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地球ガチャ・星野ヒカリ再誕の物語  作者: ナディア


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【第1話】死にたい夜、路地裏で銀の瞳の占い師がギターを鳴らした

これは、内気で無口な高校生の物語。

不思議な銀の瞳のテレキャス占い師に出会い、愛と家族について彼女が向き合っていく成長ストーリーです。

対象:甘く切なくも、心温まる現代ファンタジーが好きな人へ

注意:少し重いテーマを含みます

挿絵(By みてみん)

「死にたい」そう願う夜。

17才の星野ヒカリの足を止めたのは、とあるギターの音。

他界した父と母の引き寄せなのか? 銀の瞳のコード占い師はヒカリの救世主?



【出会い】

「あのメロディ――」

学校帰りに、星野ヒカリは足を止めた。音に引き寄せられながら路地裏に入り込み、迷走する内に、いつしか髪も制服の肩も濡れている。

赤、青、緑のネオンを映す水たまりに響いていたのは、テレキャスターの音。Eマイナーのアルペジオ。


懐かしくも切ない、亡き父のギターの旋律が、こんな夜に重なるなんて。

かつて、父・聖也が弾いてくれた音。ヒカリの父は、インディーズバンドで少し名の知れたボーカル&ギタリストで――彼女が13才のときに他界してしまった。


フローリストだったという母・ひとみは、もっと前に、ヒカリが4才の時に他界している。

神様が描き忘れた空白の日々の中で、わたしは一体何のために、どう息をつなげばいいのだろう――その思いをかき消すように、彼女はひとり、駅からほど遠く、入り組んだ裏通りで音を追いかけた。


角を曲がると、古いビルの軒下に看板があった。


「テレキャスコード占いRayレイ


看板の下には、 白いテレキャスターを抱えた青年がひとり――雨が当たらない軒下を選んで、古びたリンゴの木箱をイスに座っていた。


グレーのパーカーに、 グリーンのコート。 フードを深くかぶって、 顔はよく見えない。ヒカリは 少し迷ったが、思い切って 声を掛けた。


「あの、 占い……やってるんですか?」


青年がゆっくり顔を上げると、フードの下から銀色の瞳が現れた。月明かりを受けてにび色に輝くその瞳は、子犬のようでもあり、控えめなほほ笑みは大人のようでもある。

彼とヒカリが合わせ鏡のように固ると――彼のテレキャスターが鳴きだした。

♬Gsus4 → Em7 → Am7 → Cmaj7


「生きるか否か、選択のときなんだね」


ヒカリの心臓が、ドクンっと音を立てた 。

「どうして……そんなこと」


青年は少し座る位置をずらし、ヒカリはうながされるまま、ほんの数センチ間を開けて彼の隣に座った。


「僕はRay―レイだよ。 テレキャスターの使い手。ここに来てくれたあなたの専用の占い師さ」


いぶかしげに上目づかいでRayを見るヒカリに、彼は言った。


「あなたの月、 今とっても、深く沈んでいるんだね」


「ど、どういうこと…… ?」


「こういうこと」


Rayは、テレキャスの弦を優しく弾きながら、音色にことばを乗せていく――「……答えが出ないまま、宙ぶらりん。『生きるか、死ぬか』の二極の選択で」


暗く、切ない響きが雨の夜に溶ける。


「マイナーセブンスの葛藤。絶望の中に、ほんの数パーセントの『助けて』って叫びが混ざっている」


儚い、祈りのような響きが、細く伸びて光を帯びる。


「最後のメジャーセブンスが鳴っている限り、まだあきらめない……あなたは、まだ道を探している」


Rayはそこで、テレキャスターの音を幅広く、強く伸ばしてから、ジャキっとミュートした。弦を叩いて鋭く音を断ち切ったその乾いた音が、雨の音を切り裂く。

そっと息を吐いて、彼はヒカリにほほ笑みかけた。

「解析すると、『生きるか死ぬかの選択の波の中だからこそ、見えてくる光がある』ってところかな……どう?」


「わ……わかりづらいです」


唇を固く閉じていたヒカリが低い声を押し出すのを見て、Rayはうなずき、伏し目がちにテレキャスをゆっくり抱きなおすと、Eマイナーのアルペジオを奏で続けた。


「わかりやすく言うと……選択は自由。だけど、あなたは、 まだ、迷い続けてもいい。こうして、誰かに意見を聞くのもいい。あなたは 一人じゃないってこと」


ヒカリが目尻に涙をにじませ、Rayが銀の瞳でそれを受け止めた。


「占いは人生の解析ツールなんだ……もっと、あなたのコードを解析してみようか?」


「解析……って何、結局利用したいだけ?」とヒカリは思わず口をついていた。  


「え?」


「いつもそう、解析とかアルゴリズムとか、占いだって……結局、消費者が利用されてるだけ」


Rayの指が止まった。


「好きで生きてるわけじゃない……土足で踏み込むな」


銀の瞳の中で、ヒカリがうつむき、ぎゅっと目をつぶると大粒の涙がこぼれる。


「……そうだね。確かに僕もずいぶん、利用されてきた。都合よく、支配する側のルールで回されている、それがこの世の中だ」

 

三音節の間があって、彼は静かに1弦をつま弾く。澄み渡るような、高く細いEの音——それは雨の夜に溶け込むように響き、すぐに消えた。


銀色の瞳が、少し遠慮しがちに、ヒカリをのぞきこんで、涙の様子を確認する。

土砂降りの雨ではないようだ。


「わかった、利用されっぱなしに、しないよ。あなたがあなたを取り戻すために、僕の解析を使ってほしいんだ」そう言って、彼は再び、静かにアルペジオを繰り返して続けた。


「生年月日を教えてくれる? それがあなたのコードだ 」



挿絵(By みてみん)


読んでくれてありがとうございます☆彡

「この話は実際にRayちゃんに救われたような気持ちで書きました」

次回予告:Rayのテレキャス占いは必見


「noteでも同時連載中♡ 感想待ってます」ナディアより

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