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お待たせ

『次は、青空公園駅ー。青空公園駅です』


目覚めた最初に頭に聞こえたのは機会らしい女性の声で最寄り駅の名前を連呼する雑音だった

いや失礼、訂正しよう。雑音ではなくただの車内アナウンスの声だった

いっけねいっけね。まともに車内アナウンスを気にせず乗り過ごすタイプだと言うことがバレることだった。…否、今この瞬間バレた

さて、そんなこと置いといて俺はテレビのチャンネルを合わせるように目をぱちぱちと開けたり閉じたりしていた-

お、世界とチャンネルが合った

ちら〜っと横に見てみれば車窓から苔むした建物や崩れてしまったビルが並んでいた

ん?と疑問を感じたのも束の間、頭を息するように働き始めた

そういえば人類は二十年前に火星への移住に成功し、地球温暖化やら地球全体の大型地震やらで全人類は全滅寸前。

それで数二十年前、地球が平和な環境になるまで管理を放置したんだっけな。

…今思うと当時読んでいたファンタジーものでしかありえない話だ。…でも、もしこれが本当に夢だとしたら…どれだけ良かっただろうな


さて、俺は電車から降り久しぶりに地球に足を付けた

「んー、やっぱり故郷の空気が一番だなぁ。最高快適」

と駅から出て周りを見回してみた

目に映るのは見覚えのある街…ではあったが苔むしていたりボロボロになって崩れていた。

あんなに賑やかだった駅前も公園も通学路も今となっては子供の声すら聞こえない

唯一聞こえるのは未だに稼働してる信号の音しかなかった

「あ。」

無意識にポケットに手を突っ込んで気づいた

俺は――を無くした


「え、?切符…無い!ちょ、…っあ!絶対電車で落とした、!くそ!」

無くした物の正体は切符だ。なんで切符?と思っただろう。

…それはあの電車に乗る前に久しぶりの駅!久しぶりの環境!…という感じで大はしゃぎした結果、今となっては無意味になっている切符を記念に購入したのだ。

まぁ、切符なんてどの駅でも買えるし巡り会えるだろう

さよなら、記念切符一号。


「さて…っと、早く帰ってやんねーと愛しの愛しのスピカが泣いちまう。」

解いてもいない靴紐を結び直して俺は家の方へと急いだ

スピカは俺のキューティーベイビー!

…まぁ、スピカは技術の進化で産まれた人工AI

色々なご縁があって俺とイチャイチャ生活が始まっていたって訳。

流石、初詣で毎年百十五円(いいご縁)を賽銭箱に投げつけて祈ってただけある

ラッキー、ラッキー


…さて、出会いに感謝するのもここら辺で終わっておこう。

何故ならばもう俺のスピカとの愛の巣に到着してしまったからだ!

この近さ、駅近物件を舐めるでない

…まぁ悲しいことにスピカからは愛の巣認定してくれなかったんだけどな…


長ったるい…いや、そう思うのは火星で楽しすぎたからだろう。通常サイズであろう螺旋階段を登って到着したのは俺が借りていた部屋だ

…もちろん、物無くし検定一級の俺は鍵をスピカに預けているので俺はインターホンを押すだけで入れるはず…とインターホンを押した

ぴんぽーんと懐かしく間抜けな音声が聞こえた。

「す〜ぴ〜か〜!俺だよ。俺俺!…あ、オレオレ詐欺じゃないからね、!?俺!」

……

「あー、スピカさーん?俺だよ。し!ん!じ!慎二さんですよ〜、?」

……

中から何も聞こえない。

「あれ〜、スピカ居ない、?…ん〜、なんかあったっけな。スピカの事だし予定ある日以外出かけないと思うんだけどなぁ。」

ドアノブをいじってみた見るからに不審者すぎる…と思った時ドアが開いた。

「お、開いた。…もー、スピカさんってば不用心ですなぁ」

とホコリを被った綺麗な部屋が視界に映った

「…あ、あのスピカが掃除をサボってる、?」

なんせスピカはゴミを放置するだけで大激怒する綺麗屋さんなのだ。多分机に指をすーっとして「ここ、ホコリありますよ。やり直し」とか言うタイプだと思っていた。実際一回やられている。そこも含め、AI知能とかそういうの関係なく人間として彼女はいい子だと思う。

