よくあるかもしれない異世界召喚――初代勇者編
力・作。
思わず握り拳を作っちゃったよ私はね。
そりゃ徹夜した甲斐がありましたとも!!
今回のコスは古代人。
古からの種族で、私の選んだキャラは風属性なんだよね。
うぅーん。イイねイイね。
このアルティーラさんは声も良くてね。23歳設定で私よりも年が上だけど、全然オッケー。テンションはすっかりアルティーラ!!
よしっ、行くぞ。
そんなふうに気合を入れながら、会場へと足を踏み出そうとした瞬間、それは起こった。
ほへ??
浮遊感???
えっ? 天変地異???
頭の中じゃクエスチョンマークが飛びまくり。視界はぶれるしこの浮遊感はありえないし。体験した事のない重圧が圧し掛かってくる。
ちょっとちょっとちょっと。待ってって。
あっ。折角作ったアルティーラの武器がっ。
あまりの衝撃に二又の槍から手を離しそうになるけど、根性と気合と情熱と萌えの精神でそれに手を伸ばし抱え込む。
わんこなアルティーラには、このシンプルな槍が似合うのよ。
「ふぅん。でも、ま。俺も守りたいんだよねー。覚悟してよ」
なんて背後に庇ったのは子供たち。
その時ばかりは脱わんこ…は完璧にしていなかったけど、兎に角かっこよかった! 惚れ直したぜアルティーラ。
そんなわけで、惚れ直した時に構えた槍。これはアルティーラの必須アイテムになった。勿論私の中で。
なので、槍を手放すなんて却下。この細部にまで無駄に拘った槍を無くしてなるものか。友人からは、アルティーラの衣装より凝ってんじゃない?なんて言われたけど――…否定は出来ないよねー。
資金も注ぎ込んだもんっ。
そんな執着と執念を見せまくっている私だったけど、突然視界が開けた。眩い光。クラクラしちゃうよね。
何これ。
「勇者様っっ」
そんな疑問を浮かべる私の耳に届いた言葉はこれ。
………はい?
勇者とはなんぞや。
「よくぞおいでくださいました。勇者様!」
「我等を救って下さい勇者様!」
「おぉ。なんと高貴な輝きか。流石は勇者様!!」
……だから、はい?
「…な」
何?と言おうとして、踏みとどまった。
今私……ものすっごくコスプレ中。
寧ろ外は歩けないぐらいやっちゃいまくったコスプレ中。
素。
素?
無理無理無理。
いやしかしアルティーラとしてやったって痛い子決定!?
けれど、半ば内心ぱにくる私だったけど、ここである事に気付く。作り物だったアルティーラの槍の感触が、おかしい。
むき出しの刃は、キラリと光を帯びて輝いてる。
あぁ、斬れそう。
そして何故か感じる風。
私の中から吹き荒れてる。
ちょっと待とうか。ちょっと待とうよ。
「…俺を呼び出したのは、アンタたちかい?」
内心は冷や汗だらんだらん。
でも、口から飛び出したのはアルティーラの口調。声は――…私の声よりも低い。アルティーラの声にとっても似てる。
サラリと頬を撫でる青黒の髪は染めました感がたっぷりだったのに、生まれながらにその色彩だったかのように自然な色合い。
あぁ…ひょっとして。
おたくだからって。
知識はあるからって。
我が身に降りかかっちゃう?
しかもコス中よ??
あぁっ。ありえない。