、次世代ロックバンド以外の何か。あなたはトウキョウトガリネズミに関して無限の言説をつくることができるが、トウキョウトガリネズミはその全てからちょうど1パーセクだけ離れている、すなわちそれらの言説は全て間違っている。

なるたけ控えめに宣言させてもらうならば、私がトウキョウトガリネズミである。そして、この言説でさえも、偽である。


*二塁手

無限人の二塁手が、無限個の白球を追う。中にはエラーする者も確かに存在するはずなのに、同じく無限個ある一塁では走者はみな刺されている。整数と偶数は同じ個数だけ存在する、という事実を体現するかの如きその光景は、シュールを通り越してメルヘンチックにさえも思われた。

トウキョウトガリネズミは、親指くらいのとても小さなモグラ。嘘じゃない。

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