親友をちょっと遠くなら見ていても良いかもしれない。
逆ハー乙女の親友。のプロローグな短い話。
相変わらずかっこいいを目指す主人公。
ゲームの世界に転生(現在記憶ナシ)のつもりで書いたけど、転生者の設定はまったく生かせてません。
私の名前は斎条 樹。
身長165cm。体重50kg。
家はそれなりにお金を持っているけれども、多分庶民派。
3LDKに家族4人で暮らしてる。
庭もそれなり。愛犬とちょっと遊ぶのには困らない程度の広さ。車は2台。駐車場スペースが4台なのは、私と兄を考慮しての事だろう。
母は節約生活を見るのも大好き、節約料理でどれだけ美味しく満足できるものを作れるかにはまってるし、百円ショップのグッズを使うのも大好きだ。
父の日曜日は趣味の釣り。釣った魚が食卓に並ぶのは珍しくなく、兄が参加するようになってからは大量におすそ分け。からの大量のおすそ分けをもらう量が増えた。
結果、経費はかからずに色々なものが食べれるというある意味節約生活…なのだろうか。
家族仲は良好。お隣に住んでいる幼馴染の親友の遠藤 さゆりとの関係も良好。
私が見た目肉食系ならば、さゆは草食系。
私がツンなアネゴなら、さゆはデレなイモウト。
ちょっと要領が悪いけれど一生懸命。
ちょっと運動神経も悪いけど、体育なんかも一生懸命だ。
そんなさゆとの関係に変化が訪れたのは、高校に入ってからすぐだった。
可愛らしい顔立ちをしているさゆは、中学時代から結構もててた。数ヶ月に一回ぐらいの告白なら珍しいわけじゃない。
けれど、高校入学後のもて方は異様、だと思う。
生徒会長を筆頭に、ちょっと悪そうな先生や笑顔が胡散臭い真面目に見える先生。真面目な風紀委員長。サッカー部のキャプテンにパソコン系の部長もさゆに強烈アプローチ。果ては近くの高校の有名な生徒までさゆに会いに転校してくるという、ちょっと――じゃなくかなりついていけない状況。
一番ついていけなかったのは、さゆはこんな乙女体質だっただろうかと疑問に思うほど、それを当たり前に受け入れられてしまっているさゆかもしれない。
親友の新たな一面を見てしまった衝撃。
私の為に止めてっ。
リアルで聞くとは思わなかった台詞がまだ耳の奥に残ってる。
逆ハーキツイ。
無敵ヒロイン無理。
さゆは嫌いじゃないのに。
あの野郎共が関わらないさゆは乙女体質から脱出していつものさゆなのに。
一体何なんだ?
そんなある日…。
「斎条さん。遠藤に近付くのやめてもらえないかな?」
「アンタさ、一応女なんだけどさ。あんま女の子って見えないから目障りなんだよな」
「さゆりの話題も斎条の事が多いしな」
数人の男に囲まれる私。
逆走モテ状態。
ある意味じゃなくてもドン引く展開。
どこその乙女ゲームか。ネタ売りに行くぞ。
「小さい頃からお隣同士だし。さゆが承知なら話しかけないよ。勿論、さゆの許可はとってありますよね?
まさか一方的に好きで両思いにもなっていないのに、幼馴染が話しかけるのもイヤというさゆの事を全く考えていない身勝手な思考で動いているんじゃないですよね?
そういうのありえないですものね。
好きな相手の親友をいじめのように囲んで、親友を悪者にして好きな子から引き離して傷心のさゆを慰めるなんてせこくて卑怯な手なんて使うわけないですもんね」
だって、先生も先輩たちも、さゆは良い人たちだって言ってましたもんね。
長台詞の後はにっこり笑顔でとどめをさしてみる。
一応用心で撮影してあるんだけど、このデータはどうしようかな。今話すと面倒そうだし、後でチェックだけして引き出しの中にでもいれとこ。
私の予想外の反撃だったのか。
…いや、考慮しようよ。私は言うでしょこれぐらい。高校入学3ヶ月。ホントさゆしか目に入ってないんだね。大丈夫なのかこの高校。
そんな疑問がいっぱいだったけど、この後のフォローも面倒だし、私は二階で見学している目の前の三人と同類項の先輩だけにわかるように、三人をちょっとだけ指差す。
もうじき授業も始まるし。
固まられてても邪魔なんで後お願いします。
けれどやっぱ乙女ゲーム無理。
さゆは嫌いじゃないけど。
学校内なら親衛隊もいるし、ちょっと遠くで見守っていようかな。
まぁ、面倒なだけなんだけどね。