スピカの名前を呼びながら部屋を巡った

リビング、いない。キッチン、いない。

洗面所、いない。俺の自室、いない。

ベランダもいないし、スピカの自室だって居なかった

これはおかしいと焦りを感じつつも考えた

スピカはどこへ?とスピカの部屋を見回した

テレビ、ベット、本棚、写真立て……

数十年前の七月で止まってしまったカレンダー。

書き込みも七月で止まっている

そして八月二十九日そこには――

『慎二に会う!』

という俺にとっては可愛くて愛おしくて仕方の無い予定の書き込みがあった。

「なるほど。…そんな約束もあの時はしてたなぁ。……ってことはスピカはあの海中塔駅にいるのか?」

海中塔駅は海の上にある駅の名前だ

そして気になったのは海中塔の方だろう

海中塔は深海からずっしりと立ちはだかっており海の中から外まで見える凄い塔のことだ。

あの駅の周りは海しかない、流石の都会でもあの駅の電車のみ二時間に一本しかない。

なんだこの田舎クオリティな電車は

一本逃して駅員に相談という名のクレームを入れればこれだから都会っ子は〜などと言われるヤツだ。舐めるな、地元民を。

さて、そんな実際に会ったイラッときた話は置いといて。…今のが事実だとするとアイツ――


「二十年以上はあの駅で俺の事待ってるってことだよな?」

思い出してイラッとしていた気持ちがだんだん焦りと申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

そう考えるとあっちの星で宇宙探索士の地球管理委員会に入るまでの免許と信用されるような発明をするまでにかかったあの時間は大分ロスしていた。

さて、急いで海中塔駅に行かねば。


そして俺は急いで駅に戻り電車に乗りこんだ

「ふ、ふぅ、…セーフ。」

発車数十秒前、ドアが閉まるガチの数秒前に乗り込み乗車をぶちかまし、座席に座った

さてと、俺は海中塔駅までの時間を仕事に回すことにした

日記だ。一ヶ月地球に住んで治せる所は治して治せない所は専用の業者を数ヶ月後呼ぶ。

それの繰り返しで人間はまた地球に住み込むつもりだ。

なんと傲慢な……

と思いつつ日記帳に文字を書き進めた。

数時間後、集中力が途切れた頃。辺りに見えるのは海だった。

まさか、!と思い非常識だが座席から立ち上がりパネルを見た。

海中塔駅はあと一駅。つまりもう少しで着く所だった

いいタイミングで目覚めた自分を内心褒めつつ座席に座り直した。

「…第一声。なんて言えばいいんだ。俺は…」

よくよく考えれば俺はパートナーを二十年ほど

外に放置していたダメ男だ。クズすぎる。

ごめんね?いや、それは違うな。軽々しすぎる

久しぶりは上から目線すぎる。

んー、と考えていればいつの間にか

『次は、海中塔駅。海中塔駅です。』

というアナウンスが聞こえてきたではないか

やばいやばい。と思いつつ荷物をまとめて立ち上がりかけ―

「…あ、まだ着いてなかった。」

久しぶりの再会を待ち遠しく先走った自分を落ち着かせようと深呼吸した。

ふぅ、と座席に背中を預ける

外はビー玉のような空とラムネのような海が見える。うーん、オーシャンビュー

とだんだん高鳴る緊張と鼓動を無視してくだらないことを考えていた


『海中塔駅、海中塔駅です。』

どうやら付いたらしい

荷物はちゃんと持っている。忘れ物もないこを確認し、電車から外に出た。

「っ、」

自分から出た小さいうめき声が聞こえた。

思ったより眩しく目を細めてしまう

人口的な光と自然的な光の差を実感しつつ駅を見回そうとした

「――あ。」

目の前のベンチに髪の長い灰色髪の女がいた。


女は膝に頭を埋めており、裾の濁った白いワンピースや何も履いていない傷だらけの足だったが彼女はそれを気にしてないようだ


この女の正体について。

心当たりが一つしかないが…どう、声をかければいいのか。またその議論を一人でしそうになってしまう俺を正面から否定するように自分の頬をペチペチ叩いた。

大きく深呼吸をして覚悟を決めた俺は女の元へ歩いていった。


△▽△▽△▽


私は異変に気づいた

長い髪の間から見えていた海が塞がれたこと。

少し視界が暗くなったこと。

何があった。と思い膝に埋めていた重い頭を持ち上げた。


――目の前にいる青年を見て私は…


△▽△▽△▽


――目の前にいる女は大きく目を開いた。

先程まで見えてなかった顔が見れて俺は確信したし目元が赤くぽろぽろと流れる涙を指で拭く。など紳士的なこともせずに手を差し伸べた

そんな優しくするのは目の前にいる大切な人に怒られてからの方がいいと思ってしまった


「スピカ、お待たせ。」

俺は名前を呼んでやった

「髪長くても可愛いじゃねぇか。すげー俺好み。」

そうすると目の前の女―否、スピカは大粒の涙を流してしまった

その瞬間俺はやらかした!と思い焦ったがそんなことも自分が流している涙も気にせずに

「慎二さん、大遅刻、ですね。…私はすごく待ちくたびれましたよ。」

震える声で。困ったような、可愛い笑顔を俺に見せて、俺を選んで、手を取ってくれた。

「髪に関しては……まぁ、お陰様で」

スピカなりの仕返しに俺の手をぎゅっと握りってくれたので俺もゆっくり握り返してやった。

あ〜!!むずい!

でも私が伝わりたいことが伝わればオールオッケー!

ここまで読んでくださりありがとうございました!

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