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理想のお姫様たち  作者: 香坂 みや
本編別視点
8/14

22.5話 姉の祈り

22話の後のおまけです。

「リリアナ、少し聞きたいことがあるのだけれど良いかしら?」

「……姉さま?」

 訪れることも知らせずに唐突に現れたルシールに驚いているのはすぐに見て取れた。ちらりと横に視線を遣った際にリリアナの専属騎士のローレンスが一瞬眉を顰めていたのをルシールは見逃さなかった。その後すぐに表情を戻しても先ほどの面倒臭いと言いたげな視線はしっかり覚えた。だが、そんなローレンスからはすぐに視線を外してリリアナへ真っ直ぐ進む。

「突然いかがされたのですか」

「リリアナがクロヴィス様とご一緒に城下から戻ったと聞いたのよ」

 ルシールがぺろりと舌を出して笑うとリリアナは驚いた顔を引っ込めてくすりと笑う。リリアナとクロヴィスというのは城内では珍しい組み合わせだ。

「確かに一緒に城へ戻りましたけど、ローレンスやジゼルも一緒にです」

 自ずと話題に上がってしまう組み合わせだったが、二人で出かけるというのはありえない話だなと思って噂を話半分に聞いていた。

「……でしょうね」

「ローレンスと城下へ降りていたのですすが、外出届けを出し忘れたのを見つかってしまって」

 リリアナの話は大方が予想通りだったが、それに続く話は聞き流せそうになかった。バツの悪そうに言うリリアナは悪戯を打ち明ける子どものように冗談めかして笑う。そんなリリアナにルシールは真面目な顔で向き合った。

「クロヴィスってああ見えて仕事には真面目だもの。それは怒られるでしょうね。もうダメよ。貴女に何かあったらみんな心配するわ。ユリシア姉さまなんて寝込んでしまうでしょうね」

 ユリシアが心配のあまり寝込む姿があまりにも容易に想像できたのがおかしかった。だがすぐに顔を戻してリリアナを叱る。

 王族の外出は外出届をきちんと出して護衛さえ付ければ割と自由にできる。だが、その外出届けを出さないというのは王族がどこにいるか把握させないということで、いざという時に助けにも行けないという自殺行為そのものだった。

「ごめんなさい」

「分かればいいのよ。次はないわよ?」

「はい」

 リリアナがしゅんとしな垂れたのを見て頷く。この可愛い妹が傷つくことがなければいいと祈りながら。

本編に付ける予定だったお話。

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