其の弐 流れのままにやってみよう!
ボクは湊に「朝起きたら何故か女になってた」というような事情説明をし、一緒にリビングへ向かった。案の定、母さんは湊と同じ反応をし……なかった。
「キャーーーー澪ちゃん可愛くなったわねぇ♪」
なんだか満面の笑顔で母さんが抱き着いてきた。
え!?な、なんでボクだと分かったんだ母さん!?っていうかさりげなく既に女扱いしてないか!?
「ちょ、落ち着いて母さん!!!てかなんでそんなに嬉しそうなの!?!?」
「だって元々可愛い澪がもっと可愛くなってたからつい…」
くっ、母さんにも言われたよ…だから男が可愛いってどういう事さ?
いやいや、それよりも本題だ。
「んで…ボクはこれからどうすればいいんだろう?」
「ん~、女の子として生きるしかないわね~」
ちょ、タンマタンマ!!!まぢですか!?!?学校とかどうすんだよ!!?絶対ボロ出るよ!?
「ちょ、待ってよ!ボク今まで男だったんだし、せめて学校だけでも…」
「女の子の体で男の子の格好なんて、ますます変な眼で見られるわよ?」
ボクのせめてもの反論は母さんに一撃で撃墜された。
「しかも、澪は可愛いから男の時でも告白してくる男の子がいたのに、今は女の子なんだからばれたら襲われるわよ?」
続けてさらっと怖いことを言い出す母さん。そう、ボクは中学の時、男子から告白を受けた。まぁもちろん速攻で断ったけどな。改めて考えてみると、時々ボクに獲物を狙う猛獣のような目を向けてくるやつがたまにいた。まさかそいつがいわゆる「おホモ達」な奴だったなら…あれは襲われる前兆だったんだろうか。で、だ。今はボクの身体は女。つまり「おホモ達」じゃない奴らがあの目を向けてくるという事になる。そしていつの日かボクはタガが外れた連中に襲われ…
うわ、鳥肌たった。たしかにかなり危険だ。
「ぅ~、分かった」
ここは母さんに従ったほうがよさそうだ。
あ、でも女として生きるたって根本から知識がないんですが…。
「だーいじょうぶよ、母さんが女の子の良さをたっぷり教えてあげるから♪」
ボクのココロを読んだのか、そんなことを言って満面の笑みを浮かべる母さんの姿は何故か嫌な予感しかしなかった。
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ん~、いったい何がどうなったのか…
ボクは今、何故か楓姉さんの高校の時のお古だという女子制服を着ています。
あ、楓姉さんってのはボクの7歳上の姉、弐ノ瀬 楓のこと。けっこう美人なんだけどクルマ一筋なチューンドカー乗りで、仕事以外でも大抵は収入のほとんどを注ぎ込んでいるらしい愛車のRX-7と一緒にどこかへ出かけている。この前なんて「姉さんは恋人いるの?」って聞いたら「この子(愛車)が恋人だもん」なんて言ってたっけ。
……とまぁ、現実逃避はここまでにして。
押し入れの奥から発掘した楓姉さんの制服を持った母さんの笑顔が何故かすごく怖くて、着る羽目になった。
「やっぱり澪には似合ってるわ♪」
そんなことをボクの前で母さんが言ってる。…もぅ成るように成れだ!!!母さんに逆らうと怖いからなぁ…
「明日は下着を買いに行きましょう!!」
…マヂデスカ?
いよいよママによる澪ちゃんの女の子教育が始まりますw(爆)
毎度毎度、短めですが今後とも宜しくです。
パパ登場は次かその次ぐらい、楓姉さん登場はもう少し後になりそうですw