外伝其の壱 湊の場合。
前回投稿とだいぶ間があきましてすいませんm(_ _)m
今回は外伝です。弟の湊君視点で時間軸は「其の壱」~「其の参」あたりです。
休日でも僕、弐ノ瀬 湊の朝は早い。
7時過ぎには起きて着替え、朝食を求めにリビングへ向かう。
リビングへ行くと、隣接するキッチンに案の定、母さんがいた。弐ノ瀬家の朝は母さんが一番乗りで、次に大体は僕が起きる事となる。僕が2番手になるのは母さんと僕以外は何故か皆低血圧気味な人間ばかりだからだ。父さん、そして2歳上の兄、《弐ノ瀬 澪》がそれに当たる。数日かけて車で旅行してたりすることが多い姉の《弐ノ瀬 楓》は例外だ。
「湊おはよう、ご飯出来てるわよ~」
「ん、わかった~」
僕はキッチンの母さんにそう返すと、テーブルに並んだ朝食のもとへ向かった。
…今日のメニューは洋風のようだ。
◇ ◇ ◇
今日も母さんのご飯は美味しかった。
朝食を食べ終わった僕には「一際低血圧が重症な澪兄ちゃんを叩き起こすこと」という役割がまわってくる。
ウチじゃ一番低血圧が重症な澪兄ちゃんはただ起こすのにもかなりの苦労が必要なのだ。
「さて…弐ノ瀬湊、ストライク行きます!!!なんてね」
澪兄ちゃんが昔見てた某ガン〇ムシリーズのある一作品の主人公を真似て言ってみる。
いざ、イージスガン〇ムこと澪兄ちゃんの待ち構える2階へ突撃しようと階段の一段目に足を乗せたその時…
「どぅええーーーーえええーーええっ!?!?ーーーーなってるぅぅぅぅ!?!!?」
澪兄ちゃんの絶叫が聞こえてきた。今日は珍しく起きているようだ。ここからは結構距離があるので内容まではわからなかったが、何かあったに違いない。
階段を駆け上がり、廊下でトップスピードまで達した僕は眼前に迫ってきた澪兄ちゃんの部屋の「無断侵入禁止」なんて書かれた黄色と黒のプレートの付いたドアを蹴り開けて叫んだ。
「澪兄ちゃんどうしたの!?声が聞こえたから来てみたんだけど…」
そこまで言った僕は目の前の光景にフリーズした。
本来は澪兄ちゃんが寝ているはずのベッドの上に僕の見覚えのない女の子が座っている。それもメチャクチャ可愛い。
勢いよく入ってきた僕に気付いた女の子がこっちへ目を向けた。サラサラしてそうな綺麗な黒髪をロングにしていて、可愛い系の整った顔立ちに少し幼く見える大きな黒い瞳。女の子は僕を見つめてきょとんとした表情をしている。
ぐ、ぐはぁ……!?
一瞬呆けてしまった僕だが、なんとか気を取り直して本題に入った。
「……君、だれ?」
僕の言葉に一瞬、考え込むような素振りを見せた女の子は言った。
「ボクだよ、湊の兄の弐ノ瀬 澪。」
え……?
ナンデスト?
ついに僕の聴覚は逝ってしまったんだろうか。
目の前の女の子の口から信じられないことが聞こえた気がする。
「ボクだよ、湊の兄の弐ノ瀬 澪。」と。見た目通りの可憐なソプラノで。
……いや、たしかに聞こえた。確実にさっきの言葉はこの女の子の言った言葉だ。そして、その言葉の持つ意味は……
……ウソダロヲイ。
「ええええええええぇぇぇえぇぇぇぇ!?!?!?!澪兄ちゃんが女の子になってるぅぅぅ!?!?!?」
◇ ◇ ◇
~翌日~
澪兄ちゃんが澪姉ちゃんになって1日。
僕は澪にぃ…じゃなかった、澪姉ちゃんの部屋へ向かっている。
理由は2年に上がって直後の進級テストの勉強のわからないとこを聞きに、だ。
澪姉ちゃんは頭はいい方なので、昔から頼りにさせてもらっているのだ。今回は歴史の明治時代、初代内閣総理大臣だっけ?まぁ、そいつがどうしても出てこない。明治はやたら政治家とか偉人が多くて嫌いなのだ。
そんなことをしてるうちに、相変わらず黄色と黒のシマシマ模様の、工事現場とかにありそうなドアプレートの付いた、澪姉ちゃんの部屋の前まで来た。
僕は部屋の中に向かって声をかけながらドアを開けた。
「澪にぃ…じゃなかった、澪姉ちゃんいる~?湊だけど~ちょっときき…たい…こと…が…………」
僕はまたもやドアを開けたままの姿勢でフリーズした。
視線の先に澪姉ちゃんがいた。それはいい。問題はその恰好だ。胸と腰回りだけを覆う白い小さな布。…つまり、下着姿だった。
「…………ご、ごめんっ!!!!!」
僕はドアをとっさに閉めると、階段へ向かって猛ダッシュした。数段飛ばしで駆け降りた先にあるのはトイレ。
勃っちゃだめだ、勃っちゃだめだ、勃っちゃだめだ、勃っちゃだめだ、勃っちゃだめだ、勃っちゃだめだ!
僕は「WC」のドアへ飛び込んだ。
◇ ◇ ◇
僕はトイレでへたり込んでいた。
これ以前に何があったかは自己嫌悪ループに捕縛されるので言わないでおく。黙秘権フィーバー。
ぅぅ……俺って最低だ……
最近一気に冷え込んできましたね~
さて、次回は楓姉さん視点の外伝になるかもですw
ちなみに作者も明治時代は嫌いですw政治家居過ぎなんだよwww(爆